ガンダムTVシリーズ7年ぶりの新作となる『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS 系全国28局ネットにて放送中。
水星からアスティカシア高等専門学園に編入して来た少女、スレッタ・マーキュリーと学園理事長の一人娘ミオリネ・レンブランの出会いから物語ははじまる。
この出会いは、どんな波乱を巻き起こしていくのか。
学園を舞台に描かれる新たなガンダムワールドを牽引するスレッタ役の市ノ瀬加那さん、ミオリネ役のLynnさんに、作品との出会いと意気込みについてお話をうかがった。

>>>スレッタ、ミオリネほか『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の魅力的なキャラを見る(写真19点)

――まず、出演が決まった時の感想は?

市ノ瀬 テープとスタジオという2つのオーディションで決まったのですが、正直テープオーディションの時から「誰に決まるのかな?」と他人事のように思っていまして……まさかこんなビッグタイトルの主人公を自分が演じることになるとは考えてもみなかったです (笑)。
全てのオーディションが終わった次の日、家で寝ている時にマネージャーさんから連絡が来まして「市ノ瀬さん、ガンダム決まりました!」と言われたんですが、寝ぼけながら聞いていたので「……これ、夢の話なのかな?」と。

Lynn (笑)

市ノ瀬 で、スケジュールの打ち合わせなどした後、もう一度寝直したんですよ。起きた時本当に夢じゃないかと心配したんですが、着信履歴も残っていて、そこで初めて実感が湧きました(笑)。
プレッシャーもありますが、ここは覚悟を決めて楽しんでやれたらなと思います。

Lynn 私は起きて(知らせを)聞きましたよ(笑)。「ガンダムの新作が放送」という情報を見た時、(キャストは)もう決まってるんだろうなと思っていたら、そこからオーディションの話が来たんですね。勿論出たいと思っていましたから、悔いのないよう自分の最大限の芝居をやったんですが、その時期は自分の中ではスランプ期だったものですから、少し心配で。そしたら私の誕生日に合格の連絡が届いて……「え、何で私だろう?」って(笑)。

市ノ瀬 他人事みたいに(笑)。


Lynn 後から嬉しさがこみあげてきたんですが、歴史のあるシリーズなのでこれから大変なこともあるだろうし、皆さんの期待に応えられるお仕事をしないとな、と気合が入りました。

――ある意味、誕生日プレゼントになったわけですね。

Lynn 本当に! 人生で一番素敵な誕生日になりました。

市ノ瀬 羨ましい!

――これまでの作品で抱いたガンダムシリーズの印象はどんなものになりますか。

市ノ瀬 キャラクターや主題歌、決め台詞まで誰もが知っている国民的なアニメシリーズですよね。何となく「男の子向けのアニメ」という印象が強かったのですが、よく観ると女性パイロットもモビルスーツに乗っているカッコいい場面もあるし、その一方で戦争の悲しさみたいなものもしっかり描かれていて。


『機動戦士ガンダム』だと、アムロが酒場でランバ・ラルと会うところがありますよね。お互い敵だとわかっていながら、そういう場所で巡り合ってしまうところは、いろいろ考えさせられますよね。もしも立場が違っていれば、仲良くすることもできたのでは……と思うと、とても辛い場面です。いろんな意味で、戦うことの意味を深く考えさせられる作品だと思います。

Lynn 私は学生時代、声優を目指して養成所へ通っていた頃に『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』『機動戦士ガンダム00』などをリアルタイムで観て、とてもハマっていたんですよ。キャラはもちろんモビルスーツも好きで、小さなフィギュアを集めたり主題歌のCDを買ったり、声優イベントにも足を運ぶようなオタク活動をしていました(笑)。


市ノ瀬 すごーい!

