『TSUBURAYA CONVENTION』(ツブコン)は、円谷プロ作品を愛するすべてのファンに贈る祭典。東京ドームシティと東京ドームホテル内で多くのゲストが出演する多彩なプログラムが行われた。
またプリズムホールでは2日間にわたりグッズの販売やキャラクターとの撮影会、トークショーも行われた。
ちょっと時間は経ってしまったが、初日の朝に行われたオープニングセレモニーでは今後展開していく新たな作品やプロジェクトの最新情報をゲストを迎え発表された。あらためて振り返りレポートをお届けする。

>>>ツブコンオープニングセレモニーの様子(写真55点)

◆空想の力◆
メインプレゼンターとして登壇したのは、円谷プロダクション 代表取締役会長 兼 CEOの塚越隆行。
「今年のツブコンは円谷プロ創立60周年記念開催となります。人間でいえば還暦、この節目の年に円谷プロの原点に立ち戻る、それを今回のツブコンのテーマとしました。
それは ”空想の力” です。『ウルトラQ』から始まる円谷プロの作品群は、特撮という映像技術もストーリーも、キャラクターデザインや美術も、演出も演技も、全てが作品に関わった人々の空想の力から生まれたものです。人類が空想を楽しむ限り、私たちは空想の力を信じて、作品をつくり続けたいと思います。」と今回のテーマへの想いを語った。

また『空想の力』のシンボルについて、「円谷英二監督は少年時代、家の近くのお寺の銀杏の木に登り、空を見上げて飛行機乗りになることを夢見ていたと言われています。空を飛ぶのはどんな気持ちなのだろう、どんな世界が見えるのだろう。まだ見ぬ土地、まだ知らぬ人々との出会い、様々な空想が広がったのではないかと思います。
私たちは英二監督をはじめとする先人の空想の力を大事にする遺伝子を大切に引き継いでいくことを、このシンボルに込めました。今後私たちがさまざまな形でこの活動を進めるときに、皆様の目に留まることと思います」と、新たなシンボルを掲げた決意も語った。

◆『ウルトラセブン』55周年プロジェクト◆
今年5月に公開したコンセプトムービー『ウルトラセブン IF STORY 「55年前の未来」』の完成版を初公開。このコンセプトムービーは、55年前の未来、つまり現在と未来をつなぐ物語を1967年放送当時にシリーズの一編として混載したかもしれないストーリーとしてイメージ、事の起こりを描いた作品。

4K映像で仕上げられた作品の上映後にステージに現れたのは、『ウルトラセブン』でモロボシ・ダンを演じ、今回のコンセプトムービーでは薩摩次郎として出演している森次晃嗣。

「デュワッ!! 今日は朝からこの後楽園が、当時の円谷プロのようにテンションが上がってますね。
皆さん早い時間から集まっていただいて、本当にありがとうございます。」と挨拶。
コンセプトムービーの感想を聞かれると
「撮影の時は寒くてね。『ウルトラセブン』では「零下140度の対決」なんて話もあったんですけど、年齢も経た今、厳しかったですね。映像に出てくるモロボシ・ダンが、若いころの自分か!? という感じでした」と撮影の裏話も語ってくれた。

そして55周年について振り返り、
「当時僕は24歳でした。モロボシ・ダンは宇宙人なんですよね。
宇宙人なんてわからないですよね。だからあまり深く考えず、選んでもらった森次晃嗣の魅力を1年間突っ走ればモロボシ・ダンになるのかなと。それが良かったと思います。」
55年、愛され続けている理由を聞かれると、
「それはやっぱりモロボシ・ダンを演じた森次晃嗣が良かったんじゃないかな」とのコメントに会場は大きくうなずきながら大拍手。
最後にメッセージ
「『ウルトラセブン』の55周年は、昨年の東京国際映画祭に始まり、いろいろなところに行って皆さんにお会いしましたけど、『なぜこんなに愛される作品になったんだろう?』と考えると、当時、青春を燃やして作っていたスタッフの皆さんの姿が脳裏に浮かびます。皆さんも喜んでいると思います。僕がM78星雲に帰っても、『ウルトラセブン』は生き続けていくと思います。
今日で終わりではなく、まだ続きますから。永遠のヒーローになったのかなと思います」と、これからも、永遠に続いてゆく『ウルトラセブン』への想いを語ってくれた。

