司会は若き日の今田耕司と東野幸治で、(世間的に)売れていない女性アイドルたちが体を張ったゲームや企画に挑戦するといった、いかにも深夜ならではの番組だ。
アイドルたちも自分を売り込むのに必死でやりたい放題! 総勢30人を超えるアイドルたちが誰よりも目立つべく、そして他人を蹴落とすべく、過激なバトルが繰り広げられていた中、
最も存在感を発揮していたのが遠峯ありさ。現在の華原朋美だ。
「おっとり」「のんびり」な現在とは真逆の「勝気」「イケイケ」なキャラクターで、良くも悪くもその天真爛漫な魅力を振りまいていたのだ。
【掟破り上等!わが道を行く暴走キャラ】
当時は今に比べて規制がゆるかった上に生放送とあって、当たり前のように放送事故ギリギリなシーンを乱発!
「水中カルタ取りゲーム」では、水着姿で巨大水槽に潜水し、取られた札を奪うため(ルール上反則)、相手を溺れさせる勢いで猛突進! 闘争心むき出しすぎて「小悪魔じゃなく悪魔」と形容されるその姿にスタジオはドン引き。
他のライバルを見る目が異常に冷たいのは基本で、変な関西弁で月収1万円を愚痴りながら事務所の社長に蹴りを入れるなんてことも。
番組中にサラッと年齢詐称を認めたり、中指立てたりとルール無用のアンタッチャブルさが持ち味だった彼女が、この後2年足らずでミリオンセラーのアーティストに上り詰めるなんて、当時のアイドルマニアでも誰一人として読めなかったはずだ。
【きわどいエロにも完全対応】
深夜らしいエロ方面にもキチンと対応していたのが彼女の凄いところ。
手を使わず口だけでバナナの皮をむいたり、サーキュレーターでめくられそうなスカートを必死に押さえるなんて仕事もしっかりとこなし、「初キスは中2」とカミングアウトするのは可愛い方で、「キュウリ、ナス、バナナ、あそこに入れるのは?」の問いには「おちんちん!」と視聴者の期待に応え、「黒、赤、ピンク、あなたの乳首の色は?」には「黒っていえばいいんでしょ!」とキレながら回答。
「私生活ではされるがままの方がいい」と意味深発言したりで、サービス精神が旺盛すぎて、見ているこちらが不安になるほどだったのだ。
【枠にはまらないアイドル像が小室の胸を打った?】
そんな、アイドルとしては異端の魅力を発揮する遠峯ありさをこの番組で気に入ったのが小室哲哉(TK)。
この番組の打ち上げの時、プロデューサー経由で「遠峯さんに会いたい」と自ら打診。それを聞いた彼女が、TKが経営していたクラブに足を運んだのが二人の出会いのきっかけだ。
さすがは(B級)アイドルマニアのTK! 最初の奥さんが80年代のアイドルデュオ「キララとウララ」のキララなのは伊達じゃない!
華原朋美に改名してからの快進撃はご存知の通り。そして、その後の別れと転落も……。
この8月には"華原朋美としての20周年"を記念して「華原朋美を生きる。」を出版した彼女。遠峯ありさ時代と現在の華原朋美、どちらが真の姿か筆者には分からない。でも、どちらも人間味にあふれていて、人を惹きつける魅力がいっぱいなのは確かだ。
遠峯ありさ時代の下積み経験は、過酷な芸能界を生き抜く糧となっていると思いたい。
(バーグマン田形)