リーガルリリーが10月10日から先行配信されたTVアニメタイアップシングルとなる2ndシングル『アルケミラ』を11月24日にリリースする。

本作は、TVアニメ『86―エイティシックス―』の第2クールEDテーマとなっており、初回生産限定盤には、くるりの『ばらの花』のカバーを含む3曲と、2021年7月にLIQUIDROOMにて開催されたワンマンライブをDVDに収録。
期間生産限定盤は「86―エイティシックス―」の描き下ろしイラストジャケットとなっており、DVDにはアニメ映像を用いたコラボムービーが収録されている。
『86―エイティシックス―』の物語に寄り添うように作られた『アルケミラ』の制作過程について、たかはしほのか(Vo.Gt.)、ゆきやま(Dr.)、海(Ba.)の3名に思いを語ってもらった。

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――アニメ『86―エイティシックス―』の第2クールEDテーマの依頼を受けてどんなお気持ちでしたか。
たかはし 中学生くらいの頃はアニメをよく観ていたのでオープニングやエンディングの曲を覚えることも多くて、アニメソングをよく聴いていた時期もありました。バンドとして歌いはじめた中学3年生くらいの頃から、何かしらアニメにも携われたらいいなと思っていたので、夢に一歩近づけた感じがしてとても嬉しいです。

ゆきやま 小・中学生のときって、自分の中に入ってくる音楽がアニメやドラマの主題歌だと思うので、そんな心に与える影響が大きいアニメの楽曲に携われることは嬉しかったですね。
ほのか(たかはし)もアニメの楽曲がひとつの夢だったと話していますが、「ついにやるのか」という気持ちでしたね。

海 ふたりも話していたように「アニメ楽曲もできたらいいね」って、3人で話していて、リーガルリリーとしてのひとつの夢だったので、率直にすごく嬉しかったです。作品に寄り添って楽曲を作ることをあまりやってこなかったので、その難しさはあったんですが、いい経験になったと思います。

――2ndシングル『アルケミラ』の制作エピソードや、タイトルに込められた意味などあれば教えてください。
たかはし コロナ禍になってから夜眠れない状況が続いて、そのときに子守唄みたいな歌があれば、自分のためにいいなって思ったのが動機で曲の発想ができました。
題名の『アルケミラ』(和名:羽衣草)は花の名前です。
花言葉に「献身的な愛」などがあり、英名では「レディースマントル」(葉の形が聖母マリアのマント)という聖母マリアの名前で呼ばれています。中世のヨーロッパでは不思議な力、治す効果があると言われて錬金術としても使われていました。羽衣に……、私の家の中では布団なんですけれど、そういう守られるものに、包まれて安心して眠りたいという思いを込めて作りました。

ゆきやま 私はドラムの話になるんですが、この曲が送られてきたときは、ギターの弾き語りですごく滑らかな曲だったんです。これをどういう曲にしたいんだろうって思いながらスタジオに行ったら、エレキギターでめちゃめちゃ弾き始めて……「そっちの方向でいいんだ」って思って(笑)。アニメサイドから爆撃とか、そういうヒントを貰っていたので、ドラムでは優しい側面を出しつつ、爆発力があるものができましたね。


海 私も送られてきた音源を聴いたときに、すごくゆっくり、ふんわりとした曲になるのかなって思っていたのですが、3人で音を合わせたときに、試行錯誤をしたわけではなく自然と現在の形になっていたので、やっぱり共通認識があったのかなと思いました。賛美歌というか、弔うような少し神聖さを加えたような曲になればいいなと思っていたので、「激しさと包容力」を表現に込められたらと思いながら作りました。

――リーガルリリーの皆さんは、もともとアニメはお好きですか。
たかはし 押切蓮介さん原作のアニメ『ハイスコアガール』が、すごく好きで、よく見ていました。言葉のチョイスとか、些細なセリフが好きですね。絵もすごく好きです。