◆『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』◆
『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』は、「いのちの物語」「ロマンの物語」「仲間の物語」「正義の物語」の4つの作品からなり、各作品に『ウルトラマン』シリーズのエピソードが観られる、『ウルトラマン』に改めて興味を持って楽しんでもらうための作品。この中で、「いのちの物語」が12月1日から円谷映画祭Part.2で上映されている。
「いのちの物語」は、不思議な映画館が舞台。劇場の支配人と映画館に来た謎の少女が『ウルトラマン』を鑑賞し、そこに描かれているメッセージについて語り合うというもの。


予告編の上映後、『ウルトラQ』と『ウルトラマン』ではナレーションを担当し、本作で支配人を演じている石坂浩二が登壇。
「なかなか大変な撮影でしたがやっと撮り終わりまして、予告編を見ると、まあまあかなと思います。機会がありましたらぜひご覧になってください」と挨拶。

あらためて出演した感想を聞くと、
「4Kというと、映像が細かく繊細に、きれいになるんだと思うでしょ、そればかりではないんです。そこに込められた、あの頃のスタッフの情熱も4Kになるんです」とコメント。
2石坂浅沼
令和になっても新作が作られるウルトラマンシリーズの魅力を聞かれると、
「『ウルトラQ』と『ウルトラマン』のナレーションをやらせていただきましたが、当時感じられた熱気が、今でもずっと円谷プロには伝えられている。それが観ている皆さんにも伝わっているのではないでしょうか。塚越会長のお話をうかがっていても、やっぱりお好きなんですね。これでこの先も大丈夫だろうと感じました」

最後に、『ウルトラマン』に感じる「空想」とは何かを聞かれ、
「この年になって『ウルトラマン』最初の頃の作品を観てみると、戦う中に込められているメッセージこそが空想なんですね。そこから世界の平和といったことにつながっていくのだと思います。そういうメッセージを、4Kから感じていただければと思います」と締めくくった。

(C)円谷プロ

◆劇場映画『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』◆
この日会場を訪れた方たちは、同時刻に放送された第19話を見逃していたため劇場版のニュースはこの会場で知ることとなった。劇場版『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』のキービジュアルが映し出されると大きな拍手が。
そして本作でメガホンを取った田口清隆監督と、主人公・ヒルマ ゲントを演じる蕨野友也が登壇。

劇場版について田口監督は、
「実は制作発表の時点ですでに撮り終えていたのですが、やっと発表できてうれしく思います」
蕨野は、
「皆さんが『ブレーザー』という作品を観ていただき、どれだけ我々の想いが伝わっているのか楽しみです。劇場に足を運んでいただけたらと思います」
本作のストーリーについて聞かれると、田口監督は
「まだテレビシリーズは続いていますが、本作は最終回後の話になります。最終回までに培ったゲントとブレーザー、SKaRDSKaRD(スカード)のみんなが、次の大きな難局に立ち向かう話になっています」とコメント。

見どころについて蕨野は
「成長したSKaRDSKaRD(スカード)ですね。最終回後のスカードがどうなったのか。サトコ(ゲントの奥さん)、ジュン(ゲントの息子)がどうなったのか。家族の絆が試されている作品だと思っています」

撮影について聞かれると、田口は
「ハードでしたね。久々に目を開けたまま眠りましたね(笑)。記憶がないです」
蕨野は
「テレビシリーズと劇場版を同時進行で撮影していたこともあるので、最終回に向かう気持ちと、劇場版での気持ちとの切り替えが難しかったです」と撮影現場での裏話を語ってくれた。

そして蕨野からメッセージ
「4月21日に情報が公開され、7月8日に放送が始まって今日で第19話。正直な感想を言うと、少し寂しい気持ちがあります。皆さんにコメントや笑顔の応援をいただいて我々も頑張ってきましたが、皆さんを感動させられる、心の高ぶりを伝えられる最終回になっているのは間違いありません。みんなで頑張ってきた『ウルトラマンブレーザー』を最後までご覧ください。ありがとうございました」

最後に劇場版の特報映像が上映されると会場もヒートアップ! 田口監督は
「今世界中で怪獣映画が作られていますが、久々に怪獣映画こういうのでもいいじゃないか! というものを本気で作ってみました。ご期待ください」と熱い思いを語った。

