ディープすぎる金魚の世界をDVDで
金魚に関するAからZまで、これだけでかなり学べます。
8月のある深夜、NHKで非常にディープな番組をやっていた。『金魚大百科』。

ハイビジョンの番組を、地上波で再放送している番組のようだが、「たかが金魚、されど金魚。この深くて広い世界を26のキーワードで紹介」として、金魚に関する情報を、「C=Color」「F=Food」のように、AからZまで分け、2時間近く放送していた。慌てて途中からビデオに録ったが、最初が切れてしまったのが、どうにも口惜しい。

そこで、調べてみたら、『金魚入門 知っておきたい、泳ぐ宝石たちの秘密』という本が発売されていて、なんとこの番組が、そのままDVD2枚組として付いてくるではないか。
本は、珍しい金魚の種類、季節ごとの飼い方の注意などがコンパクトにまとめられているのだが、やっぱり嬉しいのは金魚の動くさまが見られるDVD!
たとえば、尾の美しさが際立つ「土佐金」。職人が作る専用の鉢は、わざとコケが生えやすいようにケバだたせているというが、その理由は、「コケを食べるときに、お尻をフリフリすることで鍛えられ、美しいバレリーナのような舞ができるようになるから」という。

専用鉢と、バレリーナの舞! なんとも夢のある話ではないか。

また、金魚界の最高峰とされる「ランチュウ」飼いには、エサにこだわる人がけっこういるらしい。ここに登場する「青木さん」は、ハチミツと市販のエサ、秘密のクスリ、乳酸菌、海洋深層水、各種ビタミンなどを混ぜ合わせた「秘伝のエサ」を作っている。彼いわく「土用の丑の日にウナギを食うようなもん」だそうだが、その一方で、天然のミジンコを食べさせている人もいる。
「秘伝のエサVS天然のエサ」のように、散々あおったライバル関係だが、ランチュウの品評会では両者とも惜敗、「ちなみに、優勝した金魚は市販のエサでした」と、残酷なオチで締めくくるのである。

他に、注目だったのは、「世界一大きい金魚」。
「ジャンボオランダシシガシラ」は非常に大きい種類で、日本一は体長40センチ、世界一の中国の金魚は体長43.5センチという。
さらに、驚くのは、金魚が意外にもイギリスで愛されているということ。「ランチュウ」に夢中になり、なんと日本までわざわざ飼育法を学びにきた「アンドリューさん」という人物は、日本の飼育法を忠実にするがあまり、毎日日本の天気予報をチェックし、日本の気温をセットしているのだそうだ。
そして、気になるのは、やっぱり「寿命」。
以前、Bitで「金魚にまつわる数々の誤解」という記事を書いたが、アンケートによると、1年以内で死んでしまう割合は50%、平均寿命は2.8歳。
だが、最初の時期をうまく乗り切ると、長生きする金魚は多く、世界最長寿のイギリスのゴールディーくんにいたっては、なんと44歳(2004年時)! 飼い主が68歳、70歳のご夫婦で、3人あわせて182歳というスゴイことになっていた。


日本でも長寿の金魚は多いが、たいていきっかけは「縁日での金魚すくい」のよう。どの飼い主にも共通していえるのは、犬猫に負けない愛を降り注いでいるということだ。
そんなディープすぎる金魚の世界を見ているうちに、癒され、安らぎ、ついウトウト。金魚好きでなくとも、眠れない夜にオススメのDVDです。
(田幸和歌子)