芋づる式に深まる、国連大学ビルの謎
(上)ビルは都庁と同じ、丹下建三の設計(下)このまま飛んでいきそうなUNメール・ボックス
ミスター・トリビアこと唐沢俊一のお散歩ブック『近くへ行きたい』。この本を読んでずっと気になっていた場所がある。
それが、青山の国連大学ビルだ。

青山通りに面した、ギザギザのピラミッド型の巨大な建築。インパクトのある建物だが、たしかに「いつ見てもひっそりとして、人かげがまったくない」。しかも本には、この規模で「勤務している人間がたったの八十人」とか、まだ未完成のフロアがあるらしい、などと書いてある。いったいどうなっているのか? その謎を解明すべく極秘潜入――。

するつもりが、いきなり出鼻をくじかれました。本にはビルが「薄暗く、ひっそりと」していて警備員すらいないとあったのだが、入口では3〜4人の警備員ががっちりガード中(このご時世で警備体制が変わったのでしょう)。しかも昼時のせいか、人の出入りも多くて結構にぎやか。ウロウロしてたら、「ギャラリーなら、こちらからですよ」と警備員さんに案内までされてしまった。なんてことはない、一般人もごくフツーに入れるのだ。

この国連大学、大学といってもいわゆる学生はいない。国際連合の研究機関として設立されたもので、ビルにはその本部のほかいろんな国連機関の事務所が入っているという。
また1〜2階は国連の活動を紹介するギャラリーになっていて、一般の人も自由に見学できる。

都心の廃墟のようなところをイメージしていたので、いささか拍子抜け。「なーんだ」と見学モードに入っていたら、珍しいものを見つけた。見覚えのない切手に地球型(?)のポストらしきもの。この「UNメール・ボックス」にオリジナル国連切手を貼ったオリジナル絵ハガキを入れると、NY国連本部の消印が押されて配達される、とある。独自の郵便システム? NY経由って、えらい遠回りでは? さらにそのとなりのUNギャラリーの案内には、閉館日のところに「国連の休日」と書いてある。それって、いつ……?

謎を解明すべく勇んで出かけた国連大学ビルでしたが、さらに謎は深まる一方なのでした。
(矢部智子/アンテナ)
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