Lynn なので、そういう思い出が甦る作品でもありますし、声優になれたからには一度は出演したいシリーズとずっと考えていました。
歴史的な名作である『機動戦士ガンダム』を土台にしつつも、作品によってカラーを変えて展開されているところも面白いですし、実にリアルな人間ドラマが描かれていますし、いろんな意味で深い作品なのだな、と思っています。

(C)創通・サンライズ・MBS

――そういったこれまでのシリーズとはガラリと変わり、今回は学園が舞台ということになりますが、その辺りの印象はいかがですか。

市ノ瀬 今回はモビルスーツの戦いが「決闘」という形になっていて、戦闘シーンでも「そこまでシリアスな感じでなくていいです」というディレクションを戴くこともあるので緊迫度は、戦場での戦いほどシリアスではないかもしれません。

決闘の内容も、それぞれ賭けるものが違いますし、そのやり方・使い方も面白いです。御三家と呼ばれる企業が開発したモビルスーツは決闘でも強力など、学園を取り巻く背景が勝敗に絡んでくるところもあるのですが、スレッタちゃんはそういうことを一切知らずに切り込んでいくんですね。
その姿は、とても頼もしいと思います。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』市ノ瀬加那&Lynnが挑む新たな少女像

Lynn 今までのガンダムシリーズとは受ける印象がかなり違うと思います。学園の生徒たちがやることですし、国や命を懸けた戦争をしているわけではないですし。でも、人の争いってそういうところから大きくなっていくのでは、と今ふと思って……話していて何か、怖くなってきました(笑)。

市ノ瀬 学園からそういうものがどんどん広がっていくのかも。

Lynn そうそう。
その分、これまでのガンダムシリーズを知らない方でも入りやすい形にはなっていると思います。

――キャラクター設定を見た際の第一印象はいかがでしたか。また演じる中で、その印象は変わったでしょうか。

市ノ瀬 最初に設定を見たのはテープオーディションの時だったのですが、その時はちょっと陰のある、おとなしい子なのかなと思って、そういう演技をしていたんです。でも、台本を読み進める中でだんだん印象が変わっていきました。素朴で純粋で、ポツリポツリではありますけれど自分の意志をきちんと伝えるところもあるんですよね。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』市ノ瀬加那&Lynnが挑む新たな少女像

泣くシーンでは「ショッピングモールで泣く子供のようにお願いします」とか、「あ」と言う時にも「たどたどしく」みたいなディレクションもあって、自分とスタッフの方のスレッタ像を重ねていくことで、どんどん演じるのが面白くなっていきました。主人公だけどマスコット的な愛嬌も感じられるキャラクターだと思いますし、皆さんもストーリーを追うごとに好きになってもらえると思います。

Lynn ミオリネは、最初「クールな子なのかな」と思っていたんですよ。

市ノ瀬 うん、わかる。

Lynn お父さんも権力者なので高飛車な感じかと思ったら、実際は自分の感情にすごく素直な子で。冷静さを失って怒鳴ったりする場面も結構あって、思った以上に子供っぽいんだな、と印象が変わりましたね。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』市ノ瀬加那&Lynnが挑む新たな少女像

――そのギャップを楽しんでいる部分もありますか?

Lynn そうですね、今まで演じたことのないタイプのキャラクターですから。最初の頃は「こういう風にやってみて」というディレクションを受けながら新しい部分を探っていったんですが、だんだんミオリネのことが理解出来てきて、最近では自分なりの新しい演技プランを用意して、やってみたらそれでOKを貰えるようになりました。
普段のアニメなら下手をしたら視聴者に嫌われるような演技も、ミオリネや『水星の魔女』なら通るんですよ。

――それはどういう演技なんですか。

Lynn 洗練されていない、泥臭い感情を吐き出す表現ですね。そういう部分も、私自身楽しみながらアフレコに臨んでいます。

――では最後に、作品を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

市ノ瀬 今の時代はSNSが発達していて、人と人との直接的なやり取りが少なくなっていると思うんです。なので、人と話す距離感が掴めない、というのは私も含めて誰もが持つ悩みなんじゃないかと思います。
スレッタも、空回る時が何度もあったりするんですが、大泣きしたり、言いたいことを頑張って言う姿を見てもらえたら、一歩前に踏み出して「こんな風にふるまってもいいんだ」と元気づけてもらえると思います!

Lynn ガンダムシリーズは人間関係の複雑さやそこから引き起こされる争いを描いていると思っていまして、今回も子供たちなりの悩みや葛藤から、それぞれぶつかってしまうことになるんですね。そういうややこしさをどう解決すればいいのか、というヒントがちりばめられていると思います。
ぜひガンダムをまだ知らない若い世代の方に観ていただきたいですし、長年のファンの方々にも満足して頂ける内容にもなっていると思います。新しいチャレンジをしている『水星の魔女』をどうぞ楽しんでください!

(C)創通・サンライズ・MBS