■Q. 脇汗が多く、汗じみや臭いに悩んでいます。汗の量を減らす方法はないでしょうか?
Q. 「脇汗が人よりも多くて悩んでいます。
■A. 腋窩多汗症で日常生活に支障が出ている場合、医療機関での治療も可能です
汗は体温調節のために必要なものですが、必要以上に多く出てしまう場合は「多汗症」の可能性もあります。緊張や不安が強いとき、誰でも一時的に汗が増えることはありますが、多汗症の場合は異なります。自律神経の失調が原因で起こると考えられており、単なる体質の問題として片付けられるものではありません。中でも脇の下に症状が出るものを「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」と呼び、日常生活に支障が出るほどであれば治療の対象となります。
治療はまず、汗の量を減らすための「塩化アルミニウム液」の外用から始めるのが基本です。皮膚に塗るだけと手軽ですし、副作用も少なく、比較的安価に試せます。
この治療で効果が見られない場合、「ラピフォートワイブ」ないし「エクロックゲル」という塗り薬が現在保険適応で認められています。どちらも1日1回両方の脇の下に薬を塗ります。おおよそ汗の量が50%以下になるので、有効性は高い薬です。副作用としては、頻度は低いものの、口の渇き、過度な眩しさなどを感じる羞明(しゅうめい)、排尿困難などが起きる可能性があります。
次の段階として検討されるのが「ボツリヌス毒素の注射」です。この治療は2012年11月から、脇の下の多汗症に限って健康保険の適用が認められました。ボツリヌス毒素は神経と汗腺のつなぎ目に働き、発汗を促す神経伝達物質の働きを止めることで汗を抑えます。一度の注射で効果は数カ月続き、少量から投与を始めれば副作用もほとんど見られていません。
それでも改善が見られない場合は、「交感神経遮断術」という外科手術も選択肢に挙がります。入院し、全身麻酔をした上で内視鏡を使用し、交感神経を永久に遮断する方法です。効果は非常に高いですが、遮断した部位のまわりの発汗が増加する副作用を伴うため、十分に納得した上で、検討するのがよいでしょう。
脇汗の多さに悩んでいても、「体質だから仕方ない」と諦めている人は少なくありません。実際には保険診療で受けられる治療も含め、上記のような複数の医療的な選択肢もあります。気になる方は皮膚科など専門の医療機関を受診してください。
▼井上 義治プロフィール慶應義塾大学医学部を卒業後、20年以上にわたり形成外科医として総合診療に従事。
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