◇<1>岡真理著『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』(大和書房)
◇<2>安田浩一著『地震と虐殺1923―2024』(中央公論新社)
◇<3>奈倉有里著『文化の脱走兵』(講談社)
パレスチナとウクライナから、頭が離れない1年だった。戦争、集団殺害。
<2>は、著者が100年前の関東大震災直後に起こった虐殺の地を訪ね、あらためて事件を丁寧に掘り起こす。ヘイトクライムによる悲劇を二度と引き起こさないために、「記憶のバトン」を受け取る重要性を考えさせられた。
<3>は、ウクライナで戦争が始まった年に、ロシア文学者である著者が書き始めたエッセイ。引用されるロシアの詩がどれも心に沁みて、やわらかい気持ちになる。タイトルの「脱走兵」は、セルゲイ・エセーニンの反戦詩から。
『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』(大和書房)著者:岡 真理Amazon |honto |その他の書店


【書き手】
中島 京子
1964年東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。出版社勤務を経て渡米。帰国後の2003年『FUTON』で小説家デビュー。
【初出メディア】
毎日新聞 2024年12月14日