◇<1>鷲田清一著『所有論』(講談社)
◇<2>水村美苗著『大使とその妻』上・下巻(新潮社)
◇<3>円城塔著『コード・ブッダ 機械仏教史縁起 』(文藝春秋)
<1>は「もつ」ことをめぐる哲学的思考の冒険。「これはぼくのものだ」ということは、どういうことなのか。
<2>は軽井沢の別荘地を舞台にした長編小説。日本文化とは何かを考えさせられた。語り手は日本の伝統文化に精通したアメリカ人の中年男性。日本文化を体現したような隣人女性に惹かれるが、彼女は日系ブラジル人だったという設定がおもしろい。
<3>はコンピュータのプログラムが悟りを開いたら、という長編小説。マジか?シャレか?と心のなかでツッコミを入れつつ、仏教史とコンピュータ史を同時に勉強した気分に。
『所有論』(講談社)著者:鷲田 清一Amazon |honto |その他の書店


【書き手】
永江 朗
フリーライター。1958(昭和33)年、北海道生れ。法政大学文学部哲学科卒業。西武百貨店系洋書店勤務の後、『宝島』『別冊宝島』の編集に携わる。
【初出メディア】
毎日新聞 2024年12月14日