マツダは今後数年、ラージサイズSUVのラインアップを拡充させていく方針で、その第1弾として昨年「CX-60」が産声をあげました。一足早く試乗する機会を得た筆者は、そのデキの良さに「2022年のカー・オブ・ザ・イヤーはコレでしょ!」などと思ったりしました。
見た目どおり大きいけど
運転するとそこまで大きさは感じない



街で見かけるCX-5よりも一回り大きなCX-60。唯さんも、その大きさには驚きの表情をみせます。「フロントグリルの威圧感がスゴイですね。威風堂々といった感じがします」というように、イマドキのSUVらしいドヤ感のつよいフェイスと角ばったボディーは、ドヤ感たっぷりです。横から見ると、かなりキュービック。「コンパクトSUVに見慣れたためか、この大きさは逆に新鮮ですね。でもここまで大きいクルマ、運転できるかなぁ」とちょっと不安な表情もみせます。この辺に関しては、おそらく大丈夫。実際運転してみると、そこまで大きく感じませんから。
荷室をチェックしましょう。


高速道路の120km/h区間でもリッター20kmを超える燃費性能を達成する、新開発の3.3リットル・直列6気筒ディーゼルターボエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドユニットを見てみましょう。大きなエンジンフードを開けると、直列6気筒がドーン。エンジンは最高出力254PS/最大トルク56.1kgf・m、モーターは最高出力16.3PS/最大トルク15.6kgf・mというスペック。トルコンレスという特殊な8速ATを介して四輪に伝えられ、2トン弱のボディーをストレスなく走らせます。


インテリアは500万円というプライスタグからは信じられない上質さ。「素敵ですよね」と声を弾ませる唯さん。かなりツボっているようです。色々とクルマに乗っていますが、欧州車なら1000万と言われても仕方ないクオリティーで、これが半値とかマツダの原価設定はどうなっているんだ? と驚くことばかり。
「後席がとにかく広くてイイ!」とかなり気に入られた様子。

ハイブリッドだけど
よくも悪くもディーゼル車らしさがある

直列6気筒といえど、それはディーゼルエンジン。振動は相応に伝わってきますし、音も相応に耳に届きます。「イマドキのガソリン・ハイブリッド車に慣れると、音も振動も大きいですね」という唯さん。ですが、以前試乗したBMWのX5(ディーゼル)に比べると「確かに振動は少ない気がするかも」とも。

モーターらしい動きや音はあまり感じませんし、モーター出力も大きくないことから、どうやらマイルドハイブリッドのような動作をしているのでは? と推測できます。超低速などではガクガクっとしたり、アイドリングストップからの復帰時のショックが大きめだったりしますが、それはディーゼルだから仕方ないのかなとか。ですが、ちょっと前のガソリン車並みの騒音レベルで、言われなければ普通は気づかないでしょう。
室内は静粛性よりも不快さを感じさせない適度な音作りと言った感じ。室内で会話をする分には不足はありませんし、唯さんもゴキゲンでクルマを走らせます。

「コーナーでは、結構ロール量が多いですね。どこかNDロードスターの990Sに似ています。あとFRっぽい感じがします。でも4WDなんですよね。ちょっと面白いかも」とのこと。ロール量の多さについてマツダは「車と人間が一緒に動いた方が酔いづらいんですよ」とおっしゃっていて、意図したものなのだとか。一方で990Sがロールしても楽しいと思わせるのは重心が低いからであって、CX-60は重心が高いため勢いよくコーナーに侵入すると、ちょっと怖い思いをします。
「視野のブレが少ないから、長時間運転しても疲れにくいかも」と彼女がいうように、とにかくピッチングの動きは徹底的に排除されているのも美質。とはいえ、フラットライドなクルマなのかというと、そうではなく。コーナーでのロール同様、上下は盛大に動く。さきほどBMW X5の名を出しましたが、乗り心地という面では対極にありそうですね、ということで唯さんと取材陣は意見の一致をみました。

「とにかく500万円というプライスが信じられないですね」という唯さん。「家族で高速道路を使って旅行をするといった時、このクルマはすごくイイと思います。ディーゼルですから燃料代が安いですし、なにより高速道路の燃費が驚くほどイイ。それに後席はとても快適ですし」とニッコリ。家族のクルマにCX-60、実にアリな選択ではないでしょうか。
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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。