バイク教習の準備を整えた新 唯さん

 「バイクにも興味があるんです」の一言から、スポーツカー好きのファッションモデル・新 唯(あらた ゆい、以下唯さん)さんが、普通自動二輪の免許を取得して公道デビューを目指す当企画。いよいよ今回から教習が始まります。

初めてのバイク、はたして動かすことはできるのでしょうか? 今回は初めての教習内容をレポートします。


※取材・撮影は卒業後に実施するなど、本人および在校生の教習に影響がないように実施しています。また写真ではマスクを外していますが、ヘルメットを着用していない時はマスクを着用するなど、新型コロナウイルス感染拡大防止に留意して撮影しました。


バイク専用コースがある
レインボーモータースクール和光

バイク免許取得に現役モデルが挑む!  バイクが起こせずその重量に撃沈
唯さんが教習を受けるレインボーモータースクール和光
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入校時の唯さん(4月中旬撮影)。この時はまだ髪が長かった
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レインボーモータースクール和光の場合、二輪教習と四輪教習は建物が異なる。こちらが唯さんが通う二輪教習の建物

 唯さんが教習を受けるのは、Hondaグループの教習所「レインボーモータースクール和光」。Hondaはバイクやクルマを作るのみならず、メーカーとしての社会的責任をはたすという目的から、安全運転教育にも力を入れてきました。レインボーモータースクール和光は、そんなHondaの長年にわたる安全運転教育を受けることができる教習所になります。今回「せっかく教習を受けるのだから、実績のある教習所で受けてもらいたい」という編集部の想いから、唯さんの家からは遠いものの、レインボーモータースクール和光のお世話になることに。


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レインボーモータースクール和光では二輪専用コースが用意されており、四輪教習車と一緒に走ることはない
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教習中の様子。指導員と一緒に走ることはない

 レインボーモータースクール和光が他の教習所とかなり様相が異なるのも、今回教習をお願いする動機となりました。まず二輪教習用のコースが設けられていますので、教習中に起きがちなクルマ渋滞がないばかりか、自動車との接触事故が起きません。また教習中、指導員が自分の前や後について走りながら指導されるのではなく、要所ごとに指導員がチェックしますので、より細かい指導を受けることができます。


 教習内容はほかの教習所とは大きく変わりません。ですからこの連載は、これから普通自動二輪の免許を取得する方の参考になるかと思います。


ライディングウェアやプロテクターを装着する

 初めての教習を迎えた唯さん。唯さんが普通自動車免許(MT)を取得したのは、高校を卒業してすぐのこと。自宅近くの教習所に通ったそうですが、その教習所は合宿免許も行なっており、なかなか予約が取ることが難しかったのだそう。結果、免許取得まで5ヵ月かかったそうです。


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唯さん

 教習を受けることは既にご両親に連携済みだそうで、「お母さんが数年前に大型二輪の免許を取得したんですけれど、その時はマンツーマンで指導されたって言っていたんですよ。でもココは違うんですよね。どうなんだろう」と期待半分不安半分。ちなみに新家は「よくお父さんとお母さんはツーリングに行っていました」というバイク一家だそうで、しかもご両親とも大型自動二輪免許取得済み! これは免許を取得したら家族全員でツーリングを……と言いたいところですが、バイクはすでに手元にないとのこと。残念です。


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ライディングウェアを着用して登校。既にライダーっぽいです!
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教習を受けるには、ヘルメットを自分で用意しなければならない

 挨拶代わり笑顔で「ちゃんとヘルメットを買いましたよ」と長袖、長ズボンに、ライディングシューズ姿で登校しました。

レインボーモータースクール和光では以前、教習用のヘルメットを貸し出していたそうですが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からヘルメット貸し出しサービスを中断。教習を受けるには、自前でヘルメットのほかグローブ、そして指定のシューズを用意しなければ教習を受けることができません。


