ウルトラマンの地球での活動時間は今も昔も3分と決まっている。実際にテレビでバトルシーンを見ていると、3分過ぎているんじゃない?と疑問を持つこともあるが、3分だ。
設定に忠実なアクションゲーム『ウルトラマン』
『ウルトラマン』は元作品の設定に非常に忠実なゲームだった。3分という時間制限の中で地球に現れる怪獣を倒さなければならないというルールは、プレイヤーにとってものすごいプレッシャーを与えてくれた。スーパーファミコン登場初期のゲームとしては、これほど完成度の高いソフトもそうなかっただろう。
高い緊張感の中繰り広げられるウルトラマンと怪獣のバトルは、自分がプレイしているときはもちろん、友だちがプレイしているのを横目で見ているだけで手に汗握ったものだ。
厳しすぎる条件に何度も泣かされたあの日
3分あれば余裕でしょという考えで『ウルトラマン』をプレイしてはいけない。なぜなら、怪獣を倒すにためには決まりごとが存在したからだ。それは、怪獣の体力を0にして“FINISH”の表示が出ている状態で、スペシウム光線を発射しなくてはいけないというものだった。そう、元作品でウルトラマンがいつも見せているように、トドメにスペシウム光線を撃つのだ。
ルールの字面だけを見れば簡単そうに見えるが、スペシウム光線を打つにはゲージを満タンまでためる必要がある。しかし、ゲージは時間経過でしか貯まらないうえ、体力も時間経過で少しずつ回復するという仕様だった。つまり、スペシウム光線を放とうとしている間に怪獣の体力が回復してしまい、倒せるチャンスを逃す事態が多発した。
その厳しすぎる勝利条件を達成できずに、途中で諦めてしまった仲間も数知れず。そんな中で諦めの悪い少年(筆者)は、悔しい思いを何度も重ねながら、パターンにハメるという悪手を覚えていった。一定の手順さえ踏めば簡単に怪獣を倒せることを発見した筆者は、諦めた仲間に得意げに『ウルトラマン』攻略法を教えた。
「せこ…」
勝利パターンにハメるという作業のような戦い方は、「こんなのウルトラマンの戦い方じゃない」とでもいわんばかりの不評を浴びることになった。筆者にとっては悲しい思い出のつまったゲームだ。
(空閑叉京/HEW)