「バイクにも興味があるんです」の一言から、スポーツカー好きのファッションモデル・新 唯(あらた ゆい、以下唯さん)さんが、普通自動二輪の免許を取得して公道デビューを目指す当企画。いよいよ今回から教習が始まります。
※取材・撮影は卒業後に実施するなど、本人および在校生の教習に影響がないように実施しています。また写真ではマスクを外していますが、ヘルメットを着用していない時はマスクを着用するなど、新型コロナウイルス感染拡大防止に留意して撮影しました。
バイク専用コースがある
レインボーモータースクール和光



唯さんが教習を受けるのは、Hondaグループの教習所「レインボーモータースクール和光」。Hondaはバイクやクルマを作るのみならず、メーカーとしての社会的責任をはたすという目的から、安全運転教育にも力を入れてきました。レインボーモータースクール和光は、そんなHondaの長年にわたる安全運転教育を受けることができる教習所になります。今回「せっかく教習を受けるのだから、実績のある教習所で受けてもらいたい」という編集部の想いから、唯さんの家からは遠いものの、レインボーモータースクール和光のお世話になることに。


レインボーモータースクール和光が他の教習所とかなり様相が異なるのも、今回教習をお願いする動機となりました。まず二輪教習用のコースが設けられていますので、教習中に起きがちなクルマ渋滞がないばかりか、自動車との接触事故が起きません。また教習中、指導員が自分の前や後について走りながら指導されるのではなく、要所ごとに指導員がチェックしますので、より細かい指導を受けることができます。
教習内容はほかの教習所とは大きく変わりません。ですからこの連載は、これから普通自動二輪の免許を取得する方の参考になるかと思います。
ライディングウェアやプロテクターを装着する
初めての教習を迎えた唯さん。唯さんが普通自動車免許(MT)を取得したのは、高校を卒業してすぐのこと。自宅近くの教習所に通ったそうですが、その教習所は合宿免許も行なっており、なかなか予約が取ることが難しかったのだそう。結果、免許取得まで5ヵ月かかったそうです。

教習を受けることは既にご両親に連携済みだそうで、「お母さんが数年前に大型二輪の免許を取得したんですけれど、その時はマンツーマンで指導されたって言っていたんですよ。でもココは違うんですよね。どうなんだろう」と期待半分不安半分。ちなみに新家は「よくお父さんとお母さんはツーリングに行っていました」というバイク一家だそうで、しかもご両親とも大型自動二輪免許取得済み! これは免許を取得したら家族全員でツーリングを……と言いたいところですが、バイクはすでに手元にないとのこと。残念です。


挨拶代わり笑顔で「ちゃんとヘルメットを買いましたよ」と長袖、長ズボンに、ライディングシューズ姿で登校しました。



教習前には用意されているプロテクターを装着し、それから指定のタバード(ゼッケン)を上から着ます。タバードは初回が黄色、1段階が赤、2段階が青と色分けされています。まずは黄色のタバードを手に取り準備完了の唯さん。準備ができた唯さんに話を聞くと「オーディション前ほどではないのですが、緊張しますね」と言葉少なく目はうつろ。初めてのプロテクターにも「なんかロボットになったみたい」との感想です。
長い付き合いになる教習車
Honda「CB400 SuperFour」


初回の教習は2時間連続で、バイクの操作説明から始まります。教習車はHondaのCB400 SUPER FOURの教習車仕様で、車体重量約200kgと、400ccとしては重量のあるバイクです。フロントとリアには、ギアの位置を知らせる表示ランプのほか、転倒してもエンジンやマフラー等にキズがつかないようエンジンガードやリアバンパーが装着されています。色はグリントウェーブブルーメタリックというカラーリングです。


まずはメーターの見方から。左側に指針式の速度計、右側に回転計があり、その下にはウインカーのランプのほか、ハイビーム表示、そしてニュートラルポジションのランプが並びます。ちなみに市販されているCB400 SUPER FOURには、速度計と回転系の間にギアポジションのインジケーターがあるのですが、この教習車にはありません。


教習車といっても、操作方法は市販車と変わりありません。ハンドルバーの右手側で、前輪ブレーキとアクセルをコントロール、左手側でクラッチを操作します。レバー操作は2本指ではなく、4本の指でしっかり行なうように、との指導を受けました。


バイクは手だけでなく、足でも操作をします。右足側はリアブレーキ、左側は変速ペダルで、つま先で上にあげるとシフトアップ、踏むとシフトダウンします。シフトは1⇔N⇔2⇔3⇔4……と、1速と2速の間にニュートラルを挟むギアパターンで、これをリターン式といいます。

まずはセンタースタンドを立てた状態で、エンジンのかけ方から教えてもらいます。キーを回してハンドルバー右手のスタータースイッチを押してエンジンが始動。ヴォンというイイ音が響き渡ります。続いてシフト操作の練習。アクセルを戻して、クラッチレバーを握り、左足で操作し、クラッチレバーを離して、アクセルを少し捻る。これを繰り返します。この時、回転系を見ずにエンジン音で回転数を合わせていきます。
初めてバイクを自分で操作できて、ちょっと楽しそうな唯さん。ガチャガチャとつま先でギアを操作したり、アクセルを意図的に捻ってみたり。

こうしてギア操作とアクセル操作に慣れたところで、今度は乗降の練習です。一回バイクから降り、センタースタンドを外します。バイクの左側に立って、ハンドルでバイクを押すとセンタースタンドが外れるのですが……。

「バタン!」と大きな音を立てて、バイクが転倒! 体の細い唯さんに、200kgの車体は重かったようです。となると始まるのが「引き起こし」。バイク教習最初の関門です。

