『グリム組曲』は世界的に有名な『グリム童話』に着想を得て、『カードキャプターさくら』『xxxHOLiC』などで知られる創作集団・CLAMPをキャラクター原案に迎え、『SPY×FAMILY』『進撃の巨人(Season1~3)』のWIT STUDIOが制作を手掛けるオムニバスアニメシリーズ。「シンデレラ」「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」といった誰もが知る有名な童話全6編をダークなアレンジを加えて大胆にリブート。ホラーとサスペンスの要素を織り込んだ新感覚の物語が新たに開幕する。
第1話と第2話の先行上映を見終えた後、メインキャラクターのひとりでグリム兄弟のヤコブ役を演じた鈴木達央、エグゼクティブプロデューサーの櫻井大樹、WIT STUDIOの代表であり本作のプロデューサーを務めた和田丈嗣、アニメーションプロデューサーの二宮源太がステージに登壇。和やかな雰囲気でトークイベントはスタートした。
オムニバス形式の物語になっている本作のプロローグ部分に、弟や妹と一緒に全話数登場するというキャラクター・ヤコブを演じた鈴木は、自身の演技について「本編とのギャップを出すために、優しさが声にのるように」と心がけながら演じていったという。
そんな鈴木が演じるヤコブだが、実はプロローグだけではなく物語本編にも登場している。最初は兼ね役(二役以上)だと思って演じていたが、本編は妹のシャルロッテの妄想世界なのでヤコブや弟のヴィルヘルムも出てくると説明をうけ、「芝居としてのちょっとした妙を交えながら演じるようにした」とのこと。そんな鈴木をはじめとする声優陣はまさに豪華絢爛。幅広い年代のキャスト陣が芝居でバトルを繰り広げながら人間の本質を突いていく作品は昨今あまりないということもあり、「声も一緒に新しいものにトライしている感じは、なかなかない現場だった」と意欲的な作品に参加出来たことを喜んでいるようだった。
音楽もWIT STUDIO初の試みとなるフィルムスコアリングで制作されており、テーマ曲を作曲した宮川彬良が生演奏での楽曲収録を直接指揮。
またキャラクター原案を担当したCLAMPには、櫻井エグゼクティブプロデューサーがわざわざ京都を訪れて協力を要請したとのこと。そんなCLAMPのキャラクター原案に「負けないように」ということを念頭に制作側としては作業を進めていったそうでうで、各話毎に絵のタッチが全然違う作画の統一感についてはキャラクターデザインの大杉尚広が調整。
このように本作は「かなり丁寧に贅沢に作らせていただいた」と和田プロデューサー。横手美智子による脚本も2年がかりだったそうで、全6話で制作期間はなんと4年にも及んだという。実際制作現場は苦難の連続だったようで、和田プロデューサーは「1クールのシリーズとは言わないまでも、一個一個作った感じがしていた」、二宮プロデューサーも「しかも全部違うテイストだったので毎話数ゼロからみたいな感じでやってたので、そこら辺含めて大変でした」と制作現場で奮闘を回想してくれた。
そんな大変な苦労を重ねながらも「演出や描き方、会話術に何かしらをやってやろうという気概が感じられた」と新しいチャレンジに挑んだ制作陣を鈴木は賞賛。
最後に鈴木が「ちょっと聞いただけでも面白い作り方をしている、自分たちの知っているものとは違うアニメーションが出来たと思います。統一感はあるのに、監督ごとにちゃんと違う色が出るという、なんとも人間らしいフィルムが出来ているんじゃないかと。これを見たら今のWIT STUDIOが分かるかもしれない作品になっていますので、ぜひそんな摩訶不思議なグリム童話の世界を楽しんでいただけたらと思います」と観客に語りかけ、配信直前の期待感を高めてくれたトークイベントは終了となった。
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