老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、68歳まで年金をもらいながら働いた場合、年金はいくら増えるのかについてです。

■Q:65歳からの年収は420万円です。68歳まで厚生年金を払いつつ働いた場合、年金はどれくらい増えますか
「現在64歳です。65歳から年金を受給し、68歳まで厚生年金を払いつつ働いた場合、年金はどれくらい増えますか。65歳からの年収は420万円です。65歳からもらえる年金は20万円です」(匿名希望さん)

■A:年収420万円(平均月収35万円)で厚生年金に3年間加入して働くと、年額6万9060円、老齢厚生年金が増えることになります
65歳から68歳までの3年間、厚生年金保険料を支払った場合に増える年金額は、相談者の今までの年金の加入状況によりますので、具体的な金額は、最寄りの年金事務所で試算依頼をしてみるといいと思います。

概算となりますが、以下のように計算すると3年間で増える老齢厚生年金額が分かります。

▼老齢厚生年金受給額の計算【a:平成15年3月以前の加入期間】
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数

【b:平成15年4月以降の加入期間】
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
(※昭和21年4月1日以前生まれの人については、給付乗率が異なります)

相談者が3年間(36カ月)、平均月収35万円で厚生年金に加入した場合、老齢厚生年金がどれくらい増えるのか計算をしてみます。

【b:平成15年4月以降の加入期間】の計算式を用います(平均標準報酬額を35万円として試算)。

35万円×5.481/1000×36カ月≒6万9060円

したがって、平均月収35万円で厚生年金に3年間加入して働くと、年額6万9060円、老齢厚生年金が増えることになります(経過的加算は考慮しません)。

ただし、60歳以降、厚生年金に加入して働きながら、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金含む)を受け取る場合、総報酬月額相当額(おおよその給与収入など)と、基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)の合計金額が支給停止基準額51万円(令和7年度)を超えると、在職老齢年金制度により、老齢厚生年金の全額もしくは一部が支給停止されます。


監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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