「泣いてないねんけどな」無頼派芸人・金属バットの意外な涙…映画館、格闘ゲームで号泣も、上方漫才大賞で浮上した“疑惑の涙”
「泣いてないねんけどな」無頼派芸人・金属バットの意外な涙…映画館、格闘ゲームで号泣も、上方漫才大賞で浮上した“疑惑の涙”

人前ではなかなか涙を見せそうにない金属バットの二人だが、映画や格闘ゲームとなれば話は別。友保隼平が号泣した映画、小林圭輔が胸を熱くしたウメハラの一戦。

そして最後は、本人が頑として否定する“うれし泣き疑惑”に迫る。

「女の前では絶対泣かん」友保が映画館で号泣した日

—金属バットのお二人が「泣いた話」などありますか? 最近、思わず涙を流したエピソードを教えてください。

友保隼平(以下、友保) 俺ほんまに『トイ・ストーリー3』ですわ。テレビでやってたんで大急ぎで目逸らしましたもんね。あきませんね、あれ。ずっこいでしょ。あの溶鉱炉のとこ、ほんまにバズが首横に振るんすよ。あんな明るいバズが。いつもポジティブなこと言うのに諦めるんやから、マジで。

—あのシーンはたしかに胸が締めつけられますね。

友保 最後アンディが横のガキにおもちゃあげるじゃないですか。で、トイ・ストーリー4がおもんないのを俺知ってるから、もうそこは耐えれるんですけど、一発目見た時はやばかったですね。俺らの理想はアンディのガキに渡してほしかったんですよ。

—なるほど。

友保 そこ裏切ってきよったから。いやあでもズルいね。ズルいねトイ・ストーリー3は。メキシコ語になるじゃないですか、バズが。1個、笑かしてきてんのにそこシリアスなんかい! あれズルいねんな。

小林圭輔(以下、小林) メキシコ語て…スペイン語な。

友保 ちょっとわしの話ばっかになるんですけど、「女の子の前で絶対泣かん」って決めてたんですよ。でも女の子と一緒に『フロリダ・プロジェクト』って映画見に行って、ずっと我慢してたんですよ。

かわいそうな女の子がいて、最後その女の子がほんまに無理ってなって、逃げちゃうんですよ。連れの女の子の手を引っ張ってロサンゼルスのディズニーランドに逃げるシーンで、マジでちゃんと泣いちゃって。

—その時一緒にいらしたのが、今の奥様……。

友保 おっとっと、野暮野暮。

—映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』のショーン・ベイカー監督は昨年の第97回アカデミー賞において、ANORA アノーラ』の作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の5部門を受賞しました。

友保 そうなんですか、そっち見てない。『フロリダプロジェクト』ではゲーゲー泣いてしもて。次の日、大喜利ライブやったんですけど、わしその気持ち引っ張ってもうて、1個もおもろいこと言えんかった。

小林 (笑)。

友保 わし、「ガキ」と「犬死ぬ」。これに弱い。

—友保さん、映画『SIRAT シラート』はご覧になりましたか。

友保 いや、気にはなってるんですけど、見てない。あれどうなんですか? わしグロいのがダメなんですよ。

—グロくはないと思いますが、すごく面白かったという人と3分で出たくなる人と両方いるかもしれないです。

友保 次の日大喜利できますか?

—大喜利は……できないかもしれないです。

※なお友保は取材の後日、映画を鑑賞し、Xに感想を投稿。

「昨日東京でえらい時間あったさかいに絶対ネタバレ無しで映画館で見たがええ言われてたシラート見て来たんやけど 確かに映画館でみやんとの奴やった せやかてわしそないに刺さらなんだわ思てなんじゃかんじゃ仕事して新幹線乗って大阪帰ってからもずっとシラートのサントラ聴いてもてる 好きなんかな」

小林が何度も泣いた、伝説の格闘ゲームの一戦

—小林さんは最近「泣いた」コンテンツって何かありましたか?

