【ベルシステム24ホールディングス】計画未達踏まえ買収・出資を加速 増収額の3分の1強をM&Aで上積み

電話やメール、チャットなどによる企業の顧客対応業務を請け負うコンタクトセンター事業を主力とするベルシステム24ホールディングス<6183>は、前中期経営計画でM&Aなどの事業投資が想定を下回り、業績目標も未達となったことを踏まえ、現中期経営計画でM&A・事業投資を加速する。

2027年2月期から2029年2月期までにM&A・事業投資に200億円を投じ、コンタクトセンターのロールアップ(同種の事業への出資や事業取得を重ね、規模を拡大する手法)や、BPO(業務プロセスを専門業者に委託する仕組み)領域でのM&Aを進める。

2029年2月期の売上収益1750億円を目指し、2026年2月期からの増収額約292億円のうち、3分の1強に当たる100億円をM&A・事業投資に関連する施策で上積みする計画だ。

M&A・事業投資に200億円

ベルシステム24ホールディングスは、2027年2月期から2029年2月期までの現中期経営計画で、M&A・事業投資に200億円を投じる。

このうち、顧客企業と消費者をつなぐスマートコンタクトセンター業務と、顧客企業の社内業務を支援するスマートビジネスサポート業務に、それぞれ100億円を充てる計画だ。

前中期経営計画では、データ活用ソリューション、人的資本の強化、ベンチャー投資・M&A、ブランディングの4分野に、3年間で総額150億円以上を投資する計画だった。

しかし、3年間の投資実績は100億3000万円にとどまった。

同社は、M&Aなどの事業投資が想定よりも少なく、投資総額が予定金額の3分の2水準にとどまったと説明している。

現中期経営計画では、M&A・事業投資の対象と金額に加え、投資・アライアンス(企業間連携)の内容も明示した。

なかでも、M&A・資本取引に関係する取り組みとして、コンタクトセンターのロールアップによる規模拡大とBPO専門領域の拡大を挙げている。

コンタクトセンターのロールアップでは、人手不足や人材採用難から自社内での運営が困難となった企業のアウトソーシングニーズを取り込むほか、本業への経営資源集中を進める企業が売却するコンタクトセンター事業を取得する。

BPO専門領域の拡大では、金融・保険、情報通信、建設、製造、卸・小売、製薬・医療などの業界特化型BPO事業者や、人事・経理、購買、営業支援などの専門業務に特化したBPO事業者とのM&AやJV(合弁会社)の設立などにより、BPO事業を拡大する。

また、現中期経営計画では、売上収益の拡大策にもM&Aを組み込んでいる。

2029年2月期にはスマートコンタクトセンター業務(その他の事業を含む)の売上収益を2026年2月期の1252億円から1450億円に拡大し、ロールアップによる従来ビジネスの拡大で年間50億円の売上収益拡大を見込む。

スマートビジネスサポート業務は207億円から300億円とし、M&AなどによるBPO領域の拡大で年間50億円の売上収益増加を見込む。

合弁・出資で事業領域を拡大

ベルシステム24グループは、1982年に東京都内でテレマーケティング・エージェンシー(電話による販売促進や顧客対応を手がける事業者)として設立されたベルシステム二四を前身とする。

同年に、電話転送機による24時間電話業務代行サービスを開始し、1983年にはテレビショッピングの注文電話受付業務、1984年には英語による電話受付業務、通訳業務を始めた。

1990年に日本プレシジョンを吸収合併して派遣事業を開始し、1992年にベルシステム24へ商号変更した。

近年のM&A・出資では、2017年にサービスデスクやコンタクトセンターなどの業務アウトソーシングサービスを担うCTCファーストコンタクトの株式51.0%を取得したほか、ベトナムでコンタクトセンター事業を展開するHoa Saoの株式49.0%を取得し、現地事業を本格化した。

2022年にはレイヤーズ・コンサルティングとの合弁で、経理・人事領域を中心としたBPOサービスなどを手がけるHorizon Oneを設立した。

2023年にはHoa Saoへの追加出資で持分を80.0%に引き上げて子会社化したほか、データマーケティングやAI(人工知能)ソリューションを手がけるシンカーの株式70.0%を取得して子会社化した。

2025年にはカスタマーセンターの運営などを手がけるスカパー・カスタマーリレーションズの株式51.0%を取得して子会社化し、2026年3月にはAVILENとの合弁でAI実装型BPOなどを手がけるBA Intelligenceを設立した。

こうしたM&Aや資本取引では、過半数出資や少数出資、合弁会社の設立、追加出資による子会社化など、多様な手法を組み合わせてきた。

【ベルシステム24ホールディングス】計画未達踏まえ買収・出資を加速 増収額の3分の1強をM&Aで上積み
ベルシステム24ホールディングスの沿革と主なM&A・出資

売上収益1750億円を目指す

ベルシステム24ホールディングスの2026年2月期は、売上収益が前年度比1.5%増の1458億2600万円、営業利益が9.2%増の126億5200万円だった。

前中期経営計画では同年度に売上収益1800億円、営業利益165億円を目標としていたが、いずれも計画を下回った。

2026年2月期の売上収益構成は、CRM(問い合わせ対応や販売促進など、顧客との接点を担う業務)事業が1455億5600万円で全体の99.8%を占め、その他は2億7000万円の0.2%だった。

業務別では、スマートコンタクトセンター業務が1248億8300万円で売上収益全体の約85.6%、スマートビジネスサポート業務が206億7300万円で約14.2%を占める。

【ベルシステム24ホールディングス】計画未達踏まえ買収・出資を加速 増収額の3分の1強をM&Aで上積み
ベルシステム24ホールディングスの売上収益構成比

現中期経営計画では、2029年2月期の売上収益を1750億円、営業利益を160億円とし、スマートコンタクトセンター業務を1450億円、スマートビジネスサポート業務を300億円に拡大する計画だ。

売上収益は2026年2月期から約292億円増やす必要があり、このうちスマートコンタクトセンター業務のロールアップによる従来ビジネスの拡大と、スマートビジネスサポート業務のM&AなどによるBPO領域の拡大で、それぞれ50億円の増収を見込んでおり、計画上は、売上収益の増加額の3分の1強をM&A・事業投資に関連する施策が担うことになる。

現中期経営計画で設定した200億円の投資枠を具体的なM&Aや出資案件につなげ、その成果を売上収益に反映することが、1750億円の達成に必要になる。

【ベルシステム24ホールディングス】計画未達踏まえ買収・出資を加速 増収額の3分の1強をM&Aで上積み
ベルシステム24ホールディングスの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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