遊助、羞恥心セルフリメイク「羞恥心の心」も収録した8thアルバムをリリース/インタビュー1

■遊助/アルバム『あの・・こっからが山場なんですケド。』インタビュー(1/3)

遊助が通算8枚目となるニューアルバム『あの・・こっからが山場なんですケド。
』を完成させた。毎度お馴染みの遊turing相手には、ジャパニーズレゲエのパイオニアであり自身のルーツともいえるMOOMINや、山猿、KIRAを迎えてがっちりコラボ。さらに彼が注目を浴びるキッカケとなった「羞恥心」を10年の時を越えてセルフリメイクした「羞恥心の心」も通常盤に収録されている。先行シングルとなった「みんな頑張ってる」ではフォーキーな曲調に挑戦して新境地を開拓するなど、さらなる高みをめざして前進中の遊助。今年でソロデビュー10年目、果たして彼はどんな思いで本作を作りあげたのか。
(取材・文/猪又 孝)

10年やり続けて、どんどんラクになってきてる

――先行シングルとなった「みんな頑張ってる」で取材させてもらった時に「アルバム制作は脂が乗りまくってる」という趣旨の発言をされていましたが、実際、今回の制作ペースはどんな感じでしたか?

遊助:その時と同じですね。
ポンポコ(曲が)出たというか、まったく苦もなく作れました。

――「遊助」になって10年目ということで、モチベーションがいつも以上に高かった?

遊助:気にしないようにしようと思っている時点で気にしてるんだけど、10年目だから区切らなきゃ、みたいなことは考えないようにしていて。あくまで通過点だから。ただ、いろんな人たちに支えられながらも、ソロとして一人で10年やり続けたっていう誇りもあるし、「なんとかここまできたぜ」みたいな思いもあって……。だからこそ言える言葉や許される表現とかもあるのかな、というところがちょっとあるんだよね、初心は忘れずにいなきゃいけないっていうのもあるんだけど、10年経って殻が破けたというか。みんなが待ってるモノと自分が言いたいことがそれほど乖離しなくなってきたところもあるなと思っているんです。


――リスナーの存在を必要以上に意識せずともモノづくりができるようになってきた、ということですか?

遊助:もちろん聴く人のことを想像しながら作るんだけど、それを過度に考えなくなった。それはステージから見る景色だったり、バラエティの時の視聴者の反応だったり、ゲストや司会者の人とのパス交換だったり、ちょっとずつ、ちょっとずつ、頑張って寄せなくてもよくなったというか。
遊助、羞恥心セルフリメイク「羞恥心の心」も収録した8thアルバムをリリース/インタビュー1

――リスナーを含め周りの人と信頼関係が築けてきた?

遊助:そう。言葉が合ってるかわからないけど、どんどんラクになってきてる。だから、遊助のまんまでいいや、っていう感じで今回は作れたなって。これまでもありのままだったんだよ。
でも前は、みんなが待っているバージョンの遊助をありのまま表現していたというか。今回は特別取り繕うこともなく、「もうみんなわかってるよね?」「もう、コレ、俺です」みたいな思いで作れたんだよね。

――シングル曲以外で、まず手始めに作った曲は?

遊助:「リベンジ」だったかな。これは「こういうトラックが欲しいんだ」とN.O.B.B.くんに伝えて作ってもらって。最初は冒頭の「Oh Oh」のコーラス部分がなかったんだけど、ラグビーの「HAKA」みたいな感じで、武骨な男たちがザッ、ザッと歩いてくるような、勝負に向かう世界観を出したいと思って、アレを入れたの。

――「リベンジ」は、サウンド的にも歌詞の内容的にも、得意な方向性の曲だと思うんです。
ということは、慣れ親しんだ世界観の曲から手を付けていこうというところもあったんでしょうか。

遊助:あったと思う。あと、意識したつもりはないんだけど、松坂(大輔)が日本に戻ってきたっていうのが頭の中に絶対あったと思う。だから「作ったぞ」って、すぐ送ったもん。で、「僕に書いてくれたんですか?」って言われて、「それは違う」と(笑)。でも、どこかにあったと思うから、慌てて「かっ飛ばせ」っていう言葉を入れたんだもん。
「打ち取れ」とかそういう言葉を入れるとマジでアイツの曲になっちゃうし、俺たちの“わたくし事”になっちゃうから。ちゃんとみんなの曲になるように、と思って。

――では、アルバムの中でキーになった曲は? 

遊助:それも「リベンジ」かも。「あぁ~これこれこれ!」みたいな。「ぽいぽいぽい!」って思ったから。曲が出来たときにライブが見えたんだよね。

遊助、羞恥心セルフリメイク「羞恥心の心」も収録した8thアルバムをリリース/インタビュー1

――「リベンジ」がアルバムの種火とすれば、その火を大きくしてくれた曲は?

