今年、世界中を大きく揺るがした新型コロナウィルス。その影響はとても大きく、生活スタイルや仕事の体制、はたまた世界的な経済情勢にも関与しました。

そんな影響はママ友グループという、狭いコミュニティにも少なからず影響しました。



今回ご紹介するのは、新型コロナウィルスによる自粛生活をきっかけに、とあるママ友グループに起きた亀裂の瞬間をご紹介します。



■地元のキッズサークルで仲良くなったママ友グループ



地元のキッズサークルに参加していたAさんには、そこで仲良くなった3人のママ友がいました。気さくで明るいBさん、控えめだけど気配り上手なCさん、シングルマザーのDさん。



子ども同士が同い年ということもあって仲良くなり、4人でLINEグループを作り、サークルとは別に個人的にも交流を続けていました。4人で交流を続けていた数か月後、世間では新型コロナウィルスの話題で不穏な空気が流れ、そしてとうとう2ヶ月以上にもおよぶ自粛生活へと突入したのです。



Aさん達は会えないながらもLINEでやり取りを重ね、不安な中気持ちを共有しながら過ごしていたのですが…シングルマザーのDさんの言動がきっかけでママ友グループに亀裂が入ってしまったのでした…



■生活が苦しいのは分かるけど…



自粛期間中は自宅で過ごすしかなく、子どももストレスがたまる一方。よくみんなで遊んでいた近所の公園も、市の要請で立ち入り禁止となってしまいました。それから数週間が経ち自粛解除となりましたが、まだ子どもの幼稚園は再開されずもんもんとしていたそんな時、BさんからLINEが入りました。



『〇〇公園、立ち入り禁止じゃなくなったんだって。』



室内ではなく外で、そしてきちんとマスクをして感染予防をした上で…ということで、久しぶりに公園で子ども達を遊ばせようということになりました。久し振りにお友達と遊ぶことができた子ども達は大喜びです。

夢中になって遊んでいるうちに、喉が渇いたと次々に言い出しました。



短時間のつもりで水筒を持ってこなかったこともあり、近くの自動販売機でジュースを買おう…ということになったのですが、Dさんが『うちは水道の水でいいかな』と言ったのです。



当然と言えば当然ですが、Dさんの子は『いやだ!ジュースが飲みたい!!』と駄々をこねました。お友達はジュースを飲むのに自分だけ…と泣き出しますが、Dさんは頑なにジュースを買ってあげようとはしません。Dさんの子は泣き続けますが、感染予防の点からも、我が子の分を『ちょっとあげる』と回し飲みをさせるわけにもいきません。しばらくして、見かねたCさんが『これ、良かったら』と余分に買ってDさんに渡しました。



『ありがとう~』と悪びれる様子もなく、受け取るDさん。きっとDさん以外の3人はモヤモヤしていたと思いますが、誰も口には出さず、その場ではいつも通り別れたのでした。



■続く非常識な行動にとうとう…



やっと幼稚園も再開し、子ども達にいつもの日常が戻ってきました。私達もホッとしながらも、自粛生活前とは明らかに変わった生活…主に家計面で、主婦としてなにかと頭悩ませていた、そんな時です。Dさんから『久し振りに4人で集まらない?』とLINEが入りました。



家計を考えると外食自体気が引けましたが、久し振りの息抜きもしたいところ。

せめて…ということで、場所はファーストフード店に決めて、集まることにしました。店内に入ると『私、窓際の席を取っておくね』と言ってDさんが場所を確保してくれました。その間、私たち3人はそれぞれで商品を注文したのです。



『ありがとう。席の見張り代わるから、買っておいでよ。』



ジュースとポテトが乗ったトレーを席に置きながらDさんを促すと、意外な答えが返ってきました。



『ううん、私はいらないかな。』



「えっ?」と思いましたがBさんとCさんも席に戻ってきたため、それ以上のことは言えず、私もそのまま席に着きました。そして会話を始めたのですが…聞こえてくるのはDさんからの愚痴ばかりでした。



『シングルで元々苦しかった生活が、自粛生活でさらに厳しくなった』『自粛中も子どもと1対1で辛すぎ』



事情は察しますが、それぞれみんな生活が苦しくなった実感はありました。何かと切り詰めたり、見直したりしながら生活して、それでもこうやってママ友と会えることに私は喜びを感じていたのですが…Dさんの話を聞くうちにだんだんとその気持ちは冷めていってしまいました。



そんなネガティブな会話を続けながら、Dさんは目の前に座ったCさんのポテトを『あ、ちょっとちょうだい』と言いながら少しづつ摘まんでいるのです。



『Dさんも何か買ってきたら?』



その様子を見たBさんが、そうDさんに促しても『大丈夫』と言って動かないDさん。この様子にすっかり呆れてしまったのは言うまでもありません。なんとも気まずい空気を感じながら、Dさんの愚痴をなんとか切り上げ、早々に解散したのでした。



■親しき仲にも、最低限のマナーと金銭感覚は大事



そのファーストフード店での出来事をきっかけに、私は4人のグループLINEでは発言を控えるようにしました。たまにDさんからコメントが入りますが、当たり障りのない返答か、スタンプのみで返すことがほとんどです。その気持ちはBさんとCさんも同じだったようで、以降は4人で集まることは無く、「集まろう」というような話題もDさん以外は誰も出すことはありません。



金銭が絡むことは、親しい仲であったとしても大きなトラブルに発展しかねない問題です。それぞれの家庭の事情があるにせよ、最低限の相手への配慮は忘れてはならないのではないでしょうか。



新型コロナウィルスによって、いままで見えなかった家庭事情や相手の本質が見えてしまったのかもしれませんが、そのような配慮や感覚を共通できない相手とは、自分の生活を守るためにも自然と距離を取ってしまうことも、致し方ないのかもしれない…と思うようになりました。