世界のスーパースターとの恋、恍惚、切なさ、孤独……『プリシラ』 (2024年4月24日)

世界のスーパースターとの恋、恍惚、切なさ、孤独……『プリシラ』

2024年04月24日(水)11:00

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」（日曜朝5時～）で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。4月7日は、3人の監督の“最新作にして最高傑作”と言われる3本をご紹介しました。

その1本は、ガーリーカルチャーを牽引するソフィア・コッポラ監督が描くFirst Love『プリシラ』。

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世界のスーパースター　エルヴィス・プレスリーと恋に落ちた少女がたどる魅惑と波乱の日々を描いた物語は、シャネルやヴァレンティノが彩る飛びきり甘美なシンデレラストーリーの中に、孤独や疎外感といったビターなエッセンスを潜ませた緻密で繊細な作品。エルヴィスの元妻の回想録「私のエルヴィス」をもとに、ソフィア・コッポラ監督らしいスタイリッシュで美しい作品世界を創り上げました。

物語の始まりは1959年。アメリカ軍将校の父の転属で西ドイツにやってきた14歳のプリシラは、外国生活に馴染めずにいましたが、ある日、兵役で赴任していたエルヴィスと出会い、恋に落ちます。“世界中が憧れるスーパースター　エルヴィス・プレスリーの特別になる”という夢のような現実……。

やがて彼女は両親の反対を押し切って、アメリカにあるエルヴィスの大邸宅グレースランドで一緒に暮らし始めることに。エルヴィスの魅惑的な別世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼の色に染まり、彼のそばにいることが彼女のすべてだったのですが……。

見た目も中身も清純な女の子だったプリシラが、世界のスーパースターと恋に落ちた。大人の彼が求めるがまま、ゴージャスに髪を結い上げ、オートクチュールのドレスに身を包む、恋の恍惚。一方で、女優とのうわさが絶えないエルヴィスへの苛立ちと募る切なさと孤独……。そんな少女の心の変遷と外見の変化を見事に表現したのは、ケイリー・スピーニー。

それはそれは見事な演技。この作品で第80回ベネチア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞しました。

また、エルヴィスには、ジェイコブ・エロルディ。魅力的で華やか、でもアーティストとしての葛藤と傷つきやすいセンシティブなエルヴィスを好演しました。

幼い頃「お姫様になりたい」と思ったり、思春期に「あのアイドルの彼女になれたらなぁ」などと
一度でも思ったことがあるなら、心を鷲掴み！共感マックス間違いなしです。

ポップな音楽も、マカロンみたいな綺麗で可愛い色合いも、オシャレなドレスもとっても素敵！でも、いつまでもふわふわの綿菓子みたいな女の子ではいられない……大人になるってそういうこと。

エルヴィスの妻だって、普通の私たちだってそれは一緒。だから共感できるんです。

映画『エルヴィス』を思い出しながらみました。あの頃、プリシラはこういう思いをしていたんだな……って。

『プリシラ』
2024年4月12日（金）TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー

監督・脚本：ソフィア・コッポラ『ロスト・イン・トランスレーション』（03）、『マリー・アントワネット』（06）
出演：ケイリー・スピーニー　『パシフィック・リム: アップライジング』（18）
ジェイコブ・エロルディ　「ユーフォリア／EUPHORIA」シリーズ（TV・19～）
原題：PRISCILLA/2023/113分/アメリカ・イタリア/ビスタ/5.1chデジタル/字幕翻訳：アンゼたかし/映倫：PG12
配給：ギャガ