2021~2022 日本カー・オブ・ザ・イヤーで「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したBMW 4シリーズ。そのホットモデルがM4クーペです。
BMWの4シリーズってどんなクルマ?

4シリーズが産声をあげたのは2013年のこと。3シリーズの2ドアクーペとして登場しました。そして2020年に2代目へとチェンジ。その時、BMWのアイコンでもあるキドニーグリルを際立たせたデザインとなりました。BMWによると「328やBMW 3.0 CSiなどの伝説的なブランドクラシックを参考にしている」とのことですが、見慣れない形ゆえに賛否両論。このデザインはM4では、さらに大胆というか、精鋭化というか、強調されたデザインに。写真で見ると「え? これは……」と思うのですが、現車をみるとカッコよく見えるから不思議。さらに見慣れてくると「コレいいじゃないか!」になるのです。これは唯さんもそう感じた様で、何が言いたいのかというと、写真だけで判断するのは食わず嫌いですよ、ということ。





大きく張り出したリアフェンダー、CFPR製ルーフ、4本出しマフラーにリアディフューザーなど周囲を威圧するM4。
500馬力のFRという刺激的なスペック


M4は主に3グレード設定。エンジンはすべて3リットルの直6ターボで、もっともベーシックなモデル(1298万円)は480PS/6250rpmの最高出力と550N・m/2650-6130rpmの最大トルクを発生。チューン度合いを高めたM4コンペティション(1348万円)と、各種運転支援機能を省略し、ふんだんにカーボンパーツをおごって約25kgの軽量化をはたした「M4コンペティション トラックパッケージ」(1460万円)は、どちらも510PS/6250rpmと650N・m/2750-5500rpmを発生します。ミッションはスタンダード仕様がMTで、コンペティションはMステップトロニックという名のトルクコンバーター搭載8速ATです。xDriveという四輪駆動システムを搭載したモデルも用意されているのですが、今回試乗するのは後輪駆動モデル。つまり500馬力オーバーのFR車という、なかなかにシビれる1台。
しかもトラックモードでエンジンやサスペンション、ステアリング、ブレーキ、トランスミッションといった部分が個別設定でき、車両制御システムを細かくコントロールできるなど、M4コンペティションという名からわかるとおり、サーキット走行を主眼においた1台です。Mという冠の段階で身構えるべきなのですが、500馬力オーバーのFRという仕様は「お前、ドリ車か?」という考えが頭をよぎったり。


そうしたサーキット走行で楽しめるよう、ラゲッジはシートを倒せばフロント275/35ZR19、リア285/30ZR20という4本分のタイヤと工具が積載できそうな大きさ。ヘルメットとスーツは無理っぽいので、それらは助手席かなと。

ちなみに履いているタイヤはミシュランのパイロットスポーツ4S。さらにオプションのカーボンセラミックブレーキ(100万円超!)を装着していました。カーボンディスクブレーキのフィーリングは、いわゆる鋳鉄ローターとは異なり、街乗りでラフなブレーキングをするとカックンになりがち。またキュっという音や、ドリルドタイプゆえのシャーという音が楽しかったりします。
乗り降りはしにくいが車内は広々快適


BMW M4の乗車定員は4名。よって後席は2座です。2ドアクーペゆえ乗降性はソコソコですが、入ってしまえば広々快適。この手のクルマにありがちな「後席あるけれど座れない」ということはありません。「これイイじゃないですか。しかもオシャレな感じだし」と唯さんはニコニコ。

センターにはエアコンアウトレットのほかUSB Type-Cレセプタクルを用意。






運転席はコクピット感の高いレイアウト。カーボン素材があちらこちらにあったりします。「でも、国産車のような、いかにもスポーツグレードって感じは薄いんですね」と唯さん。いやいや、よく見るとパドルはカーボン製ですし、ステアリングには走行モード切替用のM1とM2という赤いスイッチがあったりしますから。「ということは、ときどきサーキットに遊びに行く人が、普段も使えるオトナのスポーツクーペなんですね」。そのとおりでございます。


