「編集工学」のパイオニア松岡正剛氏が日本文化に斬り込む。≪日本文化はハイコンテキストで、一見、わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂がある≫、とまず宣言。
松岡氏は博識で、日本のことなら何でも知っている。しかもそれを、やたら西欧の普遍言語に置き直してしまうと台無しだとわかっている。そこで氏は、西行や親鸞や世阿弥や……の懐に入り込む、背負い投げのような論法をとる。簡単に結論は出さない。日本ローカルの言語でしか語れないディテールが大事なのだ。
こうして本書には、日本文化の重要なトピックが十六講、ぎっしり詰まっている。ぎっしり過ぎて、漫然と読むと頭の中がおもちゃ箱ひっくり返し状態になるかもしれない。
それでも本書は読むべきだ。グローバル化を前に戸惑う日本だが、いまに始まったことではない。
【書き手】
橋爪 大三郎
社会学者。1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を経て、1989年より東工大に勤務。現在、東京工業大学名誉教授。著書に『仏教の言説戦略』(勁草書房)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『社会の不思議』(朝日出版社)など多数。近著に『裁判員の教科書』(ミネルヴァ書房)、『はじめての言語ゲーム』(講談社)がある。
【初出メディア】
毎日新聞 2020年4月4日
【書誌情報】
日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く著者:松岡 正剛
出版社:講談社
装丁:新書(352ページ)
発売日:2020-03-18
ISBN-10:4065187737
ISBN-13:978-4065187739