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ライディングウェアの上から胸部、ひじ、ひざのプロテクターを装着
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レインボーモータースクール和光では、教習内容によってゼッケンの色と番号が分かれている
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タバードを選ぶ唯さん。レインボーモータースクール和光の場合、初回教習(2時間連続)では、黄色のタバードを着用する

 教習前には用意されているプロテクターを装着し、それから指定のタバード(ゼッケン)を上から着ます。タバードは初回が黄色、1段階が赤、2段階が青と色分けされています。まずは黄色のタバードを手に取り準備完了の唯さん。準備ができた唯さんに話を聞くと「オーディション前ほどではないのですが、緊張しますね」と言葉少なく目はうつろ。初めてのプロテクターにも「なんかロボットになったみたい」との感想です。


長い付き合いになる教習車
Honda「CB400 SuperFour」

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教習車であり、これから唯さんの愛馬となるHonda CB400 SUPER FOUR
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指導員から車両の操作説明を受ける唯さん

 初回の教習は2時間連続で、バイクの操作説明から始まります。教習車はHondaのCB400 SUPER FOURの教習車仕様で、車体重量約200kgと、400ccとしては重量のあるバイクです。フロントとリアには、ギアの位置を知らせる表示ランプのほか、転倒してもエンジンやマフラー等にキズがつかないようエンジンガードやリアバンパーが装着されています。色はグリントウェーブブルーメタリックというカラーリングです。


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教習車のハンドル周り
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市販のCB400 SUPER FOURのメーター周り。
この教習車では中央のディスプレーとメーターの加飾がない。またキーの近くには、ニュートラルおよびライトのランプが設けられている

 まずはメーターの見方から。左側に指針式の速度計、右側に回転計があり、その下にはウインカーのランプのほか、ハイビーム表示、そしてニュートラルポジションのランプが並びます。ちなみに市販されているCB400 SUPER FOURには、速度計と回転系の間にギアポジションのインジケーターがあるのですが、この教習車にはありません。


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右手ハンドルまわり。スロットルグリップと前輪ブレーキレバー、エンジンストップスイッチ(赤いスイッチ)、スタータースイッチ等が用意されている
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ハンドル左手側。クラッチレバーとライトスイッチ、ウインカー、ホーンボタンを配する

 教習車といっても、操作方法は市販車と変わりありません。ハンドルバーの右手側で、前輪ブレーキとアクセルをコントロール、左手側でクラッチを操作します。レバー操作は2本指ではなく、4本の指でしっかり行なうように、との指導を受けました。


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右足側にはリアブレーキのペダルが設けられている
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左足側のシフトペダル

 バイクは手だけでなく、足でも操作をします。右足側はリアブレーキ、左側は変速ペダルで、つま先で上にあげるとシフトアップ、踏むとシフトダウンします。シフトは1⇔N⇔2⇔3⇔4……と、1速と2速の間にニュートラルを挟むギアパターンで、これをリターン式といいます。

スタンドはサイドスタンドのほか、センタースタンドも装備されています(教習車の場合)。バイクを停車する際は、サイドスタンドを立てて、ハンドルを左側に向けます。ちなみにセンタースタンドはメンテナンス等をするときに便利なものです。


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センタースタンドを立てた状態でシフトとスロットルの練習

 まずはセンタースタンドを立てた状態で、エンジンのかけ方から教えてもらいます。キーを回してハンドルバー右手のスタータースイッチを押してエンジンが始動。ヴォンというイイ音が響き渡ります。続いてシフト操作の練習。アクセルを戻して、クラッチレバーを握り、左足で操作し、クラッチレバーを離して、アクセルを少し捻る。これを繰り返します。この時、回転系を見ずにエンジン音で回転数を合わせていきます。


 初めてバイクを自分で操作できて、ちょっと楽しそうな唯さん。ガチャガチャとつま先でギアを操作したり、アクセルを意図的に捻ってみたり。

こうしてギア操作に慣れたところで、指導員から「ニュートラルにして下さい」という指示が。このニュートラルポジションに入れるのが結構難しいようで、何度か挑戦し、ようやくできた模様。


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バイクを前に押してセンタースタンドを外そうとする唯さん

 こうしてギア操作とアクセル操作に慣れたところで、今度は乗降の練習です。一回バイクから降り、センタースタンドを外します。バイクの左側に立って、ハンドルでバイクを押すとセンタースタンドが外れるのですが……。


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唯さんの方向にバイクが転倒!