ゆきやま そうだな……、冒険系のアニメが好きなので、小学生の頃は『NARUTO』とか『ドラゴンボール』とかのCDを買って聴いてました。

たかはし カラオケで歌ってたよね。

ゆきやま 歌ってた(笑)。

海 私は、いろいろなアニメを幅広くっていう感じなんですけれど、音楽系とか芸術系のスポ根みたいな『のだめカンタービレ』(たかはし:あぁ~、好き!)や『ピアノの森』とか『ブルーピリオド』とか、そういうガッツで頑張る系も好きですし。『86―エイティシックス―』とか『進撃の巨人』(ゆきやま:あ、『進撃の巨人』を忘れてた)とか、敵と戦ってるのに結局身内の怖さを思い知らされるような作品とか、国や政府が絡んでくるみたいな、そういった考察ができるようなアニメが好きなので、今回の『86―エイティシックス―』も毎週楽しく観ています。

たかはし、ゆきやま 私たちも好きです。


――収録曲『チェインスモーク』は、皆さんにとってどのような曲ですか?
たかはし コロナ禍で家の中にしかいられなかった気持ちを外に出すために歌にした曲なので、感情がそのまま口に出てしまったような曲です。サビに「だれにもあいたくない」って歌詞があるんですが、普段は、頭にポンと出てきた感じを言葉にする前に一度考えてから曲にするんですけれど、この曲は頭に出てきたものを、そのまま感情として吐き出そうと思って歌った曲です。

ゆきやま 最初に作ったときは意外とうまく作りきれなかったんですよ。それで『アルケミラ』のシングルに入れようと決めてから作り直すことになり、方向性として「怒りとか爆発感」を出していこうってなったら、急にまとまった曲なんです。だから鬱憤を晴らすっていうか、私も演奏しながら「だれにもあいたくない」って思いながら演奏していました。

たかはし 会いながら演奏してるのに(笑)。


ゆきやま 愚痴を言ってると気持ちがいいじゃないですか。そういう気持ちで演奏できる、すごく気持ちのいい曲だなって思っています。

海 半年以上経ってから作り直した曲なんですが、最初に聴いたときの印象とは全く違ってます。はじめは曲作りに苦労しすぎて、歌詞が何も入ってこなかったんですよ。

たかはし そうだ。構成とかを考えすぎて……。

海 落ち着いて、再度向き合ってみると、歌詞がすごく入ってくるようになったというか。歌詞をしっかり見ていくと、やりきれないような、自分にムカつきながら、他人にムカつきながら生きていく感じがして、でも、主人公はその気持ちを表に出せないから、自分の内に抱えていくのかなって思いました。この曲が『アルケミラ』と同じCDに入るっていうのが、すごくいいなって思って、選んだ甲斐があったと思います。

たかはし 『アルケミラ』のときに話した眠れない理由みたいなものが『チェインスモーク』だったりするかもしれないです。

ゆきやま 『アルケミラ』とセットで作ったから、ちゃんと完成した気もする。

たかはし そうだね。『アルケミラ』と同じようなバンドサウンドの作り方で『チェインスモーク』も流れでできたような気がします。スタジオでバンっと合わせて「格好いいね」っていう。バンドのあり方なんじゃないかなと思いました。

――『ばらの花』(くるりcover)をカバーすることになった経緯や理由があれば教えてください。アルケミラ・モリスがバラ科の花という理由は関係していますか?
たかはし そういう関係性は大切にしました。そのことに気づいてくれて嬉しいです。『くるり』を初めて知ったのが、テレビで「ばらの花」を特集している番組で、その番組で知った曲が、シングルに入れられたら素敵だなと思ったのもあります。

ゆきやま 今年はカバー曲にも取り組んでいたので、「じゃあ、今回もカバーをやろうか」ってなったときに、いくつかバンドの候補が出たんですよ。それで『くるり』だったら何をやろうかって話になったときに『ばらの花』の名前があがって、ほのかが一番好きな曲だから確かにいいなって思いました。他にも候補があったんですが、『アルケミラ』は花の名前だし、『ばらの花』もお花でいいんじゃないかって。

