昭和を代表するアニメ『ヤッターマン』の偉大なる女性ヴィランの若き日を描く『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』。頼れる仲間であるボヤッキー、トンズラーとの出会いは? そして、なぜ彼女はヤッターマンと対峙するのか? 女優、モデル、歌手、映画監督とマルチな才能で活躍中の主演・池田エライザに「ドロンジョの出発点」とどう向かい合ったのか、話をうかがった。
>>>『DORONJO/ドロンジョ』の場面カット、池田エライザ撮り下ろしカットを見る(写真44点)
――池田さんは、ドロンジョというキャラクターに対してどんなイメージを持たれていましたか。
池田 『ヤッターマン』本放送から45年も経つのに今も愛され続けているアイコニック(象徴的)な存在ですし、トンズラー、ボヤッキーとの3人組での愉快で憎み切れない関係は、いろんな作品の元祖になっているんじゃないかと思います。令和の時代に新たなドロンジョが生まれることで、そういう要素を改めて感じていただけるんじゃないでしょうか。
――ちなみに、原作となるテレビアニメ『ヤッターマン』はご存じでしたか?
池田 はい。子供の頃にケーブルテレビで観ていました。
――あの3人組が、主人公であるヤッターマンを越えて人気が出た理由はどういうところにあると思われますか。
池田 ドロンジョのセクシーな見た目が好きな人もいるだろうし、人それぞれだと思うんですが、私は「あきらめない」「くじけない」「物事を深刻にとらえ過ぎない」ところが気に入っています。最近は、マンガやアニメでも悪役が主人公のものが多いじゃないですか。悪役にもひとつの「正義」があることでその魅力が感じられるんだと思います。
――では、そのドロンジョ役が決まった時の率直な気持ちを教えていただけますでしょうか。
池田 (出演の)お話をいただいたのは2年前なのですが、脚本作業が進むにつれてドロンジョのキャラクターは徐々に更新されていきました。特にマンガやアニメっぽい要素がなくなって令和の時代にはびこる問題や観る人たちの心に寄り添う内容に変わって、どんどんかっこよくなっていくドロンジョ=七音を演じるのが楽しみになりました。
▲『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』より
――七音に対する演技のアプローチは、どのようなものでしたか。
池田 七音の過去があまりに辛いものなので、お芝居をする上で自分の憶測や想像を頼りにするのは不可能だな、と思いました。ただ、七音に対して同情することが一番してはいけないことだと理解したので、身体だけを彼女に預けて客観視することが重要だと思いました。
――原作のドロンジョと違い、セリフも少なく感情を表情ではなく目で表現しているところが印象的です。
池田 七音の人生を逆算して、演じるシーンに至るまでに彼女が何を与えられ、何を与えられなかったのかを考えました。正治と一緒にいる中での言動のインプットやアウトプット、どんなところに鋭敏だったり鈍感なのかを自分の中で分類しました。
――メイクを変えたり、少年っぽく見せるアプローチも、その一環ですか。
池田 七音は単純にお金がなかったり基本的に他人との交流はないので、「最初はボロボロの衣裳とメイクなしでいきたい」という話は出ました。
(C)タツノコプロ
――七音はボクサーという設定ですが、何かトレーニングをされましたか。
▲『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』より
池田 鏡の前でフォームを見ながらシャドウボクシングをやったり、基礎的なことをずっと練習していて、撮影中もボクシングの先生に「どうすればもっとよくなりますか」と訊いて取り組みました。
自分の映像を観ながらの練習で身体になじんでいくところがあって、やっとマシに見えてきたところで撮影が終わってしまったのが悔しいところでもあるんですけれど(笑)。
――相当過酷な現場だったそうですね。
池田 はい。最初の頃は限度を知らないので、七音のやっていることを全部やってやろうとして、身体を酷使していることに気づいたり……心身共に大変でした。
――それだけに、作品への手応えを感じられたのでは。
池田 実際、監督を始めスタッフの皆さんが力を合わせてヒリヒリするようなボクシングシーンを作ってくれたと思います。この迫力を早くお届けしたいな、というのが今の気持ちです。
――今回のドロンジョは義足のキャラクターでもありますよね。
▲『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』より
池田 現場に指導してくださる方がいてアドバイスを受けたんです。「(動かし方が)上手です」って言ってもらいました(笑)。かっこよく見せられるシーンもありましたけれど、付けるのは勿論、動くだけでもこんなに大変なことなのかって思いました。
――そのように七音のキャラクターを掘り下げた池田さんから、現場で何か意見を出されたこともあったのでは?
