毎日の料理で何気なく使っているお酢。このお酢に含まれる「酢酸菌(さくさんきん)」という成分の、健康効果が注目を集めているのをご存知ですか?
7月22日、東京都内で開催された農林水産省「フードテック官民協議会」主催の特別セミナーで発表された、発酵食品「にごり酢」が持つ驚きの健康パワーを取材しました。
透明なお酢、実は”不自然”だった?

セミナーでは「酢酸菌の事例から見る、日本の美食テック」をテーマに、日本の伝統的な「発酵食品」のさまざまな可能性が明らかとなりました。
今回ANGIE編集部が注目したのは、キユーピー株式会社による「酢酸菌にごり酢」の研究発表です。
同社の奥山洋平氏は、「酢は一般的に透明なイメージがありますが、発酵による自然な状態の酢には本来『にごり』があるんです」と語りました。そのにごりの正体こそが「酢酸菌」だったのです。
マヨネーズで有名なキユーピーがなぜお酢の研究を? その疑問に同氏は「マヨネーズ製造には酢が不可欠で、1962年から自社で製造していました。酢酸菌との出会いは必然でした」と説明します。
臨床試験が証明した酢酸菌の4大健康効果

臨床試験で明らかになった酢酸菌の効果は驚くべきものでした。
風邪対策:鼻水の症状が約7割、頭重感が約3割に軽減
花粉症緩和:鼻づまりなどのアレルギー症状を抑制
免疫力向上:免疫の司令塔を活性化し、全身の免疫機能を底上げ
腸活効果:排便回数・排便量が有意に改善
特に印象的だったのは、他の発酵菌との相乗効果です。「乳酸菌や納豆菌と一緒に摂ることで、1+1が2ではなく、3や4の効果が期待できます」と奥山氏は力説しました。
現在、キユーピーの研究をベースに、北は青森のリンゴ酢メーカーから南は鹿児島の蔵元まで、全国11社が「酢酸菌ライフ」プロジェクトに参加。各地の特色ある食材を使った酢酸菌にごり酢を開発し、「酢酸菌を食べる文化」の定着を目指しています。
農林水産省の勝野美江政策情報分析官は「日本の伝統的な食文化が、科学的根拠を得て新たな価値を創造している素晴らしい事例」と評価。
昨年11月25日には「いいにごり酢の日」として記念日も制定され、国を挙げての取り組みとなっています。
トークセッションで明かされた美味しさの秘密

セミナー後半のトークセッションでは、「酢酸菌にごり酢は酸味だけでなく、昆布だしと同程度の旨味成分を含んでいます」という興味深い話が飛び出しました。
管理栄養士で京都・菊乃井の常務取締役でもある堀知佐子シェフは「減塩効果も期待でき、和食との相性が抜群」と太鼓判。「健康効果だけでなく、美味しさも兼ね備えているのが素晴らしい」と絶賛しました。
忙しい現代女性にぴったりの健康習慣

セミナー終了後の試食会では、参加者から「思っていたより飲みやすい」「料理にかけるだけで健康効果が得られるなら続けられそう」といった声が聞かれました。
毎日続けやすい健康習慣を求める現代女性にとって、普段の食事に取り入れやすい酢酸菌にごり酢は理想的な選択肢。新たな健康食品として今後ますます注目が高まりそうです。