小林 よく泣くんでね……やっぱあれですわYouTubeの『獣道』ってやつ。

友保 ああ、格ゲーの大会。

小林 ウメハラ(梅原大吾)っていうプロゲーマーがやってる大会で、その時1番強い人を呼んで、10本先取の試合をするんですよ。長期戦になるとベテランのウメハラはめっちゃ強くて、ずっと勝ってきてたんですよ。

そんなウメハラにMenaRD(メナ・アールディー)っていう、たぶん今、世界一強いドミニカ共和国出身の選手が、Xで「ウメハラとやりたい」って言って。その対戦要求を受けるんです。引き受けるにあたってのPVみたいなのがあって、それで泣きました。

—『獣道 ウメハラという生き方 The Scene: To live is to game』ですね。

小林 そのPVで泣いて、試合でも泣いて、その後、ジョックロックが『獣道』を語るラジオでも泣きました。

友保 忙しいわ。なんでジョックロックで泣くんや。

小林 いや、ジョックロックめっちゃ詳しいのよ。

友保 どっち? ゆうじろー? (福本)ユウショウ?

小林 ユウショウ。ユウショウが詳しくて、もう10年以上前の格ゲー業界の話をゆうじろーに説明してんの。あと、界隈の配信してるなるおっていう人がおって…。

友保 わらふぢ?

小林 (無視して)そのなるおがウメハラと会った時に「MenaRDとの試合どうなんですか」って聞いたんですよ。実際ウメハラは、ベテランで今はもう選手としてのピークじゃないんです。でも、久々にMenaRDとやるってなって、本気でめっちゃ練習して詰めてて。

「MenaRDとの試合どうなんですか」っていう質問に、「あなたたちが憧れてたヒーローが帰ってきますよ」って答えた。

—痺れますね。

小林 本編6時間あるんですけど、全部見ました。

45歳vs26歳の一戦で泣けるベテランの一言

—どういうところに小林さんはグッとくるんですか?

小林 ゲームをやってる人じゃないと、伝わらん話なんですけど、試合中の前歩きだけで泣いたりしますね。

—前歩きで泣く……?

小林 まさに「どういう意味?」っていうか、何してんのこの人っていうプレイをする時があるんです。

友保 藤井聡太みたいなね。

なんでここ打つねんみたいな。

小林 どこまで歩くねんお前っていう。

—ゲームに小林さんほど入れ込んでる芸人さんって他にいらっしゃるんですか?

小林 マヂカルラブリー)野田(クリスタル)さんはマジで好きですね。野田さんもちゃんとEVO(世界最大級の格闘ゲームイベント)とか正座して見て泣いてる人です。ユウショウも。

友保 ゆうじろーは?

小林 ゆうじろーはユウショウに一時間ぐらい語られて、染まりそうやった。

—スポーツ観戦みたいな感覚なんですね。

小林 そうですね。ときどとPunkの対戦も泣きましたよ。EVOは格闘ゲーム界のM-1グランプリですからね。

—やっぱりただの勝ち負けを超えた人間ドラマがあるのでしょうか。ちょっと気力を失った人がもう一度自分を奮い立たせて戦いの舞台に立つみたいな。

友保 THE SECONDですね。

—やっぱり格闘ゲームも若い人が有利なんですか。

小林 ですね。反射神経がいるから。ウメハラは第一人者だけど今年45歳で、MenaRDはまだ26歳。普通に考えたら負けますよね。MenaRDは脂がのってて強すぎる。

でも、試合が始まる直前に選手から一言ずつコメントをもらうんですけど、とっくにピークを過ぎたと思われるウメハラが「今すごい仕上がってるから、今日の俺に勝ったら大したもんやで」みたいなことを言うんですよ。

友保 カマすんや?

小林 いや、カマしてる感じでもない。若者がカマしてる感じじゃないんですよ。本気でそう感じてしゃべってる感じ。結局、負けるんですけどね。

ウメハラは自分でもプロゲーマーとしてのキャリアは「終わった」と思ってて、惰性でプロ続けてる感じやったけど、MenaRDと対戦するってなって、本気で練習に打ち込んだ時に「あれ俺、まだいけるぞ」ってなったらしいです。

—映画『ロッキー』みたい。いいですね……

小林 負けたけど、内容がめっちゃ良かった。まだまだいけるやんって。

—ふだんは小林さんがノリノリでしゃべってると、友保さんはうれしそうに話に乗ることが多いですが、格闘ゲームに関してはあんまり食いつかないですね。

友保 いや、俺1つ別で言いたいことあるんですよね。小林の「泣き疑惑」が…。

—どういうことですか?

