ターマック最長の過酷なラリー「MONTRE 2022」

 ASCII.jp読者のみなさん、JAF全日本ラリー選手権 第5戦「MONTRE 2022」も無事完走してきました! ウェルパインモータースポーツのコドライバー、梅本まどかです!


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こんにちは! 梅本まどかです!

 6月10~12日に群馬県富岡市で開催された2022年 JAF全日本ラリー選手権 第5戦「MONTRE 2022」(モントレー)。モントレーといえば、過酷・天候が荒れるイメージです。全日本ラリーに参戦し始めた頃「群馬県で開催されるモントレーはよく雨が降るし、大変だよ」と言われていました。

実際に昨年参戦した時は、初めて約20kmのSSを体験し、本番はもちろんレッキが大変だった印象でした。


 また昨年のLeg1では、当時JN6クラスで走行順が後ろだったため、前のクラスのクラッシュによりコースを走れず、Leg2のたったSS2本のみの勝負となり不思議な感覚でした。


  • SS1/4「Nostalgic Dojo」(7.54km)
  • SS2/4「South Pasture」(12.90km)
  • SS3/6「Ghost Tunnel」(19.65km)
  • SS7/9「Zebra」(0.76km)
  • SS8/10「Grandma.Kimura」(21.92km)

今年は以上の5つのコースを各2回ずつ走るので、合計10本のSS総距離は125kmを超える全日本ラリーのターマック最長イベントとなります。


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結果から言うと、無事に完走できました

 そのうち、SS3/6、SS8/10が昨年も使用したロングコース。760mのSS7/9はサービス会場である群馬サファリパーク内のギャラリーコースです。


 これだけ長いラリーは初めてだし、時間ごとに雨と曇りとが入れ替わる天気予報もあって、ラリー前からソワソワする要素が満載です!


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今回のウェルパインモータースポーツは2台体制

 今回のウェルパインモータースポーツは2台体制の参戦で、村田選手と私がGRヤリスRCでJN1クラス、ウェルパインモータースポーツのクラブ員である戸塚選手と古川選手がGRヤリスRSでJN6クラスでした。2台体制ということはマシンも2台、レッキカーも2台。

モントレーは本番用ラリーカーでのレッキは禁止されていて、カラーリングされていないレッキ用の車両が必要なのです。


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ウェルパインモータースポーツのクラブ員、戸塚選手(左)と古川選手は「GRヤリスRS」でJN6クラスに参戦しました
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 車両移動日である木曜日のスタッフの数がギリギリだったため、ウェルパインモータースポーツの群馬ファクトリーからは私もレッキ車を運転して現地入り♪ みんなで列になって移動するのは、ラリーに行くぞ! って感じでとても楽しかったです。


 ちなみに村田選手と私が今回使用するレッキ車は、松井監督の愛車メルセデス・ベンツ「GLB200d 4MATIC」。2リッターディーゼルターボの4WDです。ちょっと大きいですが、レッキをするにはとても快適な車内空間で前も見やすく、村田選手は「よく曲がるしええクルマやなぁ。」と感心してました。特に「これ、ターマックラリーですか!?」と思うほど路面がボコボコだったSS2/4は、パンクしたり破損するレッキ車も多く、自分たちはSUVで大正解だったなーと思いました。


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村田選手「よく曲がるしええクルマやなぁ」、松井監督「キズ付いてなくてよかった……」

 今回のコースは細かく「ガレ」(ガレ場)という言葉を入れたり、ブレーキポイントの場所も記したり、不安な所は何度も動画を見直してノートを作りました。荒れた道が多かったため、レッキ後にクルマが汚れて監督は泣いていましたが、そのおかげでレッキは完璧でした。しかし、レッキは金曜日の早朝から夕方までかかり、ホテルに戻ってからノートチェックにも時間がかかります。長いSSが2つあるので思っていたより集中力を持続させなければいけないし、レッキ時は霧も出ていて前が見づらく、体力的にも精神的にも大変でした。


 長いSSが1番辛いかなと予想していたのですが、実際にラリーがスタートして走ってみると、読むことが多く集中力が必要だからか、SS2の路面が最も荒れている場所を半分過ぎたくらいから車内温度や体温が上がってしまい、ずっと手足が痺れてしまいました。本番車には冷房がなく、密室空間で暑さとの戦いになるのですが、個人的にはここが最も辛かったところです。


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 監督からは「熱中症に気をつけて、水分多めに摂るように」と言われていたのですが、ラリー中はトイレに行くことが難しいため、水分摂取を控えてしまったのです。実はラリー2週間前に行なわれたSUPER GT 鈴鹿戦を観戦に行って熱中症になってしまい、身体が温まるといつもより暑さに耐えることができず、手足が痺れたりする症状がありました。それがこの時にも起こり、こんなにSS中に辛さを感じたのは正直初めてでした。ちなみに、もう今は治って元気いっぱいですのでご心配なく。


 また、村田選手と組んで初めてホイールを破損してしまいました。ホイールのダメージはSS3のスタート直後の右コーナーで左フロントが岩にぶつかってしまったときのものです。

そのあとすぐ気持ちを切り替えて順調にコースを走りきれたので、ホイールがあんな状態になっているとは思いませんでした。あのダメージで済んだのは、WORKさんのホイールがこういったことも想定されたラリー用設計だったことが大きいと思います。タイヤも当たり方が少しズレていたら、パンクしていた可能性がありました。


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ホイールが割れていますがタイヤもパンクせずに無事に戻ってこられました

 ホントに運が良かったなぁと感じた場面でした。軽傷とはいえ、意外とクラッシュの瞬間って冷静になれるんだと学べてよかったです。


有力選手がリタイヤする中
無事に完走でクルマも無傷!

