人は山で何を叫ぶのか
こんな山の景色を見たとき、あなたはなんと言って叫びたくなりますか?
山と言えば「ヤッホー!」、というイメージがある。

しかし実際に叫んだことは無い。
叫んだという声もあまり聞かない。
リアルでヤッホーと叫んでいる人が本当にいるのか。叫ぶ台詞は本当にヤッホーなのか。それにはたして山の中で急に叫んでも大丈夫なのか、
実際に山に行って検証してみる事にした。

訪れたのは最高気温8度の日。
頂上からの眺めは最高にいいが、風も冷たく人もいない。
よって、叫んでいる人はいない。何か叫ぼうと思ったが、急に叫べと言われても案外声が出ないものである。

山頂近くの売店の方に聞いてみたところ「秋などのハイキングシーズンには叫んでいる人がいた」らしい。叫ぶ人はけしてゼロではないようだ。

年齢層は若く、大人はあまり叫ばない。その時の叫び声は大半が「ヤッホー」。
あるいは人の名前が主流。「○○好きだー!」といった告白系もまれに見られるのだとか。
あまり長い台詞を叫ぶ人は少ない様子である。
さらに「ヤッホー」をはじめとする山での叫び声について調べるべく、プロの方に話を伺ってみた。

お話を伺ったのは「ヤッホーポイント」を調べている研究会「上勝自然体験学習研究会」と山岳会の方。
ヤッホーポイントとは、山彦が「気持ちよく」返ってくるポイントのこと。
こちらは「山びこ認定士」なども認定しているという、本格的な研究会なのだ。
確かにどうせ叫ぶのなら、山びこが返ってきた方が気持ちがいい。
お話によると、叫ぶ台詞としては「悪口以外なら何でもいい」という。それに奇声を発するよりは台詞を叫んだ方が、叫びがいがあるそうだ。

しかし、山で叫んでいる人は最近少ない。叫ぶのは恥ずかしい事ではないが、急に叫ぶと近くの登山客に怪しまれる可能性があるため、周囲をよく探ってから叫ぶように、というアドバイスを頂いた。

叫び方のポイントを伺うと、「山びこを意識するのなら、『ヤッホー!』と叫ぶのもいいし『ヤホ!』と叫ぶのもいいですね」
長い言葉で叫ぶと叫んでいる間に山びこが戻ってきてしまう。短い方が返りが綺麗なのだとか。

どんな山が叫ぶのに適しているかと言うと、これは人それぞれ。心地よいと思ったときに叫ぶのが一番いいらしい。
ヤッホーの達人ともなると、山を見ただけで「返りがいい山」「返りが悪い山」が分かると言うから驚きだ。

あまり大声を出す機会もない現代社会。

山の中で思い切り叫んでストレス解消をするのはいかがだろうか。
(のなかなおみ)