黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(2月16日放送)にホテル評論家の瀧澤信秋が出演。コロナ禍を経た「日本のホテルのいま」について語った。

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黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。2月12日(月)~2月16日(金)のゲストはホテル評論家の瀧澤信秋。5日目は、旅行スタイルの変化と今後のホテル業界について

黒木)旅行スタイルは変わってきていますよね?

瀧澤)私が小学生くらいのときは団体旅行がとても盛んで、会社の社員旅行や慰安旅行がたくさんありました。温泉地には大型観光ホテルがたくさんあって、スナックやゲームセンターがあるようなホテルが流行っていました。

黒木)そうでしたね。

瀧澤)ただ、バブル崩壊後は個人旅行に変化していきました。

その結果、昔ながらの温泉地の大型観光ホテルは淘汰されました。インターネットの普及とともに個人旅行へ変化していった背景があります。昔は旅行会社にお願いして旅程を組み立ててもらう形でしたが、いまは自分で全部できてしまいます。その意味で、個人旅行に対応できた旅館やホテルが潤っている状況があります。

黒木)つまり、1人でも泊まれるようなライフスタイルに合わせたホテルが増えているのですか?

瀧澤)これまでは、温泉旅館には大浴場があるのが普通でしたが、最近は客室に露天風呂があるホテルが出てきました。カップルや夫婦で行ったときに大事になる。

そのようなところにお客さんが集まる傾向があります。

黒木)お客さんを呼ぶため、どのように展開しているのですか?

瀧澤)ホテルというのは、ホテル単体で出せる魅力は限られます。特にビジネスホテルでは、朝食くらいでしか出せる魅力がありません。ところが最近だと、「そのエリア全体がホテル」のような考え方を打ち出すホテルが出てきています。

コロナ禍を経て、宿泊施設はどう変わったのか ホテル評論家が解説
瀧澤信秋

瀧澤信秋

黒木)エリア全体というのは、その周りの地域ということですか?

瀧澤)例えばそのホテルに泊まると、周りのエリアの飲食店と提携していたりします。あとは分散型と言って、一定のエリアのなかにいくつも同じ名前の建物があり、母屋にチェックインすると、自然とその街を回遊しながら別の建物に行くこともできます。

これは京都にもありますね。

黒木)京都も紹介していましたね。

瀧澤)私が2023年に行った京都のとあるホテルチェーンは、京都で70軒くらいやっているのです。

黒木)やはりコロナ禍を経て、ホテル業界も変わっているのですね。

瀧澤)昔はシティホテルやビジネスホテル、旅館、カプセルホテルなどに分かれていましたが、いまは「いろいろな魅力を発信できるようなことをしましょう」というホテルが支持されていますし、強いなと感じます。

黒木)現実的には、ホテルで働く方々の人手不足があり、ホテルマンへの教育も大変ですよね。

瀧澤)AI化も進んでいます。先日行ったビジネスホテルはスマホでチェックインできました。事前にスマホで予約・登録しておくと、ピッとかざすだけで、誰にも会わずにチェックインできるのです。部屋の鍵もスマホで開錠できます。そのように各ホテルが人手を減らす工夫をしています。

黒木)瀧澤さんにとってホテルの魅力、旅館の魅力、旅行の魅力は何ですか?

瀧澤)AIの話をしましたが、やはりホテルはヒューマンウェアだと思います。

AIがあっても、そこに人の気持ちが入っていることは大事だと思います。これまで10年間、ホテルを忌憚なく批評してきましたが、評論家という名前を使わせていただいてホテルの魅力を発信できるのであれば、それでいいかなと思っています。

コロナ禍を経て、宿泊施設はどう変わったのか ホテル評論家が解説
瀧澤信秋

瀧澤信秋

瀧澤信秋(たきざわ・のぶあき)/ホテル評論家

■法律事務所、会計事務所等の勤務を経て、経営コンサルタントの会社を設立。
■2000年ごろから各地への出張の折に利用したホテルの宿泊レポートをブログで執筆。
■2007年ごろからメディアへの取材対応をはじめ、「ホテル評論家」として活動。日本を代表するホテル評論家として、利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底し、数多くのメディアに出演。


■評論対象はラグジュアリーホテル、デラックスホテルをはじめ、ビジネスホテル、簡易宿所(カプセルホテル・ゲストハウス・簡易宿泊所)、レジャーホテル(ラブホテル)など多業態に渡り、ホテルグルメ、ホテルにまつわる社会問題まで幅広い。