小説家・星野智幸さんの相撲エッセイ。なんというタイミングだろう! と思いながら読む。
だが、とりわけ第3章で批判的に論じられている諸テーマには耳を傾けるべきだ。無意識のモンゴル人力士叩きや、国技館での差別的ヤジなど、他の競技(たとえばサッカー)ならば顰蹙を買うはずの行為が、堂々とまかり通っている。心を痛めている相撲ファンも少なくないはず。相撲を愛する者にしか書けない珠玉の言葉。
【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。
【書誌情報】
のこった もう、相撲ファンを引退しない著者:星野 智幸
出版社:ころから株式会社
装丁:単行本(ソフトカバー)(216ページ)
発売日:2017-11-18
ISBN-10:4907239270
ISBN-13:978-4907239275