「生命保険の見直し」は駅ビルやショッピングセンターなどに店舗を構える保険ショップの増加により、すっかりお馴染みになった感がある。1つでさまざまな保障内容をカバーする大手生命保険会社のパッケージ型商品に加入している人から相談を受け、死亡、病気・けがの医療費、病気・けがによる収入減など個々の保障に分解し、必要な保障金額や期間を検討する。

それに基づき、個々の保障に合わせて単品の保険商品を多くの保険会社から選び、組み合わせて加入し直しを提案するという方法が、典型的な見直しパターンの1つだ。

●保険の見直しで提案されることが多い収入保障保険と医療保険

 単品の保険で提案されることが多いものに、「収入保障保険」と「医療保険」がある。収入保障保険とは定期保険の一種で、被保険者が死亡したときや所定の高度障害状態になったときに、加入時に設定した保険期間が終わるまで、遺族に毎月一定の金額が支払われる保険だ。たとえば、35歳時に年金月額10万円、保険期間65歳として加入し、すぐに亡くなった場合、遺族が受け取る年金総額は10万円×12カ月×30年=3,600万円となる。10年後の45歳時に亡くなった場合の年金総額は2,400万円と年月の経過により遺族が受け取れる総額も減っていく。特に子育て世帯は子どもの成長に伴い必要な保障額が減っていくことを考えると、合理的な保障の仕組みであり、保険料も安い。


 医療保険は入院や手術を受けたときなどに給付金が受け取れる保険で、先進医療を受けたときの実費を保障する先進医療特約もついているのが標準的なプランだ。

●知名度は低いが収入保障保険と医療保険で高い競争力を持つ2社とは?

 収入保障保険と医療保険で、保険料と保障内容のバランス、つまり割安度で商品を評価すると最上位レベルにあると思われるのが、ネオファースト生命とメディケア生命の商品だ。「聞いたことがない保険会社だけど外資系?」と思う人も多いかもしれない。現時点では、知名度が低いと言わざるを得ない2社である。

 ネオファースト生命は、日産火災海上(現 損保ジャパン日本興亜)の子会社・DIY生命として設立され、2014年に株式譲渡により、第一生命の100%子会社となっている。メディケア生命は住友生命と三井生命の共同出資により設立され、14年より住友生命の100%子会社となっている。


 共に親会社のようなパッケージ型の商品ではなく医療保険などの単品商品を取り揃え、多くの保険会社の商品を取り扱う保険ショップや保険代理店などを主な販路とし、存在感を強めている。自社の営業職員が直接、消費者に販売するのとは異なり、こうした販路では外資系生保やカタカナ生保(オリックス生命やソニー生命など保険業界以外の国内企業が資本を持つ生命保険会社)などとの価格競争にさらされるため、戦略的に割安な保険料設定がされるのが自然な流れだ。

 また、両社の商品は安いだけではなく、保障内容でも意欲的な取り組みが目立つ。たとえば、ネオファースト生命は17年10月から「ネオde健康エール」の発売を開始した。この商品はがんや脳血管疾患などの8大生活習慣病により所定の入院をすると一時金が50~100万円受け取れるというシンプルな保障だが、画期的なのは保険料を実年齢ではなく、健康診断結果から算定する「健康年齢」で決定するという点である。保険期間は3年間で、3年毎に健康年齢を判定し保険料が変わるので、加入することで健康に気をつかうモチベーションにもなる。


●子育て世帯は「セカンドライン」に注目!

 あなたは、「セカンドライン」という言葉を聞いたことがあるだろうか。もともとはデザイナーズブランドがより若い客層に向けて買いやすい価格帯に設定しビジネス拡大を図る別ブランドを呼んだものだ。一定以上の年齢であれば、ジョルジオ・アルマーニのセカンドラインである「エンポリオ・アルマーニ」が人気を集めたのを覚えている人も多いだろう。

 ネオファースト生命やメディケア生命はまさに親会社のセカンドラインと位置付けることができる。そのコストパフォーマンスの高さから、特に20代から40代の子育て世帯が生命保険を検討するときには、候補に入れてほしい保険会社である。
(文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)