池田 聖川愛花と拳を交わす理由を単なる「恨み」でなく、もっと自分なりの感情が欲しい、と監督に伝えて、汲んで頂けました。そこに関しては、是非観て頂いて皆さんに理解してほしいと思います。
――池田さんは『騙し絵の牙』(2021)や『古見さんは、コミュ症です。
池田 そんなことないですよ、私は明るいです(笑)。顔つきでそういう印象があるんでしょうか……ただ幼少の頃に周りのみんなの真似をしすぎて嫌われたり、コミュニケーションで楽をしようといて逆に損した経験があるので、そういうことが演じる上での根底にあるかもしれませんね。
――では最後に、池田さんの好きなアニメを教えていただけますか。
池田 好きなアニメは『クジラの子らは砂上に歌う』(2022)や『シャドウバースF』(2020)とか。一番古い記憶にあるのは『勇者ライディーン』(1975)です。
――これまた、すごいタイトルが出てきましたね(笑)。
池田 子供の頃からCS放送で古いタイトルも普通に観ていたので。カートゥーンネットワーク、キッズステーション、アニマックス、ファミリー劇場をザッピングして観ています。今は『ジョジョの奇妙な冒険』にもハマっていて、金沢の荒木飛呂彦先生の原画展(『JOJO-冒険の波紋―』金沢21世紀美術館)も行きました!
池田イライザ 撮影/能美潤一郎 ヘアメイク/RYO スタイリスト/福田春美
(C)タツノコプロ
>>>『DORONJO/ドロンジョ』の場面カット、池田エライザ撮り下ろしカットを見る(写真44点)
――池田さんは、ドロンジョというキャラクターに対してどんなイメージを持たれていましたか。
池田 『ヤッターマン』本放送から45年も経つのに今も愛され続けているアイコニック(象徴的)な存在ですし、トンズラー、ボヤッキーとの3人組での愉快で憎み切れない関係は、いろんな作品の元祖になっているんじゃないかと思います。令和の時代に新たなドロンジョが生まれることで、そういう要素を改めて感じていただけるんじゃないでしょうか。
――ちなみに、原作となるテレビアニメ『ヤッターマン』はご存じでしたか?
