――『島根啓明結社篇』を完走した、今のお気持ちをお聞かせください。
福山 今はとにかく『島根啓明結社篇』を映像化できたことが、なにより嬉しいです。7年という期間が空いてなお、新シリーズを迎えられるというのはなかなかありません。制作サイドはもちろんのこと、原作サイドやファンの皆さんも含め、全員がずっと高い熱量を持ち続けていたからこそ、実現できたと思っています。
――久しぶりに雪男を演じるにあたり、苦戦されたことは?
福山 苦戦とまではいきませんが……長い期間が空くと、普通はその役のチューニングをすることになります。雪男の声質そのものの調整はなくとも、進みすぎた時間を巻き戻す作業が必要でした。
――『島根啓明結社篇』を経て、奥村兄弟に変化はありましたか?
福山 二人の関係性に、何か変わったことはありません。奥村兄弟は、まだまだ凪いでいる状態だと思っているので。雪男もそこまで追い詰められていないし、燐はまだ事の重大さが分かっていないので。
――そんなアフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
福山 みんな等しく『京都不浄王篇』から7年間の経験を積んでいるはずなんですが、「よくぞこの7年の時間を削ぎ落としましたね」と思うことが多くありました。特に今回のキーマンになる神木出雲役の喜多村(英梨)さんと志摩廉造役の遊佐(浩二)さんは、寸分違わずにあの頃の神木と志摩の芝居を出してくれて、僕自身すごく助けられました。喜多村さんと遊佐さんの声を聞くことで、僕自身のチューニングをさせてもらいました(笑)。
――『島根啓明結社篇』で、印象に残ったシーンを教えてください。
福山 稲生へいわタウンで会った、エリクサーを混ぜられた人たちです。
――では、福山さん自身気になったキャラクターは?
福山 ライトニング(ルーイン・ライト)は、最後まで食えないやつでしたね。しかもその役を関智一さんが演じられていることもあり、大物感が半端なかったなぁ。
――とてもハマり役だったと思います。
福山 雪男視点でのルシフェルについては、今のところ特別な感情はありません。ただルシフェルに会ってから雪男の心の平穏が無くなっていきました。次のシリーズで雪男とどう関わるのか、楽しみです。
――読者に向けてメッセージをお願いします。
福山 僕らがずっと観たかったあのシーンがついに映像化されますね! 次のエピソードができるという幸せな状況ですので、これまで以上に熱を持って作っていきますし、我々もそれに応えられるように演じていきます。難しい台詞やシーンが用意されていることが分かっている上で、どうアプローチしていくべきかを『島根啓明結社篇』で理解できたので、不安はありません。
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<プロフィール>
ふくやま じゅん/11月26日生まれ/大阪府出身/BLACK SHIP所属/主な出演作は『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』(クラフト・ロレンス)、『アストロノオト』(ショーイン・ジンジャー)ほか