現在イギリスで生活中の声優寿美菜子さんが、イギリスでどんな日常を送っているのか、寿さんの言葉でリアルに伝えていくインタビュー連載「寿美菜子のAnother Wonderland in the UK」。

前回は渡英するに至った理由や、新型コロナウイルスでロックダウン中のイギリスはどのような状況なのかを直撃しました。


第2回となる今回は、イギリスと日本の学校・授業の違いや、ついにスタートしたYouTubeチャンネル『寿美菜子の~マジ寿!~』(以下、マジ寿)の撮影秘話を直撃!
さらに、スフィア4人のYouTubeチャンネル『スフィアの4 colors LABO』(以下、4 colors LABO)の今後の展開についてもたっぷり伺いました。
[取材・文=米田香織]

■新型コロナの状況に変化は? イギリスでの授業にカルチャーショックも
――前回は4月半ばにお話をうかがいました。その後YouTubeチャンネルの開設など色々と変化があったかと思いますが、いかがお過ごしでしたか?

寿:おかげ様で元気です! 月曜から金曜までは学校のオンライン授業があったり、またYouTubeの撮影もあったりと、おかげさまで忙しい日々を過ごしております。

――この1カ月間で、イギリスの状況に変わりはありましたか?

寿:新しい政策が発表され、これまでは1日1回はエクササイズ、スーパーマーケットに行くための外出が許されていたのですが、その2つの目的であれば、1日何度でも外出可能になりました。

――外出のチャンスが増えたのは良いことですね。ただ学校にはまだ直接通えていないということでしょうか?

寿:そうです。
おそらく、今期はずっとオンラインになると思います。エレメンタリースクール(小学校)の子たちは始まっているところもあるみたいです。

――オンライン授業が始まっているとおっしゃっていましたね。イギリスの授業はいかがですか?

寿:すごく楽しいです! 教わることや環境、全てが新鮮で。
日本だと、基本的に先生が指名した生徒が発言するのが普通だと思うのですが、イギリスでは先生が「わかる?」って言った瞬間、みんなが一斉に答えるんですよ。
答えが短いものなら良いのですが、英語のセンテンスなどを答えるとなると、みんな何言っているかわからなくて(笑)。


最初の頃は自分が発言して良いのかわからなくて、戸惑いましたね。

――日本とはそんな違いが。他に、カルチャーショックを受けた部分は?

寿:上手く言葉を聞き取れずに、言い方を間違えていたら、他の生徒が「先生! 今のMinakoの言い方は合ってるんですか?」と確認されました(笑)。
「間違っていたら、こうやって突っ込まれるんだ!」と驚いたと同時に、「疑問に思ったことは遠慮せずに聞いていいんだ!」と感動も大きくて。

最初はわからないことが多過ぎて「わからない」ってことすら言えなかったんです。でも、わからないままにしたら突っ込まれるし、付いていけなくなる。

なので、そうやって指摘されることが良い経験になりました。
少しずつ何がわからないのかもしっかり考えるようになりました。

――そのイギリスでの「自主性」については、前回のインタビューでもおっしゃっていましたね。

寿:そこは本当に「日本とは違うな」と思いました。
また、ホストマザーが昔、学校の先生だったので、授業について相談したんです。そしたら「あなたはカスタマー(お客様)なんだから、
に関するニュース">好きなように好きなことを言っていい。わからなくて質問して授業を止めることは悪いことではない。あなたがわからないのに授業が進んでいく方が良くない」と言われて。そのおかげで、わからないことをすぐに質問するようになりました。

■YouTubeチャンネル『寿美菜子の~マジ寿!~』ついにスタート! あの挨拶の誕生秘話も

――前回からの変化でいうと、やっぱりYouTubeチャンネルの開設も大きいですね。
寿:ありがとうございます! なんとか無事にYouTubeを始められました!

――授業も始まって忙しい中、更新頻度が多くて驚きました。


寿:本当ですか!? イギリスに行く前から、このYouTubeチャンネルに関してスタッフさんと話しをしていたのですが、その時は「理想は週2」と言っていたんです。

正直、イギリスの状況がどうなるのかわからなかったり、撮れ高が読めなかったりしたのですが、始めてみて、今の週2更新は自分に合っているペースだな、と思いました。

――すでにたくさんの方が視聴されています。改めて、始めてみての感想はいかがですか?

寿:視聴者の方がコメントをしてくれて嬉しいですね。感想が聞けたことで「やって良かった~!」と思いました!

――ちなみに、一番反響があった動画は?

