いったい、誰がここまでの躍進を予想していたでしょうか。
元AKB48・川栄李奈さんの勢いが止まりません。
彼女のAKB時代における総選挙最高順位は16位。たしかに、上位であることには違いありません。しかし、かつて「神7」と呼ばれた多士済済の面子と比べると、どうしても格落ちするのも事実です。
近頃目立つ、現役時代パッとしなかったアイドルの躍進
この川栄さんのような「アイドル時代パッとしなかった女優」の飛躍が最近目立っています。先日、所属事務所から“円満独立”した満島ひかりさんもその一人。今ではアカデミー賞常連女優の彼女も元々は、ダンスボーカルユニット「Folder」およびの「Folder5」の一員。Folder時代はメインボーカルの三浦大知さんの影に隠れ、よりアイドル色が強まったFolder5時代も、現・ビビる大木夫人・大木明那ことAKINAさんに次ぐ2~3番手のメンバーに過ぎませんでした。
2~3番手といえば、一昨年『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でブレイクした真野恵里菜さんも同じ。彼女はかつて、ハロープロジェクト所属のソロアイドルとして事務所からプッシュされていました。が、同時期に売り出されていた「Berryz工房」や「℃-ute」と比べると、CDセールス的にもコンサートの規模的にも格落ち感が否めません(その℃-uteも、解散後はセンターではなかった岡井千聖さんがもっともテレビ出演しています)。
中谷美紀や篠原涼子も元日陰アイドル
振り返ってみると、こうした逆転現象は、90年代にも起こっています。たとえば、中谷美紀さんと菅野美穂さんはマイナーアイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」の中でも、その他大勢の一人でしたし、「東京パフォーマンスドール」に所属していた篠原涼子さんは、グループ内の“ポンコツキャラ”として扱われ、レギュラー出演していた深夜バラエティ『薔薇薔薇』内のマナー講座コーナーにおいて、司会の片岡鶴太郎さんから「お前は何をやらせてもダメー!」と怒られていました。
濡れ場やちょい役を積極的に引き受けられるのが強み?
彼女たちのようなパッとしないアイドルが、女優として大成しがちなのはなぜか? それは「攻めの姿勢で女優業に打ち込めるから」という理由が大きいように思われます。
たとえば、川栄さんは2017年のドラマ『僕たちがやりました』(関西テレビ)で、窪田正孝さんと濃厚なキスシーンありの濡れ場を演じ、真野さんもハロプロ卒業直後に出演したドラマ『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)で元清純派アイドルにしてはキワドイ下ネタを披露し、満島さんにいたってはヌードにもなっています。
これが、国民的アイドルグループの元エース・センターだとそうもいきません。今まで築き上げてきたパブリックイメージや、ファンの大きな期待に配慮しなければならないため、ちょい役・奇抜な役・極度のエロシーンなどを安易に引き受けることは至難。また、世間的にアイドル時代の印象が強烈であるがゆえ、映画やドラマに出ていても「一人の女優」ではなく「女優をやってる元アイドル」のイメージが付きまとうという弊害もあります。
反面、現役時代そこそこだったアイドルたちは過去に翻弄されることもなく、ガッツさえあれば、端役だろうがキワモノ作品だろうが二つ返事で「何でもやります!」と引き受けて、女優としての実績を積めるため、結果として、かつての超一流アイドルたちに、大きく差をつけることができるのでしょう。
(こじへい)