横綱・日馬富士の暴行騒動でマスコミに情報を流しまくっていた元小結の旭鷲山(本名ダバー・バトバヤル)が、大ヒンシュクを買っている。

 日馬富士に殴られた貴ノ岩の被害を誇張して話していたことがわかり、「日馬富士とも連絡を取っていた」という話がウソだったとまで指摘され、テレビやスポーツ紙の記者らが、続々背を向けているのだ。



 旭鷲山は長くマスコミ向けの仕事をしてきたことから“失業”の危機も出てきた。

 旭鷲山は、事件直後からテレビの情報番組などに多数出演、貴ノ岩から電話で聞いた話として「40~50回殴られた」などの話をしていたが、これは後に貴乃花親方も否定。貴ノ岩の負傷部分の縫合写真などを公開して、一定の情報力があったことは示した形だが、元横綱の朝青龍から「あの人は事実と違うことをしゃべってる」といった旨の指摘もされてもいた。

 ある角界関係者によると「旭鷲山は相撲協会の理事長選で、貴乃花親方を推すために暗躍していた過去があると疑われた人。そのためのウラ金集めにも奔走し、暴力団との関係も取り沙汰された。何かと、そういうキナ臭い動きをすると思われているから、話の信用度は低い」という。


 ただ、多くのテレビや新聞のマスコミは、その旭鷲山をモンゴル取材の窓口として使ってきた面もあった。

 かつて現役時代の朝青龍が巡業をサボってモンゴルに戻り、サッカーをしていたことが大きな批判を浴びていた頃、多数のメディアがモンゴルに渡航。朝青龍と険悪な関係だった旭鷲山は、ここぞとばかりにマスコミに朝青龍の情報を流し、現地取材の案内役を務めていたのである。

 以来、特にテレビの情報番組などでは、プロデューサーやディレクターが旭鷲山の携帯電話に直接、電話をしてモンゴル取材の段取りを手助けしてもらう流れができ上がっていた。こうした関係があったことも今回、旭鷲山のメディア露出を増やした一因だ。

 しかし、今回の騒動で旭鷲山は火に油を注ぐように誇張や虚偽の話を伝え、角界はもちろん、メディアを右往左往させてしまったと見られている。
事実、ある情報番組のプロデューサーは「ウチはもう旭鷲山は2度と使わない。相撲に関係ないモンゴル取材でも一切、連絡を取るなとスタッフに伝えた」ということを明かしている。

「ディレクターに『他に話していない、すごい話がある』として出演を取り付けながら、他局でも似た話をするなど“マナー違反”もあった」

 急増した電話出演などで荒稼ぎしていたと見られる旭鷲山は、11月21日に急きょ来日。さらに出演を増やしてメディアの人気者となり、25日の福岡入りでは、空港に50人以上の報道陣が集まる大盛況だった。

 しかし、その信用性に陰りが見られると、報道陣は一斉に消え、翌日の帰国時になるとテレビ3局と新聞1紙に激減していた。貴ノ岩サイドを後押しするように振る舞っていた旭鷲山だが、当の貴乃花親方には面会すら拒否される始末だった。


 あるテレビディレクターは「明らかにウソの話を流したとなれば、相撲界との折り合いも悪くなる」と話していた。

「旭鷲山はある記者に『事実と違うのでは』と問い詰められ、『モンゴル語が間違って訳された』とか苦しい言い訳をしていたと聞きます」(同)

 渦中の「事情通」から事態を混乱に陥れた「問題人物」として信用を落とした旭鷲山。今後もしモンゴル力士が何か問題を起こしたとしても、今回ほどの引っ張りダコにはならないかもしれない。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)