 「バタン!」と大きな音を立てて、バイクが転倒! 体の細い唯さんに、200kgの車体は重かったようです。となると始まるのが「引き起こし」。バイク教習最初の関門です。


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バイクを引き起こそうとする唯さん

 「体をバイクに近づけて、ハンドルとリアバンパーを持って体全体を使って起こしましょう」というのですが、箸より重たい物を持ったことがない(という)唯さんには厳しいもの。数回トライして、ようやく成功。引き起こしができたらスタンドを立てて、ハンドルを左へ。


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右側にバイクが倒れた時は、まずスタンドを出す
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バイクを引き起こそうとする唯さん

 せっかく立てたバイクですが、今度は右側に倒すようにと指導員から指示が。

右に倒れた場合は、最初にスタンドを立ててから行ないます。コツをつかんだらしく、先ほどよりは早くバイクを起こすことができました。


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大型自動二輪の教習車

 さて「最近は最初から大型自動二輪の免許が取れるのに、なんで普通自動二輪の免許を取るの?」という疑問が沸かれた方がいるかと思います。免許を持っていない方が、いきなり大型自動二輪免許にチャレンジできるは教習所によって対応しているところ、いないところがあります。多くの教習所では対応されていらっしゃらないようで、対応しているのは規模の大きな教習所ではないでしょうか。それは教習内容が指導員にとって大変であると推測します。


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レインボーモータースクール和光の教習料金表

 レインボーモータースクール和光の場合、いきなり大型自動二輪免許に挑戦できますが、その教習料金は、学科教習を必要とする「免許なし・原付・小型」で28万1820円、普通車免許を所得している方で、19万8110円と高額です。料金表をよく見ると普通二輪+大型二輪の教習を加えた金額に比べると少しだけ安価に思えるのですが、普通二輪を取得後に申し込みをすると卒業生割引を受けられますので、ほぼ同じ金額になります。コスト的なメリットはほぼないのです。


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初めての人にとって大型バイクの引き起こしは大変!

 さらに、レインボーモータースクール和光の場合、申し込み時に大型バイクを引き起こしと手押しができることを条件としています。これがいきなりできるかというと、男性でもできない場合が多く、特に初めてバイクに触れる女性の場合、ほぼ不可能なのだとか。


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バイクを押そうとする唯さん

 続いてバイクを押してコースへ。200kgあるバイクを押して歩かないといけません。コースに出たら、今度はバイクに乗車するのですが、唯さんの体力は限界を迎えてしまったようで、またしてもバイクは転倒、引き起こし再びです。


コース上でエンストを体験
慣れない操作に四苦八苦

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ヘルメットを装着する唯さん。あご紐はしっかり締めましょう

 それではヘルメットをかぶってバイクに乗車します。ですがその前に、あご紐をしっかり締めているか、指導員が確認します。指1本分の余裕があるのがベストとのこと。ヘルメットをしたらバイクに乗車。バイクに乗るには乗車の手順があります。これもきちんと習います。


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スタンドを払う
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後方を確認してから乗車。この時、右足は地面に付かず、ブレーキペダルを踏むこと
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ミラーを調整
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エンジンをかけて、クラッチレバーを握ったままギアを1速に
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ウインカーを点灯させる
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後方を確認して発進