池田 はい。子供の頃にケーブルテレビで観ていました。
――あの3人組が、主人公であるヤッターマンを越えて人気が出た理由はどういうところにあると思われますか。
池田 ドロンジョのセクシーな見た目が好きな人もいるだろうし、人それぞれだと思うんですが、私は「あきらめない」「くじけない」「物事を深刻にとらえ過ぎない」ところが気に入っています。最近は、マンガやアニメでも悪役が主人公のものが多いじゃないですか。悪役にもひとつの「正義」があることでその魅力が感じられるんだと思います。
――では、そのドロンジョ役が決まった時の率直な気持ちを教えていただけますでしょうか。
池田 (出演の)お話をいただいたのは2年前なのですが、脚本作業が進むにつれてドロンジョのキャラクターは徐々に更新されていきました。特にマンガやアニメっぽい要素がなくなって令和の時代にはびこる問題や観る人たちの心に寄り添う内容に変わって、どんどんかっこよくなっていくドロンジョ=七音を演じるのが楽しみになりました。
――七音に対する演技のアプローチは、どのようなものでしたか。
池田 七音の過去があまりに辛いものなので、お芝居をする上で自分の憶測や想像を頼りにするのは不可能だな、と思いました。ただ、七音に対して同情することが一番してはいけないことだと理解したので、身体だけを彼女に預けて客観視することが重要だと思いました。
――原作のドロンジョと違い、セリフも少なく感情を表情ではなく目で表現しているところが印象的です。
池田 七音の人生を逆算して、演じるシーンに至るまでに彼女が何を与えられ、何を与えられなかったのかを考えました。正治と一緒にいる中での言動のインプットやアウトプット、どんなところに鋭敏だったり鈍感なのかを自分の中で分類しました。
――メイクを変えたり、少年っぽく見せるアプローチも、その一環ですか。
池田 七音は単純にお金がなかったり基本的に他人との交流はないので、「最初はボロボロの衣裳とメイクなしでいきたい」という話は出ました。
(C)タツノコプロ
――七音はボクサーという設定ですが、何かトレーニングをされましたか。
池田 鏡の前でフォームを見ながらシャドウボクシングをやったり、基礎的なことをずっと練習していて、撮影中もボクシングの先生に「どうすればもっとよくなりますか」と訊いて取り組みました。
自分の映像を観ながらの練習で身体になじんでいくところがあって、やっとマシに見えてきたところで撮影が終わってしまったのが悔しいところでもあるんですけれど(笑)。
――相当過酷な現場だったそうですね。
池田 はい。最初の頃は限度を知らないので、七音のやっていることを全部やってやろうとして、身体を酷使していることに気づいたり……心身共に大変でした。
――それだけに、作品への手応えを感じられたのでは。
池田 実際、監督を始めスタッフの皆さんが力を合わせてヒリヒリするようなボクシングシーンを作ってくれたと思います。この迫力を早くお届けしたいな、というのが今の気持ちです。
――今回のドロンジョは義足のキャラクターでもありますよね。
アクションシーンは大変じゃなかったですか?
池田 現場に指導してくださる方がいてアドバイスを受けたんです。「(動かし方が)上手です」って言ってもらいました(笑)。かっこよく見せられるシーンもありましたけれど、付けるのは勿論、動くだけでもこんなに大変なことなのかって思いました。
――そのように七音のキャラクターを掘り下げた池田さんから、現場で何か意見を出されたこともあったのでは?
池田 聖川愛花と拳を交わす理由を単なる「恨み」でなく、もっと自分なりの感情が欲しい、と監督に伝えて、汲んで頂けました。そこに関しては、是非観て頂いて皆さんに理解してほしいと思います。
――池田さんは『騙し絵の牙』(2021)や『古見さんは、コミュ症です。
』(2021)のような、心に影を持った人物を演じることを得意としていますが、御自身にそういう要素があったりするんでしょうか?
池田 そんなことないですよ、私は明るいです(笑)。顔つきでそういう印象があるんでしょうか……ただ幼少の頃に周りのみんなの真似をしすぎて嫌われたり、コミュニケーションで楽をしようといて逆に損した経験があるので、そういうことが演じる上での根底にあるかもしれませんね。
――では最後に、池田さんの好きなアニメを教えていただけますか。
池田 好きなアニメは『クジラの子らは砂上に歌う』(2022)や『シャドウバースF』(2020)とか。一番古い記憶にあるのは『勇者ライディーン』(1975)です。
――これまた、すごいタイトルが出てきましたね(笑)。
池田 子供の頃からCS放送で古いタイトルも普通に観ていたので。カートゥーンネットワーク、キッズステーション、アニマックス、ファミリー劇場をザッピングして観ています。今は『ジョジョの奇妙な冒険』にもハマっていて、金沢の荒木飛呂彦先生の原画展(『JOJO-冒険の波紋―』金沢21世紀美術館)も行きました!
池田イライザ 撮影/能美潤一郎 ヘアメイク/RYO スタイリスト/福田春美
(C)タツノコプロ