海 私も『ばらの花』は本当に好き過ぎて、自分たちで、どうカバーしようかと話をしたときに「自分の好きなところをちゃんと残す」ということをテーマの一番軸に置きました。カバーって何かやりたくなっちゃうんですよね。すごく装飾したくなっちゃうんですが、そういうことはせずに、真っ直ぐカバーをした曲なので、純粋にすごく好きな曲になりました。

――初回生産限定盤には、【”東京” - リーガルリリー「the World Tour」追加公演 &「海の日」3rd Anniversary-2021.7.5(mon) 恵比寿 LIQUIDROOM】のライブ映像が付いていますが、収録された8曲の見どころなど教えてください。

たかはし いつもライブでは波を大事にしています。波を意識しながら上手くつないで、この曲数でもライブを見せられたらいいなと思いながら、セットリストを組むように選びました。

ゆきやま この日のライブでは、VJの演出や、普段やらない曲、この尺じゃないとできない曲など、特別感のあるものを入れてパッケージングしようねって話していました。一番レア度が高いのは『魔女』なんで、それを入れようとか、演奏が格好良かったやつとか、VJのやつとか、そういう特別感のあるものが収録されています。

たかはし 『魔女』は17歳くらいのときに作った曲なので、思春期の頃の日記を読み返すみたいな感じの、すごく恥ずかしいところがあるんです。毎回ライブでやると、変な気持ちになってきてしまうので(笑)。

ゆきやま 私でさえ、その気持ちになるから(笑)。

たかはし そんな気持ちになるので、ライブでやったのも久しぶりでした。

海 『魔女』は、年に1回くらいしかやらないんですよ。すごく聴いてくれている人もいるので、そのイメージを壊さないかなっていう思いもあって、やるのが少し怖いっていうか。

たかはし その怖さもありますね。なので、すごく特別な曲ではあります。とても大切な曲です。

海 収録されるライブ映像についてですが、『the tokyo tower』や『東京』は、音楽だけでは表現しきれなかった部分が、VJの映像が加わることで、より理解度が深まってくれるのかなって思いました。例えば『the tokyo tower』は激しい曲ですが、VJでは青空を流したりしたんです。そういうのって、こちらから提示しないとあまり受け取ることができないかなと思うので、映像として残るのはすごくいいなって思います。

――期間生産限定盤には「86―エイティシックス―」Collaboration Movie のDVDが収録されますね。

海 動いた映像が自分たちの曲につくと、「アニメの曲やってるんだ」っていう感覚が大きくて、不思議な気持ちというか、その世界に入ってしまったような感じがしました。激しい演奏のところで戦闘シーンが入るなど、アニメと音がバッチリ合っていて、その解釈に嬉しくなるような映像になっています。

――ライブの予定がありましたら教えてください。
ゆきやま 12月10日は、ほのかのお誕生日なんですけれど、私たちの大好きな音楽家たちを呼んで、地元・立川ステージガーデンでスリーマンライブを行います。リーガルリリーが好きだったら、好きになるかもしれないっていう人たちを呼んでるので、ぜひ来てください。

――最後にファンの方にメッセージをお願いします。
たかはし 家でたくさんアニメを観れる時代でもあるので、みなさんが素敵なアニメライフを送れますように。

ゆきやま 『アルケミラ』が『86―エイティシックス―』のEDになったことによって、リーガルリリーの立ち位置みたいなものが垣間見えたような気がして、他に私たちみたいなバンドっていないんだなって実感したんですよね。だから『アルケミラ』以外の曲も、他だと出会えないなって思える曲がいっぱいあるので聴いてほしいと思います。

海 『アルケミラ』ってリーガルリリーの要素がたくさん詰め込めた曲で、激しい部分も、ちょっとへんてこな部分とか、あとは優しいけど壮大なところとか、そういうものがちゃんと詰め込めているので、この曲を好きになってくれてる人は、他の曲も絶対好きになってくれるんだろうなとか思います。ライブで「聴きたい」と思ってもらえるように、これからも頑張るので、よろしくお願いします。