 コースではエンスト体験から始まりました。クラッチレバーを握ったまま1速に入れ、ブレーキをかけた状態でクラッチを離すとガクンとエンスト。MT車に乗っている唯さんにとって、ここの操作は問題ナシですが、思いのほか大きなショックに驚かれたようです。


 エンストを理解したところで、次は半クラッチで発進の練習。左手でクラッチレバーがつながるポイントを探りながら2mほど前進。進んだらクラッチレバーを握って停止し、また半クラッチで2mほど進むを繰り返します。こうして外回りを一周したら、内回りに。手押ししてUターンをし、待機所へ向かいます。


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日よけの下まで手押しする唯さん。もはや体力の限界の様相

 ここから今度は内回り。ですが、縁石の内側に前輪を乗せてしまい、またしても転倒。


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転倒してショボンな唯さん
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こんな小さな段差でもバランスが崩れれば転倒してしまうのです

 バイクの感覚に慣れず、なかなかうまくいかない唯さん。引き起こして1周して1時限目は終了。なのですが、またしてもバイクが転倒。どうやら足が届かないようです。初めてバイクに触れた唯さんは、相当体力を使ったようで息も絶え絶え。「とにかくヘルメットの中が暑くて暑くて……」と、ミネラルウォーターを一気飲み!


2時限目はバイクの乗車方法を学ぶ

 10分間の休憩を終えて2時限目がスタート。最初はバイクの乗車方法についての練習です。まずハンドルをしっかり握って、フロントブレーキを握ったままスタンドを払って乗車。教習生の中には男女問わず転倒させてしまう人もいましたが、唯さんは大丈夫。


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バイクを走行させる唯さん

 発進状態になったところで、まずは1速でコースを一周して停止。続いてアクセルを少し回して2速15km/hを目標に外周走行を繰り返します。レインボーモータースクール和光では、コーナーは2速15km/hで走行しなければならないとのこと。ですので、この速度感を養っていきます。何度も発進、巡航、停止を繰り返し、最後はストレートで3速に入れ30km/hで走行し2時限目は終了しました。


 こうして初めてのバイク教習を終えた唯さん。「2回目は倒しませんでしたよ!」とドヤ顔です。「それにしてもバイクがこんなに重たいものだとは思いませんでした」と、相当疲れた表情を見せます。「本当に腕がプルプルしていて筋トレした後みたいになっています。腕が喜んでいる」と筋肉を相当使ったようです。「あと、ヘルメットの中が暑いうえに、エンジンからの熱が凄い。とにかく乗っていて暑い」と言っては、またもやミネラルウォーターを一気飲み。


 バイクそのものに関しては「とにかく怖くて、アクセルはほとんど回せませんでした。指導員の方が“もっと回して!”とおっしゃるんですけれど、無理ですよ」と、バイクに対して楽しいよりも恐怖を抱いたそうです。その一方で「だけど、これが自由に乗れるようになったら、きっと楽しいんだろうなぁと思いますけれど、今は乗れる自信がまったくないです」と、バイクに対して少し好印象を抱いている雰囲気です。


バイク免許取得に現役モデルが挑む!  バイクが起こせずその重量に撃沈
バイクを運転する唯さん

【次回予告】三時限目突入! ハンコがもらえないと進めない

 「とりあえず運動不足にバイクはいいかもですね。バイクダイエットです」「とにかくバイクが押せるよう腕を鍛えてきます!」と言い残し、教習所を後にしました。はたして免許を取得することができるのでしょうか?


■関連サイト


モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

バイク免許取得に現役モデルが挑む!  バイクが起こせずその重量に撃沈

 栃木県出身10月5日生まれ。2020年に小林唯叶としてモデルデビュー。2020年シーズンのSUPER GT「マッハ車検GAL」をはじめ、SUPER FORMULA、スーパー耐久シリーズのレースクイーンとして活躍。2021年4月の芸能事務所プラチナム・プロダクションへの移籍に伴い新 唯に改名。現在ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技の勉強中。


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