GACKTが今回で“VISUALIVE”を最期にする真意とは?/インタビュー2

■GACKT/New Album『LAST MOON』インタビュー(2/4)

――インタビュー1より

あとは、「この表演方法を使って(“VISUALIVE”を)演りたい」というアーティストをサポートする側に回るのがボクの役目なのかな……。

――M7「傀儡が如く」は、硬質なデジタルビートに貫かれながら、盛り込まれている音は日本的で、その融合もまたユニークでした。


GACKT:そうだね。ボクは音楽的にとにかくジャパネスクを意識しているし、自分の中で、ジパングロックというジャンルを確立させたい、という想いがずっと昔からある。和楽器を使ったからと言ってジパングロックになるか?というと、実はならないんだよ。ロックはそもそも様式美の中から生まれているものだから。いわゆる洋楽というのはイギリスから発祥したものだし、さらにそこから派生した、いわゆるアメリカンロック、ジャーマンロックを使いながら、ボクらはいわゆる“ヴィジュアルロック”と呼ばれるところのオリジナルなロック文化をつくってきたわけで。その中でも「ボクができる部分って何だろう?」って考えた時に、ジャパネスク、ジパングロックと呼ばれるものをつくろう、と思い始めたのが2004、5年ぐらいかな? そこから研究し始めて、つくり始めていって。
でも、なかなか難しいんだよ。さっき言ったように、ただ和楽器を使えばできますよ、という話じゃない。だから、どうやったらパッと音を聴いて「あ、これ日本人がつくったんだな」と思ってもらえるものになるのかをずっと考えてた。

GACKTが今回で“VISUALIVE”を最期にする真意とは?/インタビュー2

――GACKTさんの中で、研究を重ねる時間もそれなりに必要だったんですね?

GACKT:そういう期間もあったね。取り入れてすぐに使えるわけではない。突き詰めてやっていかないと。
全体としてのバランスを取るのも難しいからね。

――今、ジパングロックが世界で求められている、ですとか、打ち出していく今がチャンスだ、という感覚はありますか?

GACKT:いや、それはない。むしろ、求められているかどうかで言えば、今はもう、世界的に見ればK-POPのほうが求められてんじゃないの? 音楽に限らず、今の日本は、世界における日本という国の地位の感覚を完全に読み違えているというか、自己過大評価しすぎているよ。。たしかに数年前までは、日本人という人種や、日本がつくる製品、文化は世界でトップだったし、実際に認知度はあった。でも今は、“日本”と言われて唯一世界の人たちが認識できるのは、京都ぐらいだよ。
日本人の海外留学生の数だって、2000年に比べてグッと縮小しているから。つまり、日本人がもう、海外にいない。昔行った人たちしかいない。だから、今の45歳より上の年代の外国人たちは日本のことを知っているけど、20代、30代前半の(海外の)子たちは、一部の人たちを除いて、日本のことを全然知らない。「このままでいいの? ボクら、消えるぜ?」という危機感をボクは今抱いている。それなのに、日本の小さいマーケットの中で、どんどん小さくなっていく米櫃の中をみんなで漁っていて、「意味あるのか?」と、すごく感じている。


GACKTが今回で“VISUALIVE”を最期にする真意とは?/インタビュー2

――世界における日本の存在感が、風前の灯火になっている、と……。そんな中、GACKTさんはジパングロックを磨いておられるわけですが、『LAST VISUALIVE~』では、どんな物語が描かれるのか、ヒントをいただけますか?

GACKT:この『LAST VISUALIVE~』に向けて打ち出したのは、『義経 秘伝』という物語だったんだ。それは何か……もともと、ヴァンパイアを描いた『MOON SAGA』という、西暦2040年ぐらいまで続く長いお伽話を作ったわけさ。それを遡ると西暦500年ぐらいからの話になる。2002年ぐらいからボクはこの物語を書き始めて、「どうやって表現していこう?」と思った時に、「物語の最後から表現していこう」と思って『MOON CHILD』(2003年、GACKTが原案・脚本を手掛けた映画。GACKT本人がHYDEと共に出演)からつくり始めて。
それで、ヴァンパイアの話を遡りながら、ライブでも表現するようになって……と、連動していく話をつくったんだよ。ライブでは下弦の月、上弦の月といったタイトルで表現して、そのあとにDIABOLOSというものも演って。物語の間には抜けていて描かれていない部分もあるんだけど、「その起源がどこにあるのか?」という時に、実はこのヴァンパイアの起源は日本にある、というところから、鬼の話が始まって。その鬼の話が実は、義経の物語だったってことなんだよ。そして、この義経の話が、『義経 秘伝』という形で、まずは舞台(での表現)から先行させて、一章、二章とつくるようにした。そしていよいよ今回、この『LAST VISUALIVE~』に向かっていくんだ。


GACKTが今回で“VISUALIVE”を最期にする真意とは?/インタビュー2

――GACKTさんのあらゆる表現活動が互いにリンクし合って織りなされる、壮大な世界なんですね。

GACKT:そう。「じゃあ、『LAST VISUALIVE』は“義経”(の話)なんですか?」と言われると、それは逆で。『LAST VISUALIVE 最期ノ月 -LAST MOON-』というステージの中に、“義経”の物語が一部入っている。“義経”も、(大きな物語の)その一部に過ぎないんだよ。2002年ぐらいから“VISUALIVE”というものを追い始め、確立しようとボクはずっともがいてた。音楽、映像、演出、物語……一つの物語をつくって、それをどうやって、ステージで、ロックを通して表現していくのか?という“表演”方法を模索していたんだよ。表“現”ではなく、表“演”方法を探そうと思い始めてからは、いろいろと試行錯誤しながらずっとやって来た。そして、いろんなライブをやった中で、2009年の『GACKT VISUALIVE ARENA TOUR 2009 REQUIEM ET REMINISCENCE II FINAL ~鎮魂と再生~』の舞台で、一つの“VISUALIVE”を確立したな、と感じて。でもその時に、つくるのにすごく時間が掛かったんだよ。「次のVISUALIVEをつくるのに一体何年掛かるんだろう?」と考えた時、「おそらく次が最期になるな」というのを感じて……。だってさ、前回の“VISUALIVE”が2009年で、今回が2016年じゃない? 7年経ってるんだよ。次をつくったら、ボクは50だよ。……もう、ウケるよ(笑)。

GACKTが今回で“VISUALIVE”を最期にする真意とは?/インタビュー2

――(笑)。

GACKT:「これはちょっと厳しいんじゃないかな?」って。だから今回、『LAST VISUALIVE』と名前を付けたのも、おそらく、精神的にも体力的にも、できるのはこれが最期になるんじゃないかな?という実直な想いがあったからさ。あとは、「この表演方法を使って演りたい」というアーティストをサポートする側に回るのがボクの役目なのかな?とかさ。そんなことを思ってる。

――確立した後に、継承していくことも視野に入れている、と。

GACKT:そう。まあ、やりたい人がやればいいんじゃないの?って……。 別に無理にやらせたいとは思ってないし。

GACKTが今回で“VISUALIVE”を最期にする真意とは?/インタビュー2
LAST MOON【CD+DVD】

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LAST MOON【CD】

――後輩で「ボクが!」と手を挙げている方もいるんですか?

GACKT:いるけど、「できるのか?」っていうのもある(笑)。才能が溢れている子たちの中で、「あ、この子だったらできるかな?」という子たちを応援したいと思ってんだよ。……ずっとゴールの見えない距離をランニングすることはできないんだよ。ボクは全速力で走るタイプだから。ゴールを決めないと、そこに向かって全速力にはなれない。ずっとは続かないからさ。だから、目標として一度“LAST”と定める必要があった。そこから後は、終わってから考えようって。どこまで生きていられるかも分からないし。とにかく行けるとこまで走ろうって。それで、走ってから次のことを考えよう、という感じ。

――GACKTさんはお若いので、50歳になられてもきっと、ずっと美しくタフで……という気もするんですが。

GACKT:いやいやいや。あのね、そういうのヤメてよ。ホントに(笑)。

――インタビュー3へ

≪リリース情報≫
New Album
『LAST MOON』
2016.04.27リリース

【プレミアムエディション】
GLCD-00014 / ¥16,800(税抜)
【CD+DVD】
GLCD-00015 / ¥4,800(税抜)
【CD only】
GLCD-00016 / ¥3,800(税抜)

[収録曲]
1. ARROW
2. 花も散ゆ
3. RETURNER ~闇の終焉~
4. RIDE OR DIE
5. 暁月夜 -DAY BREAKERS-
6. 斬 ~ZAN~
7. 傀儡が如く
8. ONE MORE KISS
9. 舞哈BABY!! -WooHa-
10. 恋のFRIDAY!!!
11. キミだけのボクでいるから
12. P.S. I LOVE U
13. 雪月花 -The end of silence-
<DVD>
1. ARROW
2. RETURNER ~闇の終焉~
3. 暁月夜 -DAY BREAKERS-
4. P.S. I LOVE U
5. 雪月花 -The end of silence-
※新曲「傀儡が如く」MUSIC CLIPを視聴できるシリアルコード付き

≪ツアー情報≫
【GACKT WORLD TOUR 2016 LAST VISUALIVE supported by Nestle】
2016年4月29日(金・祝)北海道・ニトリ文化ホール
2016年4月30日(土)北海道・ニトリ文化ホール
2016年5月3日(火・祝)大阪・大阪国際会議場 グランキューブ大阪
2016年5月4日(水・祝)大阪・大阪国際会議場 グランキューブ大阪
2016年5月7日(土)栃木・栃木県総合文化センター メインホール
2016年5月8日(日)栃木・栃木県総合文化センター メインホール
2016年5月10日(火)千葉・森のホール21 大ホール
2016年5月12日(木)東京・中野サンプラザホール
2016年5月14日(土)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2016年5月15日(日)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2016年5月21日(土)愛媛・松山市民会館 大ホール
2016年5月22日(日)香川・サンポートホール高松 大ホール
2016年5月27日(金)東京・東京国際フォーラム ホールA
2016年5月28日(土)東京・東京国際フォーラム ホールA
2016年6月3日(金)岩手・岩手県民会館 大ホール
2016年6月4日(土)宮城・仙台サンプラザホール
2016年6月7日(火)埼玉・大宮ソニックシティ
2016年6月10日(金)広島・上野学園ホール
2016年6月12日(日)山口・山口市民会館 大ホール
2016年6月15日(水)熊本・熊本市民会館崇城大学ホール
2016年6月17日(金)宮崎・宮崎市民文化ホール 大ホール
2016年6月19日(日)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2016年6月25日(土)沖縄・沖縄市民会館 大ホール
2016年6月26日(日)沖縄・沖縄市民会館 大ホール
2016年7月2日(土)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
2016年7月3日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナ

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