Jリーグがシーズンの秋春制に移行し、新たなスタートを切った。世界のマーケットと"同期"させることで、「シーズン半ばで主力を失う」という、リーグ戦の関心を下げるような事態を避けることができるだろう。

移行によって選手の移籍が正常化すれば、各クラブはじっくりとシーズンを戦えるし、今後は移籍交渉力もついてくるはずで、ポジティブな効果のほうが多そうだ。

 もっとも、日本人Jリーガーの欧州やMLSなどへの移籍のトレンドはしばらく収まらないだろう。極端な円安傾向もあって、実力をつけた日本人が欧州に新天地を求めるのは必然で、この流れは止まらない。今や80人以上がヨーロッパのクラブに在籍し、世界中のクラブを入れたら、その数は100人以上になるだろう。

 一方、Jリーグの市場が世界に向けて開かれてきたことで、いったん海外に移籍しても、日本に戻って活躍する日本人選手が増えてきた。選手の動きはボーダレスになりつつある。Jリーグは人材を流出させながらも、欧州などからの"復帰組"を迎えることでダイナミズムを生み出しているのだ――。

Jリーグ上位チームを牽引する海外からの「復帰組」 秋春制で好...の画像はこちら >>
 新シーズン、海外からの復帰組がJ1を牽引しているのは間違いない。彼らは外国人選手と似た立場と言えるかもしれない。

 たとえば第1節の得点者(数)を調べても明白だった。10試合で合計36得点が生まれているが、復帰組によるものが8点(小森飛絢、金子拓郎/ともに浦和レッズ、内野航太郎※/水戸ホーリーホック、相馬勇紀、明本孝浩/ともにFC町田ゼルビア、北川航也/清水エスパルス大迫勇也ヴィッセル神戸、川村拓夢/サンフレッチェ広島)、国内組が14点、外国人選手が14点だった。

※内野はブレンビー(デンマーク)とプロ契約後、Jリーグへ期限付き移籍中

 ついで第2節は合計31得点中、復帰組が7点(遠藤渓太/柏レイソル、原輝綺/名古屋グランパス、塩谷司/広島、中山雄太、西村拓真/ともに町田、大迫、武藤嘉紀/ともに神戸)、国内組が15点、外国人選手が8点、オウンゴールが1点だった。

【復帰組に求められるものは?】

 アビスパ福岡のように、欧州でのプレー経験のある選手がひとりもいないクラブもあれば、鹿島アントラーズ、神戸、町田、広島などのように複数の選手が主力になっている場合もある。各クラブで数の幅はあるものの、全体数では外国人選手よりはやや少なく、そのわりに多いゴール数と言えるだろう(しかも外国人選手のほうがアタッカーが多いので、ゴールは生まれやすい)。

 神戸の大迫、武藤はドイツなどで活躍後に戻ってきて以来、チームの攻撃をけん引してきた。彼らは年俸も含めて、まさに外国人選手同然だろう。高報酬の選手たちだが、相応の値打ちは示している。やはり、勝負どころの貢献が大きい。FC東京戦では、大迫が抜け目ないプレスでGKに詰め寄って、クリアをネットに沈め、武藤は終了間際にロングスローを右足で叩き込んでいる。

 鹿島は横浜F・マリノス、名古屋を相手に連続で劇的な逆転勝利を飾っているが、鈴木優磨、小川諒也、三竿健斗、植田直通、柴崎岳などの復帰組が、ゴールこそ記録していないものの、大事な役目を果たしている。各ポジションに経験のある選手がいるだけで、チームの仕組みそのものが補強されており、それによって選手自身も力を出せる寸法だ。

 復帰組の活躍は、チームの成績とも符合している。神戸は百年構想リーグを制し、鹿島は2025シーズンのリーグ王者。戦力の優位性は歴然としている。

 開幕から2連勝で首位に立つ町田も、昌子源、中山、相馬、明本、西村を擁し、優位に立っている。黒田剛監督の意向だろうか、強度の高い選手が補強されている印象だ。それが戦闘力の高さにつながっているのだろう。

 広島の場合、川辺駿、塩谷、浅野拓磨など広島のサッカー様式を知り尽くした選手たちが戻ってくるケースが多く、適応するのに困難が少ない。MF川村は、広島からザルツブルクへ羽ばたいたものの、ケガなどで苦しんだ末に戻り、復帰初戦となったジェフユナイテッド千葉戦でいきなりゴールを決めた。欧州での経験を還元することで、チームは今後も化学反応を起こすはずだ。

 復帰組に求められるのは、外国人の助っ人選手と同じく、チームの仕組みを強化することだろう。さらに、欧州のクラブ在籍時代に助っ人としてのパフォーマンスを求められた彼らが、個の力でも勝利をもぎ取るたくましさを見せられるか。そこが復帰組の査定の基準だ。

 今年の夏、FC東京でプレーしていた佐藤龍之介は19歳でスペインのバレンシアに移籍している。今季活躍した日本人選手は、シーズン後には海を渡るだろう。有力選手が海を渡るのは人材流出だが、戦力の循環自体は悪いことではない。

たとえば今シーズンは横浜FMの16歳、三井寺眞のようなルーキーも頭角を現しつつある。全体を見れば、主力が海を渡ることで若手の出場機会が増え、才能の爆発が起こっているのだ。

 一方で、欧州から戻ってきた日本人選手は、その経験をJリーグに還元している。こうしたサイクルが確立されつつあることこそ、創設33年目になるJリーグの強みと言える。「挑戦、復帰、挑戦」という循環は恩恵をもたらし、ひいては日本サッカーの底上げになるはずだ。

小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

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