友保 あの今年の上漫(上方漫才大賞)の奨励賞をわしらが取った時、小林が泣いてんじゃないか疑惑。これが今、ちょっとね、ホットなんですよ。

上方漫才大賞での疑惑の涙

—小林さんが人前で泣いた疑惑……?

友保 わしはあの時「ラッキーラッキー イェーイ♪」って言ってたんですけど、後々いろんなやつから聞いたんが、小林の目が赤かったんじゃないかっていう。で、わしもあの時ふっと小林を見たら、確かにウミガメやったら卵産んでる時くらいの目しててね。そんで、小林がありえへん動きのお辞儀してたっていう。見たことないタイプのお辞儀してたんで。

小林 感謝や。感謝の気持ちを表したんやで。

—小林さん的にはちょっと感極まった感じはあったんですか。

小林 いや、そんなんなかったんですよ。

友保 いやいや、多方面から情報きてますから。

—泣くに値する素晴らしい賞ですし、泣いてもいいのでは……。

友保 いやでも、人前で泣く、泣かへんっていう男のね。あと、芸事に泣かへんプライドもね。やけどまあ、5日間寝てないぐらいの目の赤さ。あと見たことないお辞儀と敬礼。これはどう考えても変やな。

小林 敬礼? 泣いてないねんけどなぁ。うれしかったはあるけど、感極まった感じはなかったよ。

—なんでちょっとツッパるんですか。ここまで各方面から情報が集まってるのに。

小林 ちゃんとした記者の人からならわかるけど、ここ(友保)の各方面はあてにならない人たちなんですよ。

友保 せやかて、「小林が泣いてた」なんかあんまり聞かんしな。彼が「泣いてない」っていうのは、やっぱりひとつ芸事ではピッとしたい、そのプライドもあるんじゃないかと。

小林 泣いてないんやけどな。

友保 涙こそ出てないけど。奥からこみ上げてくるものを眼圧で抑え込んでる感じはあったんじゃないかと。

—友保さん的にはやっぱり泣いててほしいですか。

友保 いや、泣いてたら泣いてたでええねんけど、何を隠してんねんやろっていう。あとあのお辞儀なんやねん。

小林 あれは優勝用やろ。

友保 いや1回俺、見たことあるんですよ、そのお辞儀を。前に見たんがNSC(吉本総合芸能学院、吉本興業のお笑い養成所)の時のラッキィ池田さんの授業で。

小林 それは覚えてない(笑)。

友保 「好きな動きせい」言われて、うわーって小林が動いた後にそのお辞儀をしたことがあって。あの時もみんなが「あれなんや」って。あれ以来やったから。小林の感情が動いたんかな。

苦節約20年、金属バットの受賞と「泣いてない」芸人のプライド

—たしかに小林さんはあまり何事にも動じない印象です。感情が動くイメージがない。

小林 感情は動くんですよ。

友保 動くけど人前では出さん感じやから。ってことは……泣いたんじゃないか。あの目の赤さ。

—ちなみに金属バットが漫才コンテスト『SAKAI NO OWARAI』で初受賞した時の小林さんは泣きましたか?

友保 『SAKAI NO OWARAI』の時は俺、明確に覚えてるんですけど、まったく泣いてなかったですし、あのお辞儀もなかった。

小林 『SAKAI NO OWARAI』は泣かんやろ(笑)。

友保 苦節20年ぐらいですか。ずっと余計者でおって、本流じゃない人間がついに上漫で賞を取れた。で、あのお辞儀ね。クルクルクルンっていう。あのお辞儀してたから、やっぱ泣いてないと辻褄も合わない。目は真っ赤っかやし。

小林 泣いてないねんけどな。

—人間はいろいろな感情で涙を流すじゃないですか。怒り、悲しみ、悔しさ、笑い泣きもあります。で、今回は、うれし泣き。自分がやってきたことが認められたうれしさで、涙が流れた。

小林 いや、泣いてないねんけどな。

友保 男の子やし泣いてなんてない。泣くもんか。男の子やさかい。そうしときましょう。野暮でした。ちなみにガクテンソクの奥田さんは昔の競馬のCM見てガンガン泣いてるらしいです。

小林 JRA(日本中央競馬会)の。それは俺も泣いたことあるわ。

取材・文/西澤千央

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