ワンパンマン主題歌に熱狂! 仏アニソン人気をJAM Project影山ヒロノブに聞く
(c) JulienMecchi/AimejiPhotographer

会場にアニメ『ワンパンマン』の主題歌『THE HERO!!~怒れる拳に火をつけろ~』が流れ始めると、雰囲気は最高潮に達した。

パリ・モンマルトルの丘の麓にあるライブハウス「ル・トリアノン」。
同所が並ぶ界隈は、いくつかライブハウスやバーが軒を連ねる歓楽街だ。昨年末のこの日もそれぞれのホール前には、今夜のイベントを待つ観客が雨の中、寒さに身を縮ませながら並んでいた。

ただ、この日のル・トリアノンの前に集まった人たちは、他のホールと比べて少し毛色が違った。夜遊びに慣れているというよりは、雰囲気も服装もおとなしそう。日本アニメのファンであるフランス人たちである。彼らの目当ては、日本のポップグループT.M.RevolutionとJAM Projectが出演した音楽イベント「JAPAN MUSIC PARTY」だ。
ワンパンマン主題歌に熱狂! 仏アニソン人気をJAM Project影山ヒロノブに聞く
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影山ヒロノブに聞く 海外でのアニソン人気


同イベントは前半をT.M.Revolution、後半をJAM Projectで構成。前半の盛り上がりにさらに勢いをつけたのが、アニソン歌手で構成されたグループJAM Projectである。

ライブでは、アニメ『ONE PIECE』のオープニングテーマ『ウィーアー!』、『ドラゴンボールZ』の同テーマ『CHA-LA HEAD-CHA-LA』など、定番だけれど絶対に聞きたいと思わせる曲が続く。開場前に並んでいた観客たちの、おとなしそうな雰囲気はなんのその。熱気はどんどん上がっていった。そこに『ワンパンマン』のオープニングテーマ『THE HERO!!~怒れる拳に火をつけろ~』が投げ入れられ、開場の熱気は爆発。海外でのアニメの影響力の大きさを、まざまざと見せつけられた形だ。

ワンパンマン主題歌に熱狂! 仏アニソン人気をJAM Project影山ヒロノブに聞く
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「どこへ行っても日本のアニソンを愛してくれるファンはとても熱く、いつもエキサイティングなライブになる」とステージについて語ってくれたのが、JAM Projectを率いるアニソン歌手・影山ヒロノブさんだ。今回のステージでも観客からの熱気を歌に変えて、ひたすら打ち返した。アニソンライブの盛り上がり方がどれほどすごいかというと、以前に開いた上海万博での公演では、観客が熱狂し過ぎて、ライブを途中で中止したこともあるほどである。

「フランスは、もっとも早い時期から日本のアニメカルチャーに対して理解を示してくれた国。新しい曲はもちろん、古いアニソンのことも、よく知っている」と語る影山さん。日本でも海外でも一番盛り上がる曲は、今回のように『THE HERO!!~怒れる拳に火をつけろ~』だそうだ。
ワンパンマン主題歌に熱狂! 仏アニソン人気をJAM Project影山ヒロノブに聞く
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アニソンは各国のオリジナルシンガーが歌うべき


集まった観客は、日本のアニメに興味はあるが、皆日本語ができるわけではない。それでもJAM Projectが歌う日本語の歌詞に観客は大いに沸き、それぞれのメンバーに大きな声援を送った。

海外では日本国内で行う公演と環境が異なることも多い。しかし影山さんは「なるべく日本と同じスタイルで世界中のファンに見てもらいたい」と海外公演における姿勢を語った。「日本でアニメ音楽をやっている人たちは、可能な限り世界中でライブをやるべき」と、さらなるアニソン関係者の海外公演も促す。

一方で「実際に海外で放送されるアニメや、その国の言語のバージョンで発売されるゲームなどは、その主題歌も英語やフランス語バージョンで、オリジナルシンガーが歌った方がいい」とも影山さんは考えている。

そして「駆け足でのパリ滞在だが、もし時間があれば、フランスの人たちと一緒に食事をしたり飲みに行ったり、日本で友人たちとやっているようなことをやりたい」と影山さんは笑った。
ワンパンマン主題歌に熱狂! 仏アニソン人気をJAM Project影山ヒロノブに聞く
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「今回、いろいろなフランスのメディアの取材を受けた。熱心にアニソンのことに質問してくれて、フランスの人たちの文化への理解の大きさに感動した。フランスだけでなく、まだ行ったことのない国でも、きっと日本のアニメやゲームは人気があると思う。僕たちミュージシャンも積極的に歌いに行きたい」

こう語る影山さんが目指す先には、JAM Projectの歌声を待つ人たちが多く待っている。
(加藤亨延)
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