それではASCII.jp的に重要なUSB端子をチェック。まずはセンターにType-Aを1個。さらにワイヤレス充電にも対応しています。ですが横置きはいただけません。というのもスマホは縦に持つものですから。
500馬力を手の内にできる操作性

イグニッションを入れると、図太い音が室内に轟きます。「おぉ! いい感じじゃないですか!」と唯さん。マフラーに開閉弁が搭載されているらしく、スポーツモードや専用ボタンを押すと、さらに音圧がアップしたりします。

アクセルをちょっと踏んだだけで、500馬力車の片鱗が垣間見えます。「背中から押される感覚がすごい!」とよろこぶ唯さん。「これイイじゃないですか」というわけで、一気に加速。価格帯的にライバルとなりそうなクルマというと、NISSAN GT-Rになるかと思いますが、あそこまで強烈ではなくても、近いスゴ味は十分。FRで500馬力越えはコントロールできるのか? という心配は、電子制御のサポートのおかげで不要。その介入量は自分好みに設定できますが、あくまでも自己責任で……。

「ハンドルが太いですね。ステアフィールも重ためです。

足はM440iと比べると随分と硬めなのですが「全然気にならないですよ。とても乗り心地がいいです」という唯さん。(この娘さん、やっぱり普通じゃない)と内心思うのですが、確かに硬いといえば硬いのですが、サーキット走行を前提としたようなクルマのガチガチ感ではありませんから、よほど荒れた道でない限り快適。
BMWらしい地に根を下ろしたような接地感でありながら、M440iにあった重厚感は薄らぎ軽快さがある。なるほど、この足は一般の方がスポーティーな気分を味わうには理想的なのかもしれません。

ここで唯さんはSPORTモードをポチっと。より俊敏となったアクセルレスポンス、高まる排気音、いっそう引き締まった足、さらにクイックになったステアリングレスポンスに「やっぱりこっちですよね!」と大よろこび。一方で「一般道はもちろんですがワインディングでも、このクルマの本領を知ることはないのかなぁ」とも。というのも、ちょっとアクセルを踏むだけで鋭い加速が楽しめるものの、あっという間に制限速度に到達してしまうから。
【まとめ】ライバルたちにはない存在感が魅力

価格的なライバルは何になるのでしょう。まず考えられるのはBMWアルピナのB3でしょう。最高出力はM4に譲りますが、最大トルクはB3が上回ります。また、乗り心地や室内の雰囲気ではB3に軍配をあげざるをえません。ですが、それはもともと住む世界が違うのかなとも。唯さんはM4の方が好みのようですが、不肖はB3の方が好ましいと思った次第です。

ならば値段的にもボディーサイズ的にも似て、また4座ということでNISSAN GT-Rはどうでしょうか? 速さということに目を向けるなら、恐らくNISSAN GT-Rの方が誰が乗っても速いでしょう。実用面や内装に目を向けるとM4の方に軍配。では「運転していて楽しいか?」というと、これはちょっと話が変わってきそう。

不肖も車両貸し出しの合間にドライブしましたが、首都高C1内回りを走った限り、M4の方が「駆けぬけるスリル」は味わえる、とだけは申し上げておきます。実用面などを考えると、BMW M4はなかなかイイ選択肢なのかなと思ったり。価格が高いですけれど。

「見慣れてくると、このフロントグリルはいいかもですね。ルームミラーからでも一発でBMWだとわかりますし(笑)」という唯さん。そうなんです。写真で見るとギョッとしますが、現車はカッコイイですよ。「でもこの色は……白だとカッコイイと思います」ということで、最後に以前別の場所で撮影した白のM4の写真とともに、本稿を締めたいと思います。

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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

栃木県出身10月5日生まれ。2020年に小林唯叶としてモデルデビュー。2020年シーズンのSUPER GT「マッハ車検GAL」をはじめ、SUPER FORMULA、スーパー耐久シリーズのレースクイーンとして活躍。2021年4月の芸能事務所プラチナム・プロダクションへの移籍に伴い新唯に改名。現在ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技の勉強中。