木村拓哉が主演を務める今クールの連続テレビドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)の第1話が18日、放送された。

 かつて優秀なボディーガードとして活躍していた島崎章(木村拓哉)は、ある事情で今はボディーガードをやめ、民間警備会社・日ノ出警備保障で警備員として働いていた。

ある日、同社社長から呼び出された島崎は、新たに立ち上げる身辺警護課に異動して要人警護の職に当たることを打診される。

 訓練を重ね無事審査に合格した身辺警護課の新メンバーの元に、初の仕事として、隅田川マラソン大会開会式に出席する食品会社会長・大久保佐助(伊武雅刀)の警護の依頼が舞い込む。その開会式には、殺人を示唆する脅迫を受けていた厚生労働大臣・立原愛子(石田ゆり子)が出席するため、警視庁による厳戒態勢が敷かれる予定になっていたのだ。

 そして開会式当日、スタンドで爆発が起こり会場となったスタジアムは混乱状態となり、島崎ら身辺警護課のメンバーは大久保を避難させようと誘導するが、島崎はほかの爆発物がないか会場内の捜索に当たる。すると扉の空いた部屋に、なぜか警視庁SPから逃げた立原大臣が一人きりで立っているのを見つけ、不自然な行動を詰問していると、そこに「週刊時論」記者・犬飼悟(勝地涼)が入ってくる。脅迫が立原大臣による“自作自演”であることを知った犬飼が本当に爆弾を仕掛け、立原大臣を呼び出し単独インタビューを行おうとしていたのだ。


 立原大臣を逃がすために島崎が犬飼と格闘しているところに、落合義明(江口洋介)らSPが現れると、犬飼は立原大臣の体をつかみ喉元に刃物を当て、SPは拳銃を構える。そこで島崎は機転を利かせて落合にサインを送り、共同でアクションを起こすことでSPは犬飼の逮捕に成功する。

 事件が解決しその場を立ち去ろうとする島崎に向かって落合は、「私は民間が要人警護するのは反対です。金銭で人は守れません。用心棒に活躍の場などありません」と持論をぶつける。これを受け島崎は、「あなたたちが拳銃を出さなかったら、アイツは刃物なんか出さなかったんじゃないですかね? 丸腰の棒切れでも、丸腰だから、人を守れることもあるんじゃないですかね」と反論するところまでが、第1話では放送された。


●キムタクドラマ

 第1話を見た感想としては、一般の人々には馴染みの薄い要人警護の世界が細かく描かれていたり、さまざまな背景を持つ多彩な登場人物たちの人間模様が描かれていたりと、それなりに見応えはあるのだが、ドラマが全体的にどうもいまいち“ノッペリ”していて、盛り上がらない。

 その原因は、起伏がなく常にボソボソと話す木村の演技にあるといえるだろう。木村といえば「どのドラマに出てもキムタク」という点が特徴とされ、それが評価され俳優としての人気を誇っていた時期も長かったが、すでに多くの視聴者はそんな木村の演技に飽きてしまっている。「自然体」といえば聞こえは良いが、「棒演技」「無演技」という表現も当てはまる。

 また、たとえば警護という仕事に対する恐怖心が薄い高梨雅也(斎藤工)が「自分、ひとりで守れますんで」と言った後、島崎はため息混じりに顔を横に向け少し間をあけてから、「君こそ向いてないんじゃないの?」「俺は、怖くない人と組むの怖いな」というシーンでも、その表情や演技、間のとり方、首を傾ける角度など、「ああ、またいつものキムタク」とゲンナリしてしまう。

 このほかにも、島崎はマラソン大会当日の警備計画を練り直すために一人で大会会場に忍び込んで検証を重ねるというストーリーも、過去に『HERO』(フジテレビ系)や『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)などで木村が演じた、“優秀だが型にはまらない異端児が、問題解決のためにトコトン行動力を発揮する”という設定とダブっており、マンネリ感が否めない。


 さらに、“ボディーガード復帰のため必死でトレーニングに励むキムタク”“初老の警備員の工事現場に、わざわざカップラーメンの差し入れを持っていくキムタク”“格闘シーンで激しいアクション見せるキムタク”と、これまたいつものキムタクドラマでお決まりの“カコいいキムタク”のオンパレード。これまで多くの木村のドラマを見てきた視聴者にとってみれば、「もう、いい加減にいいよ」とゲンナリだろう。

 木村自身も制作陣も“キムタクドラマ”を脱することができるかどうかが、『BG』成功のカギを握っているといえるのではないだろうか。高視聴率に期待したい。
(文=米倉奈津子/ライター)