現代文明社会の問題点である自然の中での人間のありようを考え直す手段として、日本列島に暮らし始めた4万年前からの歴史を辿る。
世界史では新石器時代のものとされる磨製石器が旧石器時代の3・7万年前、土器も1・5万年ほど前に見られ、日本列島での文化の始まりは早い。
1・1万年前から気候が安定な完新世になり、定住、農耕へ移行した時の生活・文化を特徴づけたのが四季の存在である。海・川・山野の資源が四季を意識させ、一年の暮らし方を予測しながら日常を組み立てることになったのだ。このような生活の基本は現代にまで続く。共同体での個人と集団の関係、平等と格差などの課題にも眼を向けながら、自然の一部としての生き方を探る試みである。
【書き手】
中村 桂子
1936年東京生れ。JT生命誌研究館館長。生命誌という新しい知を提唱。東京大学理学部、同大学院生物化学博士課程修了。
【初出メディア】
毎日新聞 2021年10月16日
【書誌情報】
日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代著者:森先 一貴
出版社:朝日新聞出版
装丁:単行本(224ページ)
発売日:2021-08-10
ISBN-10:4022631112
ISBN-13:978-4022631114