キタ! あのMONOQLOが文具本を出したのだ。
『MONOQLO』は、モノをテストして批評紹介する容赦ない雑誌。

その容赦なき辛口採点簿が『文房具完全ガイド』を出した。

カタログ的なただの紹介系の文房具本ではない。ガチ評価の文房具本だ。

たとえば「無印良品文具」紹介のページ。
ただ商品を紹介するのではなくて、OEM度チェックつき。
ほとんどの無印良品の文房具は、他社製品を無印ブランドにして販売している。

“OEMに関する情報は無印も文具メーカーも明かしてはいない。いわゆるアンタッチャブルの領域”をつきとめて、元商品とどう違うか、どっちがいいかをチェック。
ひとつ紹介しよう。無印良品の「こすって消せるボールペン」の元ネタは名作「パイロット フリクションボール」。ボディデザインが違うだけで機能は同じ。210円が、無印なら157円。
無印のほうがお得だ。

「最強文具決定戦」では、筆記具、消しゴム、ノート、はさみ、カッター、手帳など、さまざまな文房具をチェック。ベストバイを決定する。
157円のサラサラ系ボールペン市場決定戦は、こうだ。三菱鉛筆ジェットストリーム、ぺんてるビクーニャ、パイロットのアクロボール3種の書き心地、裏移り、発色を検証。均整の取れた実力でジェットストリームがベストバイに選ばれる。

芯がクルと回ってトガるクルトガの紹介や、ノック式の万年筆パイロットのキャップレスなどの新しいトレンド商品の紹介もしっかり。



さらには「人気ペンランキングBEST100」では、インターネットリサーチで300人にアンケート。さらに文房具の識者がランキングを見ながら発言。得点とスペックで人気ペン100を紹介する。

辛口度アップで「アイデア倒れのがっかり文房具カタログ」なんてコーナーもある。それ半分ほめてる?って感じの甘い記述ではなくて、パイロットフリクションボールビズLFB-150EFは、“極端に耐久性が悪く、特に乱暴に使ってる訳ではなく通常に使用していても数週間から3ヵ月ほどでグリップからペン先にかけての部分が折れてしまったという報告が多数寄せられているのだ。
編集部内の愛用者からもわずか2週間ほどでペン先が壊れたという報告があることから、この製品自体に問題があるようだ”とばっさり。
「文具業界通覆面座談会」も手厳しい。話題のキングジムSHOT NOTEから、カドケシ、ビクーニャなどをばっさり。

本書のいいところは、褒めるのも貶すのも、どのようにどうしてイイのかダメなのかをしっかり具体的に書いているところ。何となくダメだとか自分と合わないからといった雰囲気で否定していない。
たとえば、「決定定番消しゴムNo.1」では、消字力・ポロリ度・ヨゴレ度・消しごたえ・総括の5つのチェックポイントで4商品をチェック。

トンボ鉛筆MONOがNo.1に選ばれている。
じゃあ残りの3商品がダメなのかというとそうではない。
2位のプラスステーショナリーAIR-IN HARDポロリ度だけが△(“基本的に力を入れて消すタイプではない。簡単に崩れはしないが目減りが大きかった”)。
それ意外は、1位のMONOより高評価。
じゃあ、ぼくみたいにあんまり力を入れて消さないタイプは、AIR-IN HARDを試してみる価値があるな、っていうふうにちゃんと順位じゃないところでも参考になるので嬉しい。


『文房具完全ガイド』で、また文房具がいろいろ買いたくなってきた。(米光一成)