年末の風物詩、紅白歌合戦。
様々なアーティストが出演しますが、出演者の中には未成年のアイドルや歌手も多く、その様な時よく話題になるのが出演者の「出演時間」です。

それもそのはず、18歳未満のアーティストやタレント、幼い子役タレントが仕事に従事することができる時間については、労働基準法に規制があります。
子どもタレントの人気や、未成年アイドルの人気などで、18歳未満の出演者も多くいる紅白歌合戦。18歳未満の出演者と労働基準法について紹介していきます。
紅白歌合戦と労働基準法−− 18歳未満のアイドルは何時まで出...の画像はこちら >>

●午後10時から午前5時まではNG
労働基準法では、18歳に満たない年少労働者は、原則として午後10時から午前5時までの深夜時間に就労させてはならないとし、また、法定労働時間を超える残業や休日労働も禁止しています。
特に、義務教育が終わるまでの児童(15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの子)については、原則として就労そのものが禁止され、一定の軽易な業務(満13歳以上の児童に限ります)や「映画の製作や演劇の事業」について、労働基準監督署長の許可を得た場合に限り、例外的に就労できることになっています。
義務教育が終わるまでの児童に仕事をさせる場合も、学業との両立や子の健全な育成という観点から、就労できる労働時間を、就学時間(学校の授業時間)を通算して1日あたり7時間、1週間あたり40時間を限度としています。

深夜労働についても、さらに規制が厳しくなっており、原則として午後8時から午前5時までの就労が禁止されています。
歌番組等で、中学生アーティストが午後8時前に会場を後にする姿を見ることがありますが、これは労働基準法の規制を念頭に置いたものです。
少し前の紅白歌合戦では、芦田愛菜さんと鈴木福くんの出演時間にも注目が集まりましたが、20時前には全ての仕事が終わる順番で進めたようです。
以上は、アーティストやタレントが「労働者」であることを前提としています。

●アーティストやタレントは「労働者」?
「労働者」にあたるかどうかは、使用者の指揮監督下で労務を提供し、その対価として賃金を取得する関係があるかどうかで決まります。
アーティストやタレントは、所属事務所との間でマネジメント契約を締結する個人事業者とされていることが多いですが、所属事務所の仕事を断れないとか、時間や場所を拘束されている、労働時間に応じて報酬が支払われるなど、労働者と変わらない就労実態があれば労働基準法の規制が及ぶことになります。

なお、歌番組等で、仕事としてではなく、出番が終わった後、会場で客として観覧することが規制されるかどうかは、労働から完全に解放されているかどうかと、深夜外出を規制する都道府県ごとの青少年健全育成条例の定めによります。
ほとんどの条例で、午後11時以降の深夜時間に及ぶ外出は、保護者が同伴し、あるいは保護者の明確な同意を得ていることが必要とされています。

*著者:弁護士 好川久治(ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所。家事事件から倒産事件、交通事故、労働問題、企業法務・コンプライアンスまで幅広く業務をこなす。)
*画像: Pavel L Photo and Video / Shutterstock.com