「ベイスターズは横浜から出ていけ!」

 株式会社横浜スタジアムの藤木幸夫会長が横浜DeNAベイスターズによる同スタジアムの本拠地使用に不快感を示したこの発言に対して、地元ベイスターズファンからのブーイングが相次いでいる。

「工藤公康氏との交渉が決裂し、監督としての実績がない中畑清氏を急きょ新監督候補とするなど、チーム強化が進まないことにいら立っての発言なんでしょうが、まだDeNAの新規参入が決まって1週間足らずですからね。

それに、過去、チーム強化が進まなかったのは高額すぎるスタジアム使用料が球団経営を圧迫していたことも大きな要因だし、これまで売却話が浮上しては頓挫してきたのも、スタジアムの契約問題が足かせになっていたから。ファンが怒るのも、もっともな話です」(スポーツ紙記者)

 ベイスターズの横浜スタジアムの使用条件とは、年間約6億円ものスタジアム使用料のほか、入場料収入の25%を運営会社に納める必要があり、看板広告料や物販関係の収入は球団に入らないという、一方的ともいえる契約内容。観客動員数で12球団中最下位を争うベイスターズにとって、これでは利益を上げるのは困難。「弱小球団から多額の使用料を召し上げておいて、お前が言うか!」と、藤木会長に対してファンが怒りの声を上げるのも当然なのだ。

 同スタジアムを運営する株式会社横浜スタジアムは横浜市との第三セクターであるが、その会長を務める藤木幸夫氏とはどのような人物なのか。

「横浜で藤木企業という港湾荷役会社を経営しており、地元政財界に対して陰に陽に影響力を持つ"横浜の首領(ドン)"ともいえる人物。

父親の幸太郎氏は横浜の港湾荷役に功労のあった人物ですが、稲川会系埋地一家の初代総長でもあります。港湾荷役とヤクザは切っても切れない関係ですが、幸夫氏本人も故・田岡一雄氏(山口組三代目組長)を尊敬してやまないと公言しているほど。実際、暴力団幹部との交友も取り沙汰されていますしね。横浜の利権が絡む話には必ず登場する。横浜・開国博Y150が大失敗に終わったのは、予算の相当部分が藤木企業に流れたからというウワサもあります」(地元メディア関係者)

 事実、藤木氏が横浜市の港湾行政で不明朗な利益を得ていたことをうかがわせる例は数多い。その一つが、藤木氏が会長を務める(当時は副会長)社団法人「横浜港湾振興協会」が横浜市から委託されて行っていた横浜港大さん橋の国際客船ターミナル管理業務が、外部監査で「不適切」と判断されたケースだ。

「同協会は2005年に約8,600万円で受託したこの管理業務を民間会社に約3,900万円で丸投げし、約4,700万円もの差額を"ピンハネ"していました。しかし、委託費というのは市民からの税金ですからね。いくら何でも儲けすぎです。本来であれば、横浜市がその民間会社に3,900万円で委託するべき。同協会と癒着していたとしか思えません。このほかにも、藤木企業が本牧ふ頭内に所有している社員寮の用地使用料が75%も大幅減免されています。

本牧ふ頭は横浜市が所有する市民の財産ですから、一企業にそこまで便宜を図るのは不当ということで、これも外部監査により『見直しが必要』とされました」(前出・地元メディア関係者)

 では、暴力団との関係はどうなのか。ある横浜市議は次のように話す。

「あそこの会社は、暴力団との関係をにおわすのがうまい。以前、藤木さんの会社の人間と市役所の食堂で会ったことがあるんだけど、彼らは食堂の席に陣取って雑談しながら大声で"オジキがどうのこうの"とかって、これみよがしに吹聴するんだよね。周りにいる人たちはそりゃ怖いですよ。それを見て、ああ、こういう手口で恫喝しているんだなと思ったものです」

 今回の藤木氏によるベイスターズとの決別宣言は、DeNAの新規参入に伴うスタジアム使用条件見直しに対するけん制とみることもできる。

ベイスターズファンには気の毒かもしれないが、新規参入を機にこんなボッタクリ球場にはDeNAのほうから三行半を突きつけてはどうか。
(文=牧隆文)


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