「体をバイクに近づけて、ハンドルとリアバンパーを持って体全体を使って起こしましょう」というのですが、箸より重たい物を持ったことがない(という)唯さんには厳しいもの。数回トライして、ようやく成功。引き起こしができたらスタンドを立てて、ハンドルを左へ。


せっかく立てたバイクですが、今度は右側に倒すようにと指導員から指示が。

さて「最近は最初から大型自動二輪の免許が取れるのに、なんで普通自動二輪の免許を取るの?」という疑問が沸かれた方がいるかと思います。免許を持っていない方が、いきなり大型自動二輪免許にチャレンジできるは教習所によって対応しているところ、いないところがあります。多くの教習所では対応されていらっしゃらないようで、対応しているのは規模の大きな教習所ではないでしょうか。それは教習内容が指導員にとって大変であると推測します。

レインボーモータースクール和光の場合、いきなり大型自動二輪免許に挑戦できますが、その教習料金は、学科教習を必要とする「免許なし・原付・小型」で28万1820円、普通車免許を所得している方で、19万8110円と高額です。料金表をよく見ると普通二輪+大型二輪の教習を加えた金額に比べると少しだけ安価に思えるのですが、普通二輪を取得後に申し込みをすると卒業生割引を受けられますので、ほぼ同じ金額になります。コスト的なメリットはほぼないのです。

さらに、レインボーモータースクール和光の場合、申し込み時に大型バイクを引き起こしと手押しができることを条件としています。これがいきなりできるかというと、男性でもできない場合が多く、特に初めてバイクに触れる女性の場合、ほぼ不可能なのだとか。

続いてバイクを押してコースへ。200kgあるバイクを押して歩かないといけません。コースに出たら、今度はバイクに乗車するのですが、唯さんの体力は限界を迎えてしまったようで、またしてもバイクは転倒、引き起こし再びです。
コース上でエンストを体験
慣れない操作に四苦八苦

それではヘルメットをかぶってバイクに乗車します。ですがその前に、あご紐をしっかり締めているか、指導員が確認します。指1本分の余裕があるのがベストとのこと。ヘルメットをしたらバイクに乗車。バイクに乗るには乗車の手順があります。これもきちんと習います。






コースではエンスト体験から始まりました。クラッチレバーを握ったまま1速に入れ、ブレーキをかけた状態でクラッチを離すとガクンとエンスト。MT車に乗っている唯さんにとって、ここの操作は問題ナシですが、思いのほか大きなショックに驚かれたようです。
エンストを理解したところで、次は半クラッチで発進の練習。左手でクラッチレバーがつながるポイントを探りながら2mほど前進。進んだらクラッチレバーを握って停止し、また半クラッチで2mほど進むを繰り返します。こうして外回りを一周したら、内回りに。手押ししてUターンをし、待機所へ向かいます。

ここから今度は内回り。ですが、縁石の内側に前輪を乗せてしまい、またしても転倒。


バイクの感覚に慣れず、なかなかうまくいかない唯さん。引き起こして1周して1時限目は終了。なのですが、またしてもバイクが転倒。どうやら足が届かないようです。初めてバイクに触れた唯さんは、相当体力を使ったようで息も絶え絶え。「とにかくヘルメットの中が暑くて暑くて……」と、ミネラルウォーターを一気飲み!
2時限目はバイクの乗車方法を学ぶ
10分間の休憩を終えて2時限目がスタート。最初はバイクの乗車方法についての練習です。まずハンドルをしっかり握って、フロントブレーキを握ったままスタンドを払って乗車。教習生の中には男女問わず転倒させてしまう人もいましたが、唯さんは大丈夫。

発進状態になったところで、まずは1速でコースを一周して停止。続いてアクセルを少し回して2速15km/hを目標に外周走行を繰り返します。レインボーモータースクール和光では、コーナーは2速15km/hで走行しなければならないとのこと。ですので、この速度感を養っていきます。何度も発進、巡航、停止を繰り返し、最後はストレートで3速に入れ30km/hで走行し2時限目は終了しました。
こうして初めてのバイク教習を終えた唯さん。「2回目は倒しませんでしたよ!」とドヤ顔です。「それにしてもバイクがこんなに重たいものだとは思いませんでした」と、相当疲れた表情を見せます。「本当に腕がプルプルしていて筋トレした後みたいになっています。腕が喜んでいる」と筋肉を相当使ったようです。「あと、ヘルメットの中が暑いうえに、エンジンからの熱が凄い。とにかく乗っていて暑い」と言っては、またもやミネラルウォーターを一気飲み。
バイクそのものに関しては「とにかく怖くて、アクセルはほとんど回せませんでした。指導員の方が“もっと回して!”とおっしゃるんですけれど、無理ですよ」と、バイクに対して楽しいよりも恐怖を抱いたそうです。その一方で「だけど、これが自由に乗れるようになったら、きっと楽しいんだろうなぁと思いますけれど、今は乗れる自信がまったくないです」と、バイクに対して少し好印象を抱いている雰囲気です。

【次回予告】三時限目突入! ハンコがもらえないと進めない
「とりあえず運動不足にバイクはいいかもですね。バイクダイエットです」「とにかくバイクが押せるよう腕を鍛えてきます!」と言い残し、教習所を後にしました。はたして免許を取得することができるのでしょうか?
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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

栃木県出身10月5日生まれ。2020年に小林唯叶としてモデルデビュー。2020年シーズンのSUPER GT「マッハ車検GAL」をはじめ、SUPER FORMULA、スーパー耐久シリーズのレースクイーンとして活躍。2021年4月の芸能事務所プラチナム・プロダクションへの移籍に伴い新 唯に改名。現在ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技の勉強中。