ぼんち&歌舞伎&満月、ところ変わればレア米菓
手前がミニ歌舞伎揚(近隣で通常サイズを発見できなかった為、可愛らしいミニサイズでご容赦を)奥が満月ポン&ぼんち揚。色で言えば、ぼんち揚の方がやや薄め。軽くてついついサクサクと食べてしまいます。
関西のスーパーへ行くと必ず目に入る物がある。「ぼんち揚」と「満月ポン」だ。

普段は気にもしなかったが、この2つ、関東圏ではレアなお菓子なのだと聞いて驚いた。

ぼんち揚を販売しているのは、その名も「ぼんち株式会社」という会社。
ぼんち揚以外にも様々な商品を販売している会社なのだが、人気ナンバーワンは? と伺えば、それはやっぱり「ぼんち揚」。
そんな「ぼんち揚」の売り上げはというと、関西が90%、九州・四国・中京が7%、関東を含むそれ以外のエリアが3%。と、関西がダントツにずば抜けている。
関東で人気のある同系列の米菓と言えば「歌舞伎揚」。これは逆に関西のスーパーではなかなかお目にかからない、関西でのレア菓子だ。この2つ、姿形は良く似ているのだが、ぼんち揚げは優しい薄味で噛みごたえはサックリ。歌舞伎揚は、味がしっかり噛みごたえもはっきり……と、食べてみるとその違いが分かる。

ぼんち揚の持ち味は優しい甘み。これは何かと伺ってみたところ、
「ヒガシマル醤油のうすくち醤油をぼんち揚用に特製ブレンドしたものです」
企業秘密かと思いきや、意外にあっさりと教えてくれた。
さらに原材料を見てみると、かつお粉末や昆布エキスなどの出汁モノがさり気なく並んでおり、「うすくち醤油&出汁」という関西の食文化を感じられる。

なお、歌舞伎揚に使われているのは関東で好まれる「こいくち醤油」。パッケージの原材料名を見る限り、出汁モノは発見できなかった。
ぼんち株式会社さんによると「米菓商品というのは全国的大ヒット、というお菓子を生み出しにくいんです」の事だが、これがまさにその理由だろう。

ぼんち揚と並び、関東ではレアとされるのが「満月ポン」。これはぼんち揚などとはやや系統が異なるが、醤油味のサクッと軽いお煎餅でこちらも関西では人気が高い。
なぜこういう米菓が関西で好まれるのだろうか。周囲に聞いてみると「フワっとした食感と、甘辛い味が関西の人間の舌に合っているから」という答えが多い。
さらにぼんち株式会社さんによれば、「関西で生まれた関西の味だから」と、自信を持って答えていただいた。

しかし関西人の身贔屓ばかりではなく、関東でもぼんち・満月ポンファンは多いと聞く。
そして歌舞伎揚好きの関西人も多いのだが、取扱店が少なく手に入りにくいのが現状だ。
ぜひ揚げ菓子ファンの為にも市場を拡大し、両方同時に味わえるようにしていただきたいなあと願うばかりである。
(のなかなおみ)
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