芋蔵などの「ジェイグループHD」居酒屋依存脱却へM&Aを加速 非アルコール業態を取り込む

居酒屋「芋蔵」などを運営するジェイグループホールディングス<3063>は、M&Aで非アルコール業態を取り込み、居酒屋依存からの脱却を目指す。

パン、カフェ、スイーツなどの非アルコール業態に加え、飲食FC(フランチャイズ)事業、食品卸、高速道路サービスエリアでのフードコートなどの運営受託、不動産事業などを対象に、事業ポートフォリオ(事業構成)を多角化して収益源を広げる。

価格転嫁力が問われる外食環境の中で、事業の多角化によって競争力を高め、成長投資を進める戦略だ。

多業態展開や不動産情報が強み

ジェイグループHDは外食産業について、飲食需要が高まり、コロナ禍後に客単価が上昇している一方、倒産件数が増加傾向にあり、店舗数の減少傾向は続くとみる。価格転嫁力が問われる環境にあるとの見方だ。

そうした中、2026年2月末時点で65業態、115店舗を運営している同社の多業態運営は、業態変更やメニュー変更などで顧客に受け入れられる形での値上げがしやすい事業形態であると位置付ける。

また外食市場では消費者ニーズの多様化や嗜好の変化が進み、店舗物件も立地や規模の面で多様化している。

同社は不動産事業を手がけており、不動産情報を取得できることや、同一エリア内に多業態を展開すること、多様な業態に対応できる人材がいることを強みに挙げる。

価格転嫁力や業態転換力が問われる局面では、こうした強みを生かし、M&Aによる事業ポートフォリオの多角化が必要と判断した。

不動産売却で資金を確保

今後は大型店舗から小型店舗へ、総合居酒屋から専門業態へ、アルコール業態から非アルコール業態へと展開領域を広げる。

また、デリバリー、高速道路サービスエリアでのフードコートなどの運営受託、ナショナルFCブランド、すし居酒屋業態、日本酒業態の展開をはじめ、M&Aによる業態や店舗の取得に取り組む。

こうした取り組みの中で、現在はアルコールを提供する店舗が中心だが、今後は昼業態や非アルコール業態も増やし、業態ポートフォリオの多角化を進める。

またコロナ禍で都心のアルコール需要が落ち込んだことを受け、郊外エリアで居酒屋業態の展開を進めていたが、都心のアルコール需要や宴会需要が想定以上に回復したため、今後、郊外エリアではカフェなどアルコール業態以外の展開を中心に進める。

同社は資金面について、2026年2月期の決算説明資料で、棚卸資産(不動産)の売却により現金及び預金が24億5400万円に大幅に増加したとし、これによりM&Aをはじめ新規出店や大型リニューアルを加速するための資金を確保できたとしている。

買収先を新たな成長領域の起点に

2020年以降の主なM&Aを見ると、コロナ禍の中、2022年にハワイの飲食店子会社NEW FIELD HONOLULUと、2023年にスペインの飲食子会社KAKEHASHIを譲渡した。

コロナ禍後は買収に転じており、2024年に名古屋駅エリアでバルを1店舗運営しているエー・ラウンドを、2025年に東京・神田エリアを中心に肉バル、カフェ、イタリアンなどを運営しているエッジオブクリフ&コムレイドなど3社を子会社化した。

直近では2026年2月に、名古屋市内でカフェの運営やコーヒーの焙煎加工、卸売りを手がけるマウンテンコーヒーを子会社化しており、今後は非アルコール業態や卸売事業を広げるための起点としていく計画だ。

4年連続で営業増益へ

2026年2月期の売上高は、130億4500万円(前年度比21.4%増)で、このうち約86.9%を居酒屋やレストランなどの飲食事業が占めた。

このほか、不動産の賃貸、管理業務などの不動産事業が売上高全体の約11.6%、卸売業などのその他が同1.6%となった。

芋蔵などの「ジェイグループHD」居酒屋依存脱却へM&Aを加速 非アルコール業態を取り込む
ジェイグループホールディングスの売上高構成比

2027年2月期は売上高133億円(同1.9%増)、営業利益4億5000万円(同7.0%増)を見込む。

2021年2月期から2023年2月期までの3年間は、コロナ禍の影響もあり、営業赤字が続いていたが、その後は営業損益が改善し、2027年2月期は4年連続の営業増益となる見込みだ。

居酒屋を中心に成長してきたジェイグループHDにとって、M&Aは収益源を広げるだけでなく、外食産業の環境変化に対応するための実行手段となる。

芋蔵などの「ジェイグループHD」居酒屋依存脱却へM&Aを加速 非アルコール業態を取り込む
ジェイグループホールディングスの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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