去る7月1日、北朝鮮の空の玄関口となる平壌国際空港が改築オープンした。故・金正日総書記の遺言から、24時間態勢の工事で完成させたというターミナルビル。
正恩氏の号令で、昨年春ごろから始まった空港の建設工事。平壌から車で30分ほどの順安(スアン)という小都市にあるこの空港は、もともと日本の地方空港のようなコンパクトなものだった。
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それが5年ほど前にプレハブの仮ターミナルに移り、昨年10月にオープンさせるという情報があったが、結局完成は7月までずれ込んだ。
「1階は到着ロビー、2階が出発ロビーで、コンビニや高級時計店がある。
さらに、出国ゲートを出た先にも、本屋や高麗人参店、薬局、CD・DVD店、また民族料理店や洋食店、アイスクリーム店までが軒を連ね、中部国際空港や羽田空港国際線ターミナルのような「遊べる空港」を意識した構造となっている。
「そもそもエネルギー不足で工場がちゃんと稼働していないため、北朝鮮の国産品自体が珍しいが、全国の産品を一同に集めたような素晴らしい品ぞろえだった。国内では、たとえ同胞でも、私のような在日朝鮮人は市中の商店に入って自由な買い物をすることは難しい。ここはなんでもそろっていて、面白そうだった。ただ最大の問題点は、買い物の時間がないこと」(同)
例えば、北朝鮮のフラッグキャリア・高麗航空の北京便の場合、日本へ同日乗り継ぎで帰国ができる平壌発は「月・火・金・土」の午前8時台。
朝の出発はとかく時間がない。また「出国の税関検査で職員が意地悪するかのごとく細かく荷物を調べるので、ここでもまた時間がかかり、結局は店で土産を買う時間なんてなかった」(同)というのが実情なんだとか。
結局、すぐに搭乗時間となり、高麗航空は機内販売のサービスはない。
「いったい空港の“商店街”は、なんのためのものなのか……」と先のビジネスマンは憤るが、いかにも北朝鮮っぽい顚末だ。
(文=金正太郎)