(C)ウルトラマンブレーザー特別編製作委員会

◆『かいじゅうのすみか』プロジェクト◆
2019年に、東京ドームシティ Gallery AaMoにて体感エンターテイメントのイベントを開催したり、『空想科学絵本 かいじゅうのすみか』が出版されたほか、たくさんのグッズも販売された、かいじゅうのすみか。今回のプロジェクトは、作家の小森陽一との共同開発となる、「かいじゅう」を主人公とした、かいじゅうと人間、あらゆる生命たちの壮大な物語。塚越会長と小森は、友人を通じて知り合い、会ってすぐに意気投合したそう。

登壇した小森は、なぜこの企画に興味を持ったのかを聞かれ、
「僕は怪獣に囚われて、半世紀過ぎています。ずっと怪獣のことを考えて生きてきました。こういう職業に就いたきっかけは、テレビで放送している『ウルトラマン』をカセットテープに録音して、ノートにセリフを書き起こしていました。それ以来ずっと怪獣のことを考えてきた人間が、『かいじゅうのすみかってどこだ?』と問われたら、燃えますよね」とコメント。

2024年には小説が出版されることが発表され、話は「かいじゅうのすみか」の設定へ。
双子の地球αとβが存在。
人間の住む地球はβ、なぜαではないのか!?
βには隕石の衝突で恐竜は全滅したが、αには隕石は衝突していない、ということは!? 
エピソード9まで話は作れる!? 
などなど、魅力的な世界観をのぞかせてくれた。
続報に期待したい。

(C)円谷プロ

◆アニメーション企画『DARKNESS HEELS』始動!◆
雰囲気は変わり、,スクリーンに映し出されたのはイーヴィルティガ。大音量の音楽に合わせてダンスが始まる。そしてイーヴィルティガとシンクロしたダンスで登場したのは、EXILE / FANTASTICSの世界。世界に『DARKNESS HEELS』のプロデュースをオファーしたのは
「キャラクターたちが持つ野性味あふれる個性や価値観、それをバトルでもアクションでもない、ダンスで表現できないかということになり、一番に名前が挙がったのが世界さんでした。世界さんご自身が卓越した表現者であると同時に、アニメーションや特撮、『ウルトラマン』についてとても造詣が深いということでお声掛けさせていただきました」と塚越会長。

このオファーについて世界は、
「めちゃくちゃプレッシャーがありました。ちいさいころから『ウルトラマン』が大好きで、うれしい気持ちもありました。『DARKNESS HEELS』は個人的に好きなキャラクターばかりなので、大丈夫なのか? と不安もありましたが、すごく楽しかったです」

ご自身が受けた影響を聞かれると、
「『DARKNESS HEELS』のキャラクターはみんなラスボス感があります。特に今日ダンスを披露したイーヴィルティガは、ミステリアスなかっこよさがあって、そういう部分に影響を受けたところはあります。何やってるかわからないけどかっこいいとか、そういう部分はダンスにも大事ではないかと、勉強させていただくことはありますね」

そして『DARKNESS HEELS』のアニメーション化が発表! 世界は
「僕は(ゲームで)声優もやらせていただいているので、アニメでもぜひお願いします!」との申し出に、
「もちろんです!」との塚越会長。この場で声優としての参加を決めた!

最後に世界からメッセージ。
「ウルトラマンシリーズが大好きで、今の活動に活きていることはたくさんあります。特にウルトラマンネクサスがお気に入りなんですけど(会場から拍手)、僕もシリーズに携わらせていただいた一人として、皆さんに楽しんでいただけるようなコンテンツを作っていけるよう頑張りたいと思います。皆さんと一緒に楽しんでいけたらと思います。よろしくお願いします」

Netflix映画『ULTRAMAN: RISING』◆
最後のプログラムは『ULTRAMAN: RISING』。本作の監督・シャノン・ティンドルと共同監督のジョン・アオシマが来日し、登壇した。
「非常にワクワクしておりますし、感情が高ぶっております。これだけ多くのウルトラマンファンの皆さんと一緒に場を共有できることを光栄に思います」とシャノン監督。

「4年前にもシャノン監督と一緒にツブコンに参加したのですが、その時はお客さんとして皆さんと一緒に見ておりました。なので今日はとてもワクワクしております」とジョン共同監督。

