先日、こんな質問をいただきました。

「実際に過去データによると、成績上位のファンドに限ればアクティブファンドの方がインデックスファンドよりも勝率が高いらしいのだが、本当?」

今回は、この質問にお答えします。


■アクティブファンドとインデックスファンドとは?
そもそも「アクティブファンドとか、インデックスファンドって何?」と思っている方もいるでしょう。少しだけ説明します。

アクティブファンドやインデックスファンドというのは「投資信託の種類」のことです。

インデックスファンドというのは「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」といった、主要指数に連動することを目指すファンドのことです。平均的な利回りを目指しており、大勝ちすることはありません。しかし、その代わりにコストが安いという利点があり、また「確実に平均的な運用成績になる」ので多くの投資家に好まれています。

一方、アクティブファンドというのは、インデックスファンドを超える利回りを目指すファンドのことです。アクティブファンドはピンキリで、うまくいくところと、そうではないところがあります。

すべてのアクティブファンドが「平均以上の利回りを達成する」ことはありえません。だから、全体で見ると、株式市場にはアクティブファンドが多すぎますから、アクティブファンド全体で見るとインデックスファンドに劣後します。手数料の安いインデックスファンドと比べると、アクティブファンドは手数料が高く負けやすいのです。

ある調査(※1)によると、大型株アクティブファンドの約9割が、市場平均にすら勝てないことが分かっています(運用成績の比較期間が20年間の場合)。


■勝ち続けるアクティブファンドとは
そろそろ本題へ移りましょう。ご質問者さまからは「実際に過去データによると、成績上位のファンドに限ればアクティブファンドの方がインデックスファンドよりも勝率が高いらしいのだが、本当?」という質問をいただきました。

結論から書くと「ごく一握りの投資家が運営するアクティブファンドは成功し続けている」点は本当です。

その最たる例が、投資の神様バフェットを筆頭としたバリュー投資家たちです。

バフェットは「グレアム・ドット村のスーパー投資家たち」というエッセイを書いています。このエッセイによれば、証券分析の祖であるベンジャミン・グレアムが講師を努めた証券分析の講義を受けた生徒たちは、その多くがインデックスを上回るアクティブファンドを運営していたそうです。

バフェットの師のベンジャミン・グレアムが運営していたグレアム・ニューマンをはじめ、バフェット・パートナーシップ、ウォルター・シュロス、トゥイーディー・ブラウン、セコイア・ファンド、チャールズ・マンガー、パシフィック・パートナーズ、パルメター・インベストメンツなどは、いずれもバリュー投資に長けており、高い利回りを達成しました。

■まとめ
要点をまとめると、以下の4点に集約できます。

◯インデックスファンドは指数に連動することを目指し、アクティブファンドは指数を上回ることを目指す
◯全員が平均以上を取ることは不可能なため、全体で見るとアクティブファンドはインデックスファンドを劣後する
◯ごく一握りのアクティブファンドは指数に勝ち続けている
◯最たる例が、グレアム・ドット村のスーパー投資家達である

筆者自身、自らの成功体験からグレアムが世界に広めたバリュー投資は本物だと確信しています。

グレアムの著書は、初心者にとっては小難しくてとっつきにくいかもしれません。しかし、投資を学ぶうえでグレアムが書いた「賢明なる投資家」や「証券分析」以上の名著は他にありません。あなたが投資のプロになって、平均以上のパフォーマンスを達成したいのであれば、グレアムが残した技術は今でも「メシの種」になってくれるでしょう。


(※1)参考資料:調査:SPIVA U.S. Scorecard(2022)

文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)

18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。
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