寿:最初の開設動画にはたくさんのコメントやイイネをいただけました。

そこに、視聴者の方が中国語、韓国語、英語の字幕を付けてくださったんです! たくさんの国の方が見てくれているんだなと実感して、すごくありがたかったですね。


あとは、イギリスでの収録風景を撮った動画も、たくさんの方に見ていただけました。

――拝見させてもらいましたが、無垢な子どもの役柄なのに「オオカミ死んだよ!」というシリアスなセリフで何度も吹き出してしまうくだりがとても面白かったです(笑)

寿:あはは(笑)。私の友だちの妹が10歳なんですけど、その動画を見て「“あのセリフを言いたいから声優になりたい”って言ってる!」と聞きました(笑)。

――あの動画を見て、すごく細かく収録されているんだなと驚きました。ちなみに、リモート収録ならではの苦労などはあったのですか?

寿:やはり、言葉が遅れちゃう、タイミングがズレちゃうところですね。かけ合いするうえで、気持ち良いテンポがあるんですけど、リモートはどうしても“死に間”といわれる間が出てしまう。
今後、もしコメディタッチの作品を選んでしまうと、苦しむところが出てくるかもしれませんね。
でも逆にそれに適応した表現や間が生まれるかもしれませんね。

――『マジ寿』では、「食べ比べ」「商品紹介」「〇〇やってみた」などに挑戦していましたね。“YouTuberといえば!”というイメージをしっかり捉えていると感じました。

寿:それは嬉しいです! 実は、コメントでもよくそういった感想をいただいていて、ひそかに喜んでいたんです(笑)。
私自身、今までそんなにYouTubeを見てきていなかったので、今、色々な動画を見て勉強している最中です。

自分でやってみたからわかるのですが、YouTubeの撮影って本当に大変なんですよ。10分尺のものでも、かなり時間をかけて撮影していて。
しかも、YouTuberさんはそれをご自身で編集して……本当に尊敬します。

――これまであまりYouTubeを見てきていなかったとおっしゃいましたが、それもあって寿さんらしいYouTubeに仕上がっていると感じます。またBGMに寿さんの8thシングルB面「Another Wonderland」が使われていますが、スタイリッシュな楽曲でオシャレな寿さんの動画にピッタリ!

寿:そう言ってもらえると、すごく嬉しいです……!
ありがたいことに、一緒に動画を作っているスタッフさんも、私の持っている良さを活かして編集してくださっていて。「Another Wonderland」も、ワクワクする感じが動画にピッタリですよね。選んで良かったです!

――場面転換で挟まる「マジ寿」というセリフもすごく可愛らしいです。

寿:ありがとうございます!
「マジ寿」というフレーズは、スタッフさんや友達も使ってくれているみたいで、「マジ卍(まんじ)」に続く「マジ寿」に成長してほしいですね(笑)。

――タイトルが「マジ寿」になった理由は説明されていましたが、その前の「パンパン(手を二回叩く)」は何か理由が?

寿:神社で2回拍手するのがすごく良いなと思ったんです。視聴者の方は、私が最初からこの挨拶をしていたので、すんなり受け入れてくれたかもしれませんが、実は生まれるまでにけっこうな苦悩がありました……。
その試行錯誤した部分はストックとしてとってあるので、もしかしたらいつか動画としてお見せすることがあるかもしれません(笑)。
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■「歌ってみた」「ダンス」「ASMR」など、『マジ寿』でやってみたい企画は?
――生配信もされましたね。視聴者の皆さんと歌のかけ合いを楽しんでいるのが印象的でした。

※40分10秒頃から楽曲「ミュージックスター」の生歌を披露。

寿:視聴者さんからも、「歌う企画してほしい」という声をいただいているんですよ。なので、イギリスに持ってきたカラオケマイクを使った「歌ってみた」企画も、いつかやってみたいです。

――ファンの方からいただいた要望で、今後展開予定の企画はあるのでしょうか?

寿:要望の多かった絵の動画は、実は撮ってはいたんですけど……あまりにもシュール過ぎて、今のタイミングではお蔵入りになっています(笑)。
『マジ寿』をどんな方向性に持っていくかという点で、かなり大きく影響してしまう作品を生み出してしまったので……今後、配信するかどうかは要相談です(笑)。

――寿さんが個人的にやってみたい企画は?

寿:ダンスやエクササイズなど、身体を動かしている動画をお届けできたらなと思いますね。
あと、生配信の時に上手くできなかったASMR!(※)
再チャレンジした動画を撮ったので、ぜひ楽しみにしていていただきたいです。

※さまざまなサウンドと映像の組み合わせで、見る人に不思議な心地よさや満足感を与える反応や感覚の総称。YouTube上では一大ジャンルとして人気を博している。

――ASMRには、何かこだわりがあるんですか?