本作の生まれた経緯について、塚越会長は、
「シャノンと初めて会ったのは、2018年10月でした。その時に一番印象に残ったのは、シャノンが僕に『自分はラフカディオ・ハーンになりたい』と。ラフカディオ・ハーンは小泉八雲として日本の怪談を世界に伝えた人です。シャノンは日本の文化、日本人、そして『ウルトラマン』が大好きなんです。この素晴らしい文化を、そして『ウルトラマン』を世界中に紹介したいんだと言った時の熱意が素晴らしかったんです。それがスタートラインでした」
シャノン監督は、
「今回の作品のもとになったアイデア、インスピレーションは20年前から育んできたものです。当時実際に制作できるとは思っていませんでしたが、そのあとNetflixや円谷プロの皆さんとお会いし、4年ほど前から、家族の絆をモチーフにして物語が作れないかと考えていました。しかも『ウルトラマン』の物語として。その想いを円谷プロの皆さんに投げかけ、快いお返事をいただき、ともに歩むことになりました」
ジョン共同監督は『ウルトラマン』を世界に伝えるにあたり、大事にしていることを聞かれ、
「子どものころ日本に住んでいたこともあり、当時から『ウルトラマン』への愛情を持っていました。そののち、シャノンやたくさんのスタッフに出会い、そのみんなも『ウルトラマン』に憧れを抱く、同じ仲間でした。その憧れが原動力となりました」

そしてスペシャルゲスト、本作の主人公であるサトウ・ケンの日本版声優を務めた山田裕貴が登場。
「子どものころ、スーパーヒーローとプロ野球選手になることが夢で、この作品が2つの夢をかなえてくれたことがすごくうれしいです。僕が俳優としてデビューしたのは、ある海賊がヒーローの作品でしたが、今はある怪獣の映画で戦っています。そしてまさか自分がウルトラマンになれるということが、ものすごくうれしいです。僕の父はプロ野球選手なんです。プロ野球選手の息子と言われて、いやな思いをすることもあったんですね。自分は自分なのにと思うこともあり。この『ULTRAMAN: RISING』では、父と子の話であったり、ウルトラマンを通して父と子の愛情や人間・怪獣・ウルトラマンの間の愛情だったり。サトウ・ケンを通して、いろんなものがシンクロするのではないかと思っています。自分が父からもらった愛情や家族からもらった愛情とか、自分の声に愛をこめて演じたいと思います。日本で、めっちゃ広めたいっす! よろしくお願いします」と自分の人生を照らし合わせて『ULTRAMAN: RISING』への想いを語った。

シャノン監督は山田にたいして
「山田さんから父親と息子の関係性をうかがった時から、それがあるからこそ、この作品に更なる深みが増すのではないかと思いました。さらにサトウ・ケンをイケメンにしようと作ったのですが、山田さんを拝見して、それ以上のイケメンだったので、隣にいてドキドキしています」といろいろと大絶賛。
これに対し山田は
「僕の日本での作品も観てくださったそうで、愛情を感じますし、すごくにこやかにお話してくださるので、本当に心のきれいな易しい方なんだろうな、こういう愛の深い方だからこういう作品ができるのかなと。ヒーローが出る作品なんですが、ものすごくハートフルなんですね。いろいろな方が持つ愛に触れる作品になると思います」
ジョン共同監督は、
「山田さんの作品を拝見しております。お芝居をしている山田さんを見て、非常にきめ細やかな、水面下にある感情を伝えることがとても上手い方だと感じております」

最後に登壇者からメッセージ
「ウルトラマンの歴史と、世界に羽ばたくということを背負って、監督やスタッフ、『ULTRAMAN: RISING』にかかわったすべての方の気持ちを背負って、日本の方にしっかりと、愛の物語と、声にマジの気持ちを込めて届けたいと思います。楽しみにしていてください」
と山田。ジョン共同監督は、
「この作品は愛の結晶のようなものだと思います。ここにいたるまで長い旅路でしたが、ようやく皆様にお披露目できて、うれしく思います」
シャノン監督は
「塚越会長をはじめ円谷プロの皆さんが我々にこの作品を託してくれたことに感謝しております。くわえてファンの皆様にもとても感謝しております。日本のファンの方々は、『ウルトラマン』という作品とともに生まれ育った方が多いと思います。作品の中のすべてのフレームに、すべてのコマに愛を注いでおります。皆様に期待にそえるように作ってきたと思います。お楽しみいただければと思います」

新たな作品、新たなプロジェクト、レジェンドな作品の再構築と、60周年を迎えた円谷プロはさらに前に進んでいる。2024年以降も、我々の好奇心を満たしてくれるだろう。ファンへの愛をこめて本気で制作された作品を、我々も本気で楽しんでいこう。

(C)円谷プロ