ところで万博といえば、会場のシンボルとなる巨大な建物や高いタワーなどが各国の技術力を示すものとして注目を集めてきた。フランスのエッフェル塔もしかり。エッフェル塔は1889年の「パリ万国博覧会」で当時世界一高い鉄塔を、ということで建てられたもの。高さは312m。「鉄鋼時代の幕開けの記念碑的存在となるだろう」と言われたのだった。
そしてその4年後の開催国アメリカではこのエッフェル塔を超える建築物を作ることに燃えた。様々なアイデアが出されたがどれも今ひとつ。ただ単に高さを競うだけであればエッフェル塔の高さをしのぐものを作ればよい。しかし、それでは独創性に欠ける。そんな中、橋やトンネルなどの建築家兼エンジニアだったジョージ・W・ゲイル・フェリス(George Washington Gale Ferris)が突飛なアイデアを思いつく。今では誰でも知っているあるものがフランスVSアメリカの技術力競争の中でこの年誕生したのである。
フェリスが考え出したのはタワーを2本建造し、その間に軸を渡して車輪を設けるというもの……そう、観覧車であった。この世界初の観覧車は高さ75m、ゴンドラ数が36、各ゴンドラには40の座席と20人の立ち席があり1周20分で一度に2160人も収容できるという壮大なもので設計者の名前をとって「フェリス・ホイール」と呼ばれた。ちなみに英語で観覧車のことは「フェリス・ホイール」という。
愛知万博「愛・地球博」のテーマは「自然との共生」。はてさて、どんな万博になるのだろう。(こや)