おでんに「にんじん」を入れてもいいものか
先日、私の友人がこう言った。「実家のおでんには『にんじん』が入ってた」。
え! にんじん! と一瞬うろたえたものの、頭に思い描けば妙にしっくりくる。それにまあ、まずいハズはないだろうな。でも少なくとも私は食べたことがないな、やっぱり変かも、と思考は堂々巡り。そこで、その名も「おでん博物館」というサイトを運営され、おでんに関する著書も多数出版されている新井由己氏に「おでんに『にんじん』」について意見を伺ってみることにした。

お答えによれば、「ときどき(おでんに)『にんじん』を入れるという人に会います。お店で入れているところもありますが、家庭で入れられるほうが多いという印象です」とのこと。
「地域性」はあまり関係がないようで、たとえば前述の私の友人は大阪出身なのだが、地元の友だちの中で「にんじん入り」は自分の家だけだったという。

新井氏はさらに「おでんの定義というのは特になく、その人がおでんと呼んでいるものがおでんです。ですから、『にんじん』が入っていようが、『ブロッコリー』が入っていようが、『ほうれん草』が入っていようが、何でもいいのです」ともおっしゃる。おでんで何て自由なんだ!

こうなったら実際にやってみるしかない。せっかくだから、と「にんじん」だけでなく、新井氏のおっしゃっていた「ブロッコリー」、「ほうれん草」と、個人的にトライしたかった「アスパラガス」を入れたおでんを作ってみることに。

なんだか洋風なルックスのおでんが出来上がった。
結果から言おう。全部うまい! 普通にうまい。特に「にんじん」とおでんの相性の良さには驚いた。「ブロッコリー」も相性抜群!おでんの懐の深さを思い知った。これからの季節、おでんを作る際にはぜひ「にんじん」をお試しください!(スズキナオ)