(南投中央社)中部・南投県の景勝地、日月潭に隣接する「頭社盆地」に古くから残る世界でも珍しい風景が、同県の文化的景観に指定された。同県政府文化局が11日に公表した。
景観の中には、日本統治時代に開かれた用水路も含まれている。

頭社盆地は、植物が完全に分解されずに堆積した泥炭地からなる面積約1.7平方キロメートルの盆地。かつて台湾原住民(先住民)サオ族の集落があった。文化的景観に含まれるのは、同地に伝わる特殊な農法「浮田耕作」とこの農法に欠かせない台湾在来種の「スイシャヤナギ」、日本統治時代に開かれた私設の用水路「頭社シュウ」を前身とする「頭社大排水門」、中国語で「日月潭藺」と呼ばれるスゲの仲間「トクサイ」の4つ。(シュウ=土へんに川)

通説で、丸い日潭と三日月形の月潭から成るとされる日月潭。文化部(文化省)の資料によれば、サオ族の伝説では、現在の日月潭が当時の月潭、頭社盆地がかつての日潭に当たると語り継がれている。


文献によると、日潭は約11万年前の氷河期に形成され、約1700年前に枯れ始めて、植物繊維を多く含む深さ数十メートルの泥炭地となった。そのため昔の人々は、泥炭地の周囲に堤防を築き、スイシャヤナギを植えて土質を強固にしてから湿地の上で稲作を行う「浮田耕作」を考案し、自然との共存を図ってきた。

同県政府文化局は先月初旬に開いた審議会で頭社盆地の景観を文化財に認定することを決定。今月5日に「頭社古日潭浮田文化景観」の名称で登録した。同局は地元の住民が長年育んできた特有の景観を世界に紹介することが海外からの観光客誘致につながればと期待を示している。

(蕭博陽/編集:塚越西穂)