 リタイアも多くサバイバルラリーで、誰かが突っ込んでしまった形跡のあるガードレールが視界に入ったときには、ブレーキポイントを記したペースノートはとても有効であることも実感しました。ほかにも「ロングSSで大部分がドライ路面だけど一部濡れている」という場合には、1本目の走行でその情報をノートに拾い、2本目でそこを反映してリーディング……ということも、しっかり達成できました。

過酷なラリーだからこそ、ペースノートの大切さや、自分自身もさまざまなテクニックを習得できて成長していることを確認できたのはうれしい収穫でした。


 そんなわけでとても大変な事が多かったのですが、もちろん楽しかったところもたくさんありました。1番は、久しぶりにお客さんの前でギャラリーステージを走れたこと。沢山の方が見て下さっていたり、実況をしていただいている中走れるのはやはりうれしいです! 村田選手も気合が入っていて、なんとSS7は総合4番、SS9は総合5番と、多くの有名選手よりも速いタイムで走れたのです。私たちのGRヤリスは本当に速くなりました! 結果、JN1クラス9位で無事完走。


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ギャラリーステージのスタートです
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元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン選手以上のタイムを出して大満足の村田選手

 今回は関東の有観客のラリーということもあって、リエゾン区間でもお客さんが楽しんでいる姿が見られました。

いくつか道の駅を通りすぎたのですが、そのどの駅にもたくさんのお客さんがいて、手や旗を振ってもらったり、声援もいただきました。また道の駅だけでなく信号待ちの交差点、畑の中など……、ホントにたくさんの方々が応援してくださっていてとてもうれしくなりました! さすがラリーの聖地、群馬県だなぁと感じた瞬間でした。


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道の駅での様子です

 このようにリエゾンもにぎやかでしたが、今回はサービスパークもいつもより盛り上がった雰囲気でした。2台体制ということもあり、チームのメカニックさんやスタッフさんが増えて、いつもよりにぎやか。今回から、荏崎ろあちゃんというレースクイーンさんが、早水チーフメカに弟子入りし(?)、ラリーメカニックとして参加してくれたのです(これは別の記事で掲載されます)。


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SUPER GTやスーパー耐久でレースクイーンをしている荏崎ろあちゃんが、全日本ラリーではメカニック!

 もちろんチームのレースクイーンさんとして、桐嶋しずくちゃんがウェルモちゃん衣装やくす子ちゃん衣装で場を華やかにしてくれるのもウェルパインモータースポーツのいいところ。さらに今回は東京から近いということもあってスポンサーさんも応援に来てくれました。頑張っていくつもSSを走って帰ってきたサービスパークに、出迎えてくれる人が多いと、それだけでホームに帰ったような安堵感があります。


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桐嶋しずくちゃんのウェルモちゃん衣装
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こちらは高崎くす子ちゃんの衣装です

 そしてラリーといえば、ご飯も重要! 2台目エントリーの戸塚選手と古川選手の地元ということで、美味しいオムライス屋さんを教えてもらい、金曜日にはチームみんなで食べにいきました。オシャレで凄く美味しかったです♪


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海鮮クリームのオムライス♪

 土曜日は疲れていたしペースノートチェックもあり、みんなでご飯には行けなかったので、いつものラリーと比べるとチームみんなで過ごす時間は少なかったのですが、そんなチームのおかげで2台とも無事完走でき楽しくラリーができました。この環境に感謝です。


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 このモントレーをもって、ウェルパインモータースポーツの今年の全日本ラリー参戦は終わりになります。そして次はいよいよラリージャパン。すでにチームではラリージャパンに向けてどういう動きにするかの検討が始まっています。このモントレーで学べたことを活かして、コドライバーとしてもっと成長し、目標であるラリージャパン完走を目指して頑張っていきます!


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 引き続き応援よろしくお願いします☆


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今年こそはラリージャパン開催を願って

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筆者紹介───梅本まどか


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1992年7月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。中京大中京チアリーディング部に所属しいろいろなスポーツを応援、中部大会では優勝経験も。6年間にわたるSKE48でのアイドル時代を経て、現在は地元名古屋を拠点にタレントとしてマルチに活動中。


 名古屋の魅力をPRする名古屋観光文化交流特命大使として、様々な名古屋の魅力を発信しつつ、ラリーにコドライバーとして参戦しながらWRC日本開催をPRしている。モータースポーツ関連のメディアや、地元イベントMC・テレビなど幅広い分野で活躍。愛車はトヨタ86。バイクはCB400SFに乗り、趣味はスポーツ観戦とドライブやツーリングなどの旅をすること。