経済アナリストの森永卓郎氏が8月31日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、キャスターの小倉智昭氏と対談。「GAFA」と総称されるグーグルやアマゾンなどアメリカのIT企業に肩を並べるような大企業が日本に生まれない理由について解説した。

日本にGAFA級の大企業が生まれないのは日本人の「技術力」で...の画像はこちら >>

GAFAのロゴやアイコン=2020年12月15日 写真提供:共同通信社

小倉)GAFAに匹敵するような大会社が日本になかなか出てこないのは、どうしてですか。

森永)実は、グーグルもアップルもやっていることは“ピンハネビジネス”なんです。例えば、スマートフォンでゲームをダウンロードすると、アイフォーンだとアップルに、アンドロイドだとグーグルに、いずれも課金額の3割が入るんです。そのピンハネで大儲けしているという構造なんですね。

日本でも本当はそれができたはずだったんです。「トロン」というオペレーションシステムを開発したのは日本でしたが、アメリカが不公正貿易だとして日本を訴えてきました。

こうして日本が抑え込まれているうちに、アメリカが一気に元締めを取ってしまったという仕組みなんです。

今の対米従属状況からいうと、日本がその元締めを取るのは難しいと思うんです。ただ、これからは日本人が得意な「IoT(モノのインターネット)」の普及がさらに進むので、その分野で復活していくということは十分に可能だと私は思っています。

小倉)かつてはNECやシャープなど、半導体はほとんど日本が牛耳っていた時代がありました。なぜ手元離したのか……。技術が追いつかなくなってしまったからなんでしょうか。

森永)いえ、そうではなく、「技術を教えてくれ」と韓国の技術者が日本にやって来て、日本人は“いい人”だから全部教えてしまったからです。やはり、“いい人”はお金持ちになれないんだということですね。

小倉)そうか、日本人は“いい人”だから駄目なんですね。かつては、日本の家電業界が世界を席巻していたのに……。

森永)ただ、今は秋葉原を中心に「一芸家電」のメーカーがたくさん出てきていて、その分野では日本が強くなってきているんです。芸能界と一緒ですよ。

総合家電がMC(司会者)もできる芸能人だとすると、一芸家電は一発芸といえます。今、日本の技術系企業が得意とするのは後者の一発芸であるわけです。

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