寿:いや、私が色々な方々のYouTubeを見て勉強する中で、ASMRのジャンルが深過ぎて、まだ理解できていないんです。
私が見たのはアメリカ人の方の動画で、ひたすらマイクを撫でる、というかなり奥が深いものでした(笑)。

――それは奥が深い(笑)。おそらくファンの方も気になっているとは思うのですが、動画内でもよく話に出るホストファミリーについて。先ほどホストマザーは学校の先生だとおっしゃっていましたが、今回はじめて知りました。

寿:私も最近英語がわかるようになってきて、ちょっとずつホストファミリーの経歴が見えてきたところなんですよ。
YouTubeでルームツアーの動画を出した時、机の上にたくさんの本が置いてあったと思うのですが、あれは全部言語の本なんです。ホストマザーが英語を教えていた時に使っていた本や、もともと言語が好きらしくて、英語以外の他の言語の本もたくさんあります。

※5分頃から話題に出ているたくさんの本が登場。

ホストマザーは毎日勉強を教えてくれるそうで、写真中央・右はそのメモ。左はYouTube「寿美菜子の~マジ寿!~」の撮影で使った、自身が演じるアニメキャラの日本語バージョンと英語バージョンを書き記した紙。

ホストファザーに関しては、何の仕事をしているのかはまだ知らなくて。でも、「これは仕事でハワイに行ったときに買ってきたものなんだ」と言っていたので、「ハワイに行く仕事!?」って驚いた覚えがあります。

今後も、ホストファミリーについては、動画やブログなどでたくさん紹介していくと思います!

■視聴者は“5人目のスフィア”! 「“一人じゃないんだ”と思えるきっかけに」
――先日、スフィア(※)のYouTubeチャンネルもオープンしましたね。先ほど、リモート収録での苦労も語っていただきましたが、この4人でのリモートでの動画収録は、特に大変なのでは?

※寿美菜子、高垣彩陽戸松遥、豊崎愛生による声優ユニット。2019年に結成10周年を迎え、全曲ライブを開催した。

寿:そうですね。最初に出した動画から、画面がカクカクしちゃったり、途中で止まっちゃったり(笑)。でも、「どうやったらスムーズに収録できるのか」を、タイトルにある“LABO”のとおり毎回実験しながら収録しています。

――最初の開設動画だけでスフィアの関係性が見えて、とても「スフィアらしい」と感じました。高垣(彩陽)さんがボケて、3人でツッコむ……という。

寿:あはは、オンラインでも変わらないですね(笑)。

――タイトルを決める際、他に4人でどんなお話をされたのですか?

寿:動画内でゲームをしてみたいね、とかやりたいことをたくさん話しました。スフィアって、4人で遊んでいる時が一番輝いている感じがするので。
あとは、お芝居や朗読など、声優ならではの動画。さらに、歌があってのスフィアなので、何か音楽も届けたいなど、やりたいことがいっぱいです!

――『スフィアクラブ』(※)、『劇団スフィア』(※)などを見ていた方は、スフィアのお芝居やコントも期待していると思います。

寿:やりたいと話してはいるのでいつかお届けできたらとは思っています。
今、いろんな方が表現の場所や方法を探っていると思うので、その中で「声優だからこそ」というもの、そして「スフィアだからこそ」というものを4人で出来たらいいですね。

※スフィアクラブ:日本テレビで2011年7月から同年12月にかけて放送。スフィアにとって初のレギュラーテレビ番組で、「アニメパート」、「ドラマパート」、「ライブパート」の3部構成による多角的バラエティー。

※劇団スフィア:スフィア の10周年イヤーを記念し、2019年10月から12月にかけてTOKYO MXにて放送。劇団で活躍中の脚本家&演出家とスフィアがコラボしたドラマ。

――おそらく、現在の情勢もYouTubeチャンネルを開設した理由にあると思いますが、『4colorsLABO』では何を伝えていきたいですか?

寿:スフィアのファンの方、そしてYouTubeを見てくださっている視聴者の方は「5人目のスフィア」です。なので、寂しさを感じた時に、1人じゃないと思ってほしい。

YouTubeは“一緒に過ごせてる場所”になっていけるんじゃないかと思っています。
動画を見て、一人じゃないんだなって思えるきっかけになれれば良いですね。

――『マジ寿』と『4colorsLABO』の2つのチャンネルが誕生しましたが、その中で「イギリスでの寿美菜子」と「スフィアの寿美菜子」をどういう風に見てほしいですか?

寿:『マジ寿』では、私のイギリスからの生の声や生活、そして私が見ているイギリスの風景などを紹介していけたらと思っています。
また『4colorsLABO』では、スフィアの4人だからこそできること、そして「実験室」だからこそ色んなことにチャレンジして、色々なこと、表情を発信していけたらいいですね。
どちらの「寿美菜子」にも会いに来てほしいです!

――ありがとうございます! これからも動画を楽しみにしています!

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学業と声優業とで日々忙しい寿さんですが、YouTube番組で新たなチャレンジや元気な姿を見せてくれるのは嬉しいところですね。
この連載では、そんな寿さんに聞きたいことやってほしいことをTwitterで募集中。ハッシュタグ「#寿美菜子AA連載」を付けてツイートされたご質問&ご意見を編集部で参考にいたします。読者の皆さんの知恵をお借りできますと幸いです!

寿美菜子 プロフィール
『泣きたい私は猫をかぶる』深瀬頼子役
事務所の同期である、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とのユニット「スフィア」のメンバー。