絡みつく視線、美しい女たちに彩られた、イギリスが誇るエロスの至宝!さてさて、今回ご紹介するのは伝統と紳士の国イギリスで生まれ、流行したアートについてです。
イギリスって、ネクタイやスーツ、レディーファースト発祥の紳士の国というイメージがありますが、ノン! 実はとってもエロスに溢れた国(しかもどちらかというと、変態よりの……)なんですね。
170年ほど前のイギリスでは、古い時代の物語や伝説をテーマにしたアートが流行っていたのですが、ここで注目すべきはその絵の内容。さぁ、どんどんご紹介していきましょう!
まずは有名なこの作品。シェイクスピア作の悲劇『ハムレット』に登場する美女・オフィーリアを描いたものです。
投身自殺を図って水に沈んでいく女性の顔。これ、女性がオーガズムを感じているときの表情に見えませんか? オーガズムの状態はよく「小さい死」だとも言われるのですが、今まさに死にゆく悲劇のヒロインの表情を、まんま恍惚としたオーガズムにすり替えています。不謹慎ですが、半開きの唇がなんともエロい。
続いてコチラ。馬の背中に裸の女性が乗せられて、街中を引き回されているシーンが描かれています。コレ、女性のヌードがひときわ明るく光り輝いていて、一番気合いを入れて描かれているのがわかります。
あ、プレイといえばこちらも。蛇にまとわりつかれて恍惚に微笑む女性。白い肌に蛇の鱗が、なんとも淫媚な印象です。
それから、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』での活躍で、すっかり妖艶なイメージが定着した人魚。ぬめっとした鱗、人間には不可能な腰のしなり、濡れた唇とまっすぐ射抜くような視線……正直、この絵の中の人魚の方がエロティックではないでしょうか?
他にも、誘惑をテーマにした男女の妖しげな様子など、枚挙にいとまがなくなるほど、エロティックなシーン満載のアートで溢れています。まさしくヘンタイ紳士の国、イギリス!!
楽しみながら、エロティックな雰囲気を高めてここで紹介したアート作品は、ラファエル前派といわれる一派のものです。これらはかつて、ヘンタイ紳士たちによって、堂々と屋敷の玄関や客間、廊下など、人目の付くところに飾られていました。
彼らは、芸術を隠れ蓑にしたポルノともいえるこの絵の前で、社交ダンスを踊り、アルコールをたしなみ、恋の駆け引きに耽っていたわけです。まさしくヘンタイ紳士の国、イギリス(大事なことなので、もう一度)!!
そしてこの冬、ラファエル前派の作品が丸の内と六本木の美術館で公開されます。
どちらも、美術館デート後のプランに事欠かないくらいの好立地。2人で美術鑑賞を楽しんだあと、ディナー、そしてホテルなんて……いかがでしょう? 鑑賞中は美術館のマナーにのっとって、彼の耳元でエロティックなトリビアをこっそり耳打ちしても効果的かも!?
知的好奇心と性的興奮は、しばしば似ていると言われます。
※参考HP
テート美術館の至宝 ラファエル前派展―英国ヴィクトリア朝絵画の夢―(森アーツセンターギャラリー)
三菱一号館美術館
Photo by (except for the top image)
1 オフィーリア
2 人魚
3 ゴディヴァ夫人
4 リリスと蛇
5 ヒュラスとニンフ