遊助:「Amore 遊turing KIRA」かな。ムーちゃん(MOOMIN)とか山猿との遊turingは、曲の方向性が想像ついたけど、KIRAとの曲は落としどころがわからなくて。彼女のピュアなところや、ハスキーなんだけど潤いがある声の魅力とかをどうやったら活かすことができるんだろうって、ずっと考えていて。この曲が完成した時は「メッチャいいの出来た……」みたいな達成感と喜びがあった。

――遠距離を乗り越えて惹かれ合う男女を描いたラブソングですよね。艶っぽいところもある曲だから、全体的に男気が強い今回のアルバムの中で、たしかにこの曲のカラーはアクセントになってます。

遊助:今回は男臭いなと思っていて。だから、女の子が欲しいなと思ってKIRAにお願いしたんだよね。KIRAは純粋で本当にまっすぐな子だから、俺でもいいし、東京のよく遊んでる子でもいいし、彼氏がいるなら彼氏でいいから、それを東京に住んでるヤツだと思って、マジで好きな人を思い浮かべて書いてくれって頼んだの。とはいえ、俺たちだけの物語になっちゃうと、みんなの曲にならないから、男と女の「あるある」をテーマにしようと。

――その「あるある」とは?

遊助:男は最初を気にする生き物で、女の子は最後を気にする生き物っていう。男って、彼女とか好きな子に「こんなこと言われたの初めて」とか「こんな店、初めて来た」とか言われたら嬉しいじゃん。でも女性って「この人を最後にしたい」とか「こんな涙はこれで最後」とか最後を気にすると思って、そこだけは忘れないように作ろうぜって。

――「常勝」で遊turingした山猿とはWコラボになっていて、山猿の最新アルバム『あいことば5』に「常超 feat. 遊助」という曲が入っています。2つの曲はどのようにして生まれたんですか?

遊助:「常超」は努力すること。「常勝」は文字通り勝つこと。そこにフォーカスしたの。最初に会った時、山猿は緊張していて全然喋ってくれなくて。だからすぐLINE交換して「なんで緊張すんの?」「本名教えて」「ピッチャーやってたらしいけど、野球はどんな感じだったの?」って質問攻めしてどんどんエグっていって。そしたら「俺は途中でやめちゃったんですけど……」って。
遊助、羞恥心セルフリメイク「羞恥心の心」も収録した8thアルバムをリリース/インタビュー1

――山猿さんはいつまで野球をやってたんですか?

遊助:中学の途中くらいまでやってたんだって。だったら、途中で辞めちゃったかもしれないけど、努力は間違いなくしていただろうし、だから今でも頑張れてるんだと思うから、「頑張んなきゃいけねえな」と思いながら練習に向かう時に聞きたい曲、「練習するために俺はこれだけ頑張るんだ」っていう曲を作れば?って。一方、俺は小学・中学・高校とメチャクチャ強い野球部にいて、負けることが許されない状況だったから、「悔いが残らなかったらいいな」みたいなヤワなことは言わない。「俺はもうやってきたんだから勝つしかない。負けられないんだ」っていう曲を作ると。その違いを明確にして作れば、それぞれの思いが出てくるはずだし、それをチームとして作ろうって。

――そうすれば連動しながらも、異なる視点の2つの物語が作れる。

遊助:そう。ただ、俺もそうかもしれないけど、山猿も単独で音楽をやってきたから、「俺はこうなんだ、俺はこうなんだ」って、ひとり目線の言葉が多いの。そうじゃなくて「俺ら」にしてって。チームなんだからって。お前はピッチャーで俺はキャッチャーなんだからって。

――バッテリーなんだから女房役を忘れるんじゃないと(笑)。

遊助:まさに。一人の物語にするな。俺を置いてくんじゃないと(笑)。そのために二人で作るんだからっていう話をして作っていったの。

――インタビュー2へ




≪ツアー情報≫
【遊助祭2018「和」~あの・・わ なんですケド。~】
2018年7月5日(木)東京・オリンパスホール八王子
2018年7月8日(日)神奈川・神奈川県民ホール
2018年7月13日(金)神奈川・カルッツ川崎(川崎市スポーツ・文化総合センター)
2018年7月21日(土)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2018年7月22日(日)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2018年7月27日(金)東京・NHKホール
2018年8月4日(土)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2018年8月5日(日)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2018年8月10日(金)東京・中野サンプラザ
2018年8月11日(土)東京・中野サンプラザ
2018年8月15日(水)神奈川・よこすか芸術劇場
2018年8月16日(木)神奈川・よこすか芸術劇場
2018年8月18日(土)福岡・福岡サンパレス
2018年8月19日(日)福岡・福岡サンパレス
2018年8月25日(土)大阪・オリックス劇場
2018年8月26日(日)大阪・オリックス劇場
2018年9月1日(土)静岡・アクトシティ浜松大ホール
2018年9月2日(日)宮城・仙台サンプラザホール
2018年9月9日(日)岡山・倉敷市民会館
2018年9月15日(土)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
2018年9月16日(日)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
2018年9月22日(土)大阪・オリックス劇場
2018年9月23日(日)大阪・オリックス劇場
2018年9月30日(日)新潟・新潟県民会館

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