老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、心の病気になる前に個人年金保険に入っておいたほうがいいのかについての質問です。

■Q:50代です。心の病気になると個人年金保険に入れない? 今のうちに加入したほうがいいですか?
「現在50代です。今後、もしうつ病や適応障害など心の病気になったら、個人年金保険に入れなくなるのでしょうか? 老後資金を準備するためにも、健康な今のうちに入っておいたほうがいいのか気になっています」(匿名・50代男性)

■A:個人年金保険には健康状態の告知が不要な商品があります。心の病気になる前にと、焦って加入する必要はないでしょう
生命保険や医療保険に加入するときには、一般的に現在の健康状態や過去の傷病歴などについて告知が必要です。健康状態や過去の傷病歴によっては、加入できなかったり、条件が付いたりすることがあります。

一方、個人年金保険には、健康状態についての告知や医師による診査が不要な商品もあります。そのため、「心の病気になったら個人年金保険には一切入れなくなる」と考える必要はありません。

ただし、個人年金保険であれば全ての商品で告知が不要というわけではありません。商品や付加する特約などによって取り扱いが異なりますので、加入するときには告知の有無や契約条件を確認することが大切です。

■50代から個人年金保険に入るメリットは?
個人年金保険は、老後資金を計画的に準備する方法の1つです。
毎月一定額などの保険料を払い込み、契約時に決めた年齢から年金を受け取る仕組みです。

また、一定の要件を満たす個人年金保険に加入すると、払い込んだ保険料について「個人年金保険料控除」を利用でき、所得税や住民税の負担を軽減できる場合があります。

一方、50代から加入する場合は、20代や30代から加入する場合と比べて、年金を受け取り始めるまでの期間が短くなります。

また、個人年金保険は途中で解約すると、解約返戻金がそれまでに払い込んだ保険料の総額を下回ることがあります。そのため、近いうちに使う予定があるお金ではなく、老後まで使わずに置いておけるお金で加入することが大切です。

受け取る年金額があらかじめ決まっているタイプの商品では、将来、物価が上昇すると、受け取るお金の実質的な価値が低下する可能性があることにも注意しましょう。

■「病気になる前に」という理由だけで急いで加入する必要はない
老後資金を準備する方法は、個人年金保険だけではありません。預貯金のほか、iDeCoやNISAなどを利用する方法もあります。

例えばiDeCoは、掛金が全額所得控除の対象になるなど税制上のメリットがありますが、原則として60歳になるまで資産を引き出すことができません。NISAは運用によって得た利益が非課税となり、必要なときには売却して資金を引き出すことができますが、投資する商品によっては元本割れする可能性があります。

このように、老後資金を準備する方法によって、お金を引き出せる時期や税制上のメリット、元本割れの可能性などが異なります。「心の病気になったら個人年金保険に入れなくなるかもしれない」という理由だけで、急いで契約する必要はないでしょう。


50代であれば、これから老後までにいくら準備したいのか、いつまで保険料を払い続けられるのか、途中で使う可能性のあるお金はいくら必要なのかなどを整理したうえで、個人年金保険だけでなく、預貯金やiDeCo、NISAなども含め、自分に合った老後資金の準